その他

2008/01/01

2007年Best10

2007年を総括したときに、今年もドキュメンタリー映画の秀作が多く公開されたことが目を引きます。こうした作品が当たり前のように映画館で上映されることをまず喜びたいと思います。

その映画を見て初めて知る事実も多々あり、自分の視野の狭さを痛感することの繰り返しでありました。ベスト10の選出にあたり、一時はこうしたドキュメタリー映画をずらりと並べるようなランキングも考えました。

しかし、あえて外す事にしました。驚愕の事実は事実として、それらを物語に昇華させていく中で、映画製作者の力量が問われていると思います。そうしたフィクションの力を私は評価することにしたのです。

さて、個々のベスト10を選んだポイントですが、「その時、何を選択したか」という人生の岐路を描いた映画を集めてみました。人は生きていくなかで、意識的にしろ無意識的にしろ様々な岐路に立たされます。その選択の中で、幸福になるか不幸なるかが決まっていきます。

運命は選びとるものであると感じさせてくれた20作品です。

●外国映画
01 グッド・シェパード
エドワードは耳の不自由な女性ローラとの別れを選び、諜報活動の闇に堕ちていく。久々に風格を感じさせる大作でした。167分の上映時間、固唾を飲んで展開を見つめました。

02 ツォツィ
ツォツィは強奪した自動車の中に赤ん坊を見つけたとき、人間的な感情を取り戻していく。これまで見たことのない南アフリカのスラム街の描写が圧巻でした。

03 善き人のためのソナタ
ヴィースラーは芸術家の監視を続けながら、監視国家の欺瞞に気付いていく。ソナタはひとつのきっかけでしかない。人の心は日々の生活の中から定まっていくのである。

04 約束の旅路
シュロモはエチオピアの内紛から逃れるためユダヤ人になりすましイスラエルに向かう。生きるとは衣食住が足りているだけでは満たされない。自分のアイデンティティを求めるシェロモが悲しい。

05 サン・ジャックへの道
母親の遺産相続のため聖地巡礼の旅に渋々向かった仲の悪い三兄弟。彼らが旅のなかで見つけたものは。生きていると、無意識の内に様々な荷物を背負い込んで身動きできなくなることもある。

06 バベル
モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本。見えないところで繋がっていく運命の不思議さ。孤独な魂が生み出す悲劇と喜び。菊地凛子のアカデミー賞ノミネートは快挙でした。

07 ストリングス 愛と絆の旅路
ハル王子は父の仇を探す旅のなかで、復讐と愛の意味を見つけていく。いくつもの糸で操られたマリオネットの世界。その舞台設定が秀逸でした。

08 ミルコのひかり
両目の視力を失ったミルコは全寮制の盲学校で古いテープレコーダーを見つけ、新たな物語を作り出していく。視力を失ったことは悲劇である。だが、別な何かを始める出発点でもあった。

09 世界最速のインディアン
バート・マンローは62歳でニュージーランドからはるばるアメリカへ渡り世界最速記録を打ち立てた。夢を追い続けたことも素晴しいが、その実現は多くの人たちの善意と援助に寄るものだ。

10 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ハリーはヴォルデモート卿の陰謀により窮地に立たされるが、自らの意志力で乗り越えていこうとする。シリーズ5作目にして、もっとも感銘を受けた。

●日本映画
01 それでもボクはやってない
徹平は身に覚えのない痴漢容疑で逮捕され、長期にわたる裁判の道を選んでいく。えぇ、日本の司法制度はこんな状況なのという驚愕を覚えた衝撃作。周防正行監督はやはり凄い。

02 河童のクゥと夏休み
康一は学校帰りに不思議な石を拾うが、なんと河童の子供であった。クゥと名付けられ河童のため、康一とその家族は様々な試練に立ち向かっていく。もっとも評価されて欲しいアニメ作品。

03 めがね
タエコはかたくなに拒んでいたサクラの氷あずきを食べて、世界を一新させる。たそがれの世界は、微妙な距離感で成り立っていた。来るも、去るのも自由であるが、永遠には居られない。

04 夕凪の街 桜の国
父の行動を不審に思って後をつけた七波は、そのまま広島までやって来てしまう。原爆の悲劇は、今尚続いていることを実感する。けっして、仕方ないでは済まされない。

05 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
オトンに愛想を尽かしたオカンは幼いボクを連れ、小倉から筑豊の実家に戻る。オカンの生き方は簡単なようでいて、なかなか真似できないものである。だから、胸を打たれる。

06 アヒルと鴨のコインロッカー
大学入学のため引っ越してきた椎名は隣人の河崎という不思議な青年に声を掛けられる。伊坂幸太郎の原作も読んでみましたが、見事に脚色しております。ラストシーンなど映画版の方が素晴しい。

07 魂萌え!
急死した夫が長年浮気していたことを知り驚愕する敏子。身勝手な長男の振る舞いにも怒り、家を飛び出してしまうが。自分の人生を見つめてやり直すのは、いつからでも始められる。

08 幸福な食卓
佐和子は家族崩壊危機の中でも朝の食卓だけは大切にしていたが、ボーイフレンドの大浦の事故死に心を塞いでしまう。悩み傷つきながらも成長していくことを象徴したラストシーンが素晴しい。

09 天然コケッコー
中学2年の右田そよは都会から来た転校生の大沢広海に心波立つが。もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう。この台詞が良かったです。

10 あしたの私のつくり方
高校生になった寿梨はいじめにあっていた小学校時代の同級生日南子に携帯メールを送るようになる。自分自身を肯定することがいかに難しいか。本当の自分を求めて揺れ動くさまを静かに描写。

●エンターテインメント度を重視した裏ベスト
01 アポカリプト
02 ボーン・アルティメイタム
03 ダイ・ハード4.0
04 ドリームガールズ
05 ヘアスプレー
06 ハッピー フィート
07 デス・プルーフ in グラインドハウス
08 キサラギ
09 スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ
10 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

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2007/01/03

2006年度ベストテン

    外国映画
 1位 硫黄島からの手紙
 2位 父親たちの星条旗
 3位 ユナイテッド93
 4位 シリアナ
 5位 ナイロビの蜂
 6位 ホテル・ルワンダ
 7位 戦場のアリア
 8位 ミュンヘン
 9位 SPIRIT
10位 クラッシュ

日本映画
 1位 武士の一分
 2位 花よりもなほ
 3位 ゆれる
 4位 フラガール
 5位 手紙
 6位 かもめ食堂
 7位 間宮兄弟
 8位 シムソンズ
 9位 博士の愛した数式
10位 嫌われ松子の一生

    裏ベストテン(娯楽性を重視した作品)
 1位 007/カジノ・ロワイヤル
 2位 トゥモロー・ワールド
 3位 16ブロック
 4位 トランスポーター2
 5位 Vフォー・ヴェンデッタ
 6位 デスノート the Last name
 7位 ダ・ヴィンチ・コード
 8位 GOAL
 9位 カサノバ
10位 RENT/レント

「お前は敵を知っているのか」

「硫黄島からの手紙」の中で西中佐が部下に問い掛ける。奇しくも「出口のない海」でも戦争に向かう息子へ父親がそう語りかける場面があった。

戦争とは何か、何故、戦わなくてはいけないのか。2006年はその事を考えさせてくれる秀作が多く、それらを中心にベストテンを選びました。

ひとつの価値観に縛られて盲目的に敵を憎むことの愚かしさ。戦う前に「自分は敵を知っているのか」のかと自問することで、どれだけの悲劇を防げたのであろうか。

クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作は、日米双方の視点から硫黄島の戦いを描くという画期的な試みによって、どちらか一方が善であり、どちらか一方が悪であるというような単純な線引きをすることなどできないことを鮮明にしました。そうしたことを知らずに、双方が多大な犠牲を払ってしまったことを忘れないでいたい。

なぜ、敵の姿を憎しみで隠そうとするのか。その方が体制側には都合の良いことなのだ。戦争とは善悪の戦いではなく経済的側面の方が強い。戦えば得をするから。戦わなければ損をするから。それだけのことである。それは国家権力の損得勘定であり、戦場に駆り出される一般庶民には何の関係もないことだ。それをごまかすために、様々な誤魔化しが行われる。

「ホテル・ルワンダ」では、敵を人と思わず害虫であると見なしたとき、恐ろしい虐殺が起きてしまうことを教えてくれた。

「戦場のアリア」では、徹底的に敵を憎むように子供たちを洗脳していく冒頭シーンが恐ろしい。憎むべき敵であろうとも、クリスマス休日を一緒に過ごしてみれば、同じ人間でしかないことに気付いてしまう。それからは、敵とは見なさず仲間になってしまうのだ。

しかし、時に人は戦わなければならない状況に置かれる。人としての尊厳を守るため、相手の横暴に屈しないため、大切なものを残そうとするために、戦いを選ばなければならない。

「ユナイテッド93」では、自らの運命を知ってもなお、ハイジャック犯に屈せず戦い続ける乗客たちの姿が感銘深い。

「シリアナ」では、何故自爆テロが起こってしまうのか、その克明なディティールに圧倒された。自国の利益確保のために実施される陰謀が、巡り巡って我が身に跳ね返ってしまう。

だが、その戦いが復讐の目的であれば、不毛なことでしかない。殺戮は殺戮しか生まないのだ。それらを「ミュンヘン」、「SPIRIT」、「花よりもなほ」等から学ぶ。

「知らない方が良かっただろうか。いや、そうではない」

この台詞に深い感銘を受けた「武士の一分」。事実を知れば悩み苦しむことになるかもしれない。だが、知らないでいる事は、より大きな悲劇を生む要因ともなるし、克服すべき手腕を鍛錬する機会を奪うことにもなるのだ。心して、物事に当たろう。

2006年は12月に「マルチプレックスシアター盛岡フォーラム」が開館されたことで記念的な一年となった。旧盛岡フォーラムで最後に観た「武士の一分」を邦画の1位に、新盛岡フォーラムで最初に観た「硫黄島からの手紙」を外国映画の1位に選出したのも、その感傷的想いによるものである。

2006年は劇場で160本、DVD、GyaO等で89本の鑑賞となりました。映画館で観る本数が増えた分、DVDが落ちてしまいました。来年も盛岡フォーラムでの公開本数が増える見込みのですので、頑張って追い掛けていきたいと思います。

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2006/01/01

2005年度ベストテン

新年明けましておめでとうございます。

2006年のスタートは2005年度ベストテンです。

日本映画
1位 パッチギ!
2位 誰がために
3位 運命じゃない人
4位 フライ,ダディ,フライ
5位 ALWAYS 三丁目の夕日
6位 リンダ リンダ リンダ
7位 メゾン・ド・ヒミコ
8位 火火
9位 青空のゆくえ
10位 サヨナラ COLOR

外国映画
1位 ミリオンダラー・ベイビー
2位 シンデレラマン
3位 プライド 栄光への絆
4位 ネバーランド
5位 Ray/レイ
6位 イン・ハー・シューズ
7位 きみに読む物語
8位 エレニの旅
9位 Dear フランキー
10位 ウィスキー

裏ベストテン
1位 カンフーハッスル
2位 セルラー
3位 マシニスト
4位 ソウ2
5位 バタフライ・エフェクト
6位 サマータイムマシーン・ブルース
7位 キング・コング
8位 ボーン・スプレマシー
9位 ダーク・ウォーター
10位 香港国際警察

表のベストテンは“INNOCENCE&GROWING UP”という私のベストテン基準に則って選んだものです。映画の中で無垢なる心を取り戻し、精神的に成長をしていくドラマを私は最も評価いたします。

裏のベストテンは、映画本来の楽しみである、ハラハラドキドキ、ワクワクするようなアクションやミステリー、ホラーなどを対象として選びました。良かった映画が表のベストテン、面白かった映画が裏のベストテンになると言ってもいいでしょう。

日本映画では、上位3本どれを1位にするか大いに迷いました。韓流ブームに沸いている昨今、日本と朝鮮は一体どういう関係にあったのかを再考させてくれた「パッチギ!」を1位に据えました。井筒監督の集大成とも言える仕上がりぶりにも評価したい。クライマックスで流れる「イムジン河」を思い出すと、今も感情が大いに揺さぶられます。

外国映画では、アメリカ映画に秀作が多かったと印象付けられるベストテンになりました。ありきたりなスポーツドラマと思わせておいて、中盤で物語がガラリと転調する驚きの強さから「ミリオンダラー・ベイビー」を1位に。C・イーストウッド監督の円熟極まる演出にも感銘を受けました。ダーティー・ハリーの頃からの大ファンとして大いに喜びたいです。

2005年の映画鑑賞本数は、映画館で141本、DVD、衛星放送、Gyaoなどで140本となりました。特別に意識したわけではありませんが、いいバランスになっていたようです。このペースで2006年もシネマライフを充実させていきたいと思います。

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