★★★作品

2018/11/07

のだめカンタービレ 最終楽章 前編/後編

のだめカンタービレ 最終楽章 前編/後編 ★★★

テレビドラマ版の続編という形で前後編2部作で制作。ドラマ版を引き継いだ武内英樹監督の映画デビュー作。原作は二ノ宮知子の同名コミックス。ピアノの非凡な才能を持つ少女と指揮者の恋の行方をヨーロッパを舞台にしてコミカカルに描く。

良好な人間関係とは夢を持つ者を束縛せずに応援できるものだ。だが、自分が置いていかれる、一人ぼっちになるのではという恐怖心から相手を束縛する者もいるだろう。そんな環境で共に時間を過ごしても、不信ばかりで幸福には出会えない。

2018/10/7(日)
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2018/10/18

リトル・マエストラ

リトル・マエストラ ★★★

『チェスト!』の雑賀俊郎監督による石川県志賀町を舞台としたご当地音楽ドラマ。過疎化が進む港町に数十年続くアマチュア・オーケストラがあったが、楽団をまとめる指揮者が休止してしまい孫娘をその後釜に迎えようとする事から始まる荒波の日々を感動的に描く。

自分の当たり前は他者の当たり前ではない。だから、自分の思いを出来るだけ正確に伝える努力をしなければならない。彼女は深い絶望の中にいた。自分の音楽を共鳴してくれる仲間に逢えなかった。誤解から始まる物語であるが、動く事によって何かが変わる起点になるのだ。

2018/10/7(日)
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2018/10/16

31年目の夫婦げんか

31年目の夫婦げんか ★★★

『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケル監督による夫婦ドラマ。結婚生活31年目を過ぎて子供たちは独立し二人だけで毎日同じ生活を繰り返すだけの夫婦。関係を見直すべく結婚生活のカウンセリングを受ける事から始まる衝突の日々を切実に描く。

毎日が同じように過ぎている訳でない。安定した生活の中でも、必ず変化の兆しがある筈だ。自分自身の楽しみに目を奪われ、それを見逃し続けていると、大変な事態を招く事になる。特別な何かを施すのではない。ただ、一言、声をかけるだけで、気持ちは伝わる筈だ。

2018/10/7(日)
衛星放送録画

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2018/10/04

ハナミズキ

ハナミズキ ★★★

一青窈の代表曲である『ハナミズキ』をモチーフにした純愛ラブストーリー。北海道で東京の大学受験を目指す少女と漁師の家業を継ぐために励んでいる少年との10年の時をかける想いを切なく描く。監督は『いま、会いにゆきます』の土井裕泰。

住む環境が違ってしまえば価値観も変化していく。それを成長と呼ぶが、受け止める度量が必要だ。二人は、あの時、別れるしかなかったかもしれないが、それも無駄ではなかった。相手の気持ちと自分の気持ちのバランスが見極められるようになり、二人は静かに向き合う。

2018/9/24(月)
衛星放送録画

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2018/10/02

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら ★★★

『ジャッジ!』の永井聡監督が川村元気の同名小説を映画化。余命わずかと宣告された男が自分そっくりの悪魔から、世界からひとつ何かを消すと、1日寿命が伸びるという提案を受けて、失っていく物の中から大切な想いを取り戻していく姿を静謐に描く。

どうして気がつくことができなかったのだろう。彼は一つの側面だけしか見ていなかった。早く亡くってしまった母への追慕が父への反発に繋がった。だが、父の真意は随所に現れていた。点が線になっていった時、見えなかったもう一つのドラマが始まる。

2018/9/23(日)
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2007/01/19

大いなる休暇

「大いなる休暇」★★★
(DVD)2003年カナダ
監督:ジャン=フランソワ・プリオ
脚本:ケン・スコット
出演:レイモン・ブシャール デヴィッド・ブータン
   ブノワ・ブリエール ピエール・コラン

詳しくはこちらで・・・
大いなる休暇@映画生活

本当にそれで良かったのか。そういう思いが残り続ける。仕事のない島で生活を続けるために、ジェルマン(レイモン・ブシャール)たちは工場を誘致しようと悪戦苦闘する。医師を確保するために、常軌を逸した嘘を突き通す。

そのドタバタぶりが笑いを産むのであるが、そもそも工場誘致が正しい解決策であったのか。無論、直近では職を得て、安定した生活を送ることができよう。

だが、10年、20年先はどうなるであろう。企業というものは業績次第で地元の意向など考えなく、簡単に工場の閉鎖や移転を行ってしまうものだ。非情と言われるかもしないが、企業とはそういうものである。誘致を行う際には、そのことを充分に考えなければならないが、彼らにそうした視点は感じられない。

それをおとぎ話のようにめでたし、めでたしとして終わっていいのだろうか。彼らの行った苦労が、すぐに無駄になりそうで、心が落ち着かない。

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2006/08/03

小さき勇者たち~ガメラ~

「小さき勇者たち~ガメラ~」★★★
(名劇1)2006年日本
監督:田崎竜太
脚本:龍居由佳里
出演:富岡涼 夏帆 津田寛治 寺島進

詳しくはこちらで・・・
小さき勇者たち~ガメラ~@映画生活

父親(津田寛治)に止められながらも戦闘中のガメラの元へ駆け寄ろうとする少年透(富岡涼)。その場面が何度も繰り返される。

近くに行ったとしても何もできないではないか。思慮の足りない愚かな行為であるとするのは容易い。だが、そうせざるを得ない心情というものもあるであろう。ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」(2005)で、どこまでもコングを追い駆けていくアンの姿を思い出す。

ガメラへ赤く輝く謎の鉱石を届けようとする子供たちのリレー。そして、ガメラを守ろうとする子供たちのバリケード。それはそれで感動的なシークエンスになっているが、どうも曖昧な印象を持つ。

何故、子供たちがそこまでしてガメラと共鳴しているのか。それはガメラの立ち位置にも関連する。何故、人間たちを守って、巨大生物と対峙するのか、終始分らない。

ガメラを安易に子供のヒーローとしてしまうことが物語を弱くしている。

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2006/06/27

プロデューサーズ

「プロデューサーズ」★★★
(盛岡フォーラム1)2005年アメリカ
監督:スーザン・ストローマン
脚本:メル・ブルックス トーマス・ミーハン
出演:ネイサン・レイン マシュー・ブロデリック
    ユマ・サーマン ウィル・フェレル

詳しくはこちらで・・・
プロデューサーズ@映画生活

所詮、虚構の世界と分っていても、その中に人生の真理があるから、人は映画や芝居に魅了されてしまうのだろう。

嘘で固められたようなマックス(ネイサン・レイン)の言葉に、レオ(マシュー・ブロデリック)や老婦人の出資者たちが乗ってしまうのも、嘘とは分っていてもなお自分の信じていたい夢の一部を刺激するからだと思う。

本作品の面白さは、最低に最低を掛け合わせていくと逆に最高になってしまうところであろう。反対に言えば、最高に最高のものを掛けていっても、最低のものしか出来上がらないかもしれないということだ。プロデューサーの妙味は、それらをいかに掛け合わせるか決められるところにある。

メル・ブルックス監督のオリジナル版(1968)を既に見ているので、ドラマ展開に驚きは感じられない。鑑賞後に様々なレビューに目を通すと、舞台劇をそのまま映像化したことに賛否評論分れているようだ。楽曲の素晴らしさは認めるが、映画としての深みのなさがマイナスとなっている。

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2005/08/10

フレンチなしあわせのみつけ方

「フレンチなしあわせのみつけ方」★★★
(シネ・アミューズ/ウェスト)
2004年フランス 監督:イヴァン・アタル
出演:シャルロット・ゲンズブール イヴァン・アタル
   アラン・シャバ エマニュエル・セニエ

パリの自動車販売会社に勤めるヴァンサンは、不動産会社で働く妻ガブリエルと小学生の一人息子ジョゼフの3人暮らし。誰もが羨ましがる温かい家庭を築いているように見えるが、ヴァンサンはエステティシャンの愛人を作っていたのだ。それにガブリエルは薄々と気がついているのだが…。

壜などから服の上に水をかけるというシーンが何度も挿入されている。これは理性という構えた気持ちを打ち破り、本心をさらけ出そうとする試みではないだろうか。

しかし、ドラマにメリハリがないのかバランスが悪いのか、上映時間以上に長く感じた。それはこれで話が終わるのかなぁと思っていると、そこからまた違う話が始まっていくことが続いたせいであろう。

個々のエピソードは面白いものもあるが、時系列をバラバラにした構成が分りにくいものにしている。

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2005/05/06

ホワイトナイツ 白夜

「ホワイトナイツ 白夜」★★★(BS)
1985年アメリカ 監督:テイラー・ハックフォード
出演:ミハイル・バルシニコフ グレゴリー・ハインズ
   イザベラ・ロッセリーニ イエジー・スコリモフスキー

ソ連からアメリカに亡命した著名なバレエ・ダンサー、ニコライ。彼の乗った旅客機がエンジン不良のためソ連の空軍基地に緊急着陸した。彼はKGBのチャイコ大佐に拘束されてしまう。彼を母国に取り戻そうと画策する大佐は、アメリカから亡命してきた黒人のタップダンサー、レイモンドを監視役につけるが…。第58回アカデミー賞でライオネル・リッチーの歌う「セイ・ユー・セイ・ミー」が歌曲賞を受賞。

ソ連もKGBも消滅してしまった現在、ある種の懐かしさを覚える。だが、「自由を求める戦い」は今日でも延々と続いている。ここで言う自由とは、芸術、思想などの事である。どんな国でも、大なり小なり権力によってそれらは規制されており、「自由を求める戦い」は普遍的なテーマとして成立するのであろう。

ソ連から亡命した過去を持つM・バルシニコフ。フィクションを越えたリアルな心情が伝わってくる。G・ハインズとのダンスシーンは圧巻であった。

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