★★★作品

2007/01/19

大いなる休暇

「大いなる休暇」★★★
(DVD)2003年カナダ
監督:ジャン=フランソワ・プリオ
脚本:ケン・スコット
出演:レイモン・ブシャール デヴィッド・ブータン
   ブノワ・ブリエール ピエール・コラン

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大いなる休暇@映画生活

本当にそれで良かったのか。そういう思いが残り続ける。仕事のない島で生活を続けるために、ジェルマン(レイモン・ブシャール)たちは工場を誘致しようと悪戦苦闘する。医師を確保するために、常軌を逸した嘘を突き通す。

そのドタバタぶりが笑いを産むのであるが、そもそも工場誘致が正しい解決策であったのか。無論、直近では職を得て、安定した生活を送ることができよう。

だが、10年、20年先はどうなるであろう。企業というものは業績次第で地元の意向など考えなく、簡単に工場の閉鎖や移転を行ってしまうものだ。非情と言われるかもしないが、企業とはそういうものである。誘致を行う際には、そのことを充分に考えなければならないが、彼らにそうした視点は感じられない。

それをおとぎ話のようにめでたし、めでたしとして終わっていいのだろうか。彼らの行った苦労が、すぐに無駄になりそうで、心が落ち着かない。

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2006/08/03

小さき勇者たち~ガメラ~

「小さき勇者たち~ガメラ~」★★★
(名劇1)2006年日本
監督:田崎竜太
脚本:龍居由佳里
出演:富岡涼 夏帆 津田寛治 寺島進

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小さき勇者たち~ガメラ~@映画生活

父親(津田寛治)に止められながらも戦闘中のガメラの元へ駆け寄ろうとする少年透(富岡涼)。その場面が何度も繰り返される。

近くに行ったとしても何もできないではないか。思慮の足りない愚かな行為であるとするのは容易い。だが、そうせざるを得ない心情というものもあるであろう。ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」(2005)で、どこまでもコングを追い駆けていくアンの姿を思い出す。

ガメラへ赤く輝く謎の鉱石を届けようとする子供たちのリレー。そして、ガメラを守ろうとする子供たちのバリケード。それはそれで感動的なシークエンスになっているが、どうも曖昧な印象を持つ。

何故、子供たちがそこまでしてガメラと共鳴しているのか。それはガメラの立ち位置にも関連する。何故、人間たちを守って、巨大生物と対峙するのか、終始分らない。

ガメラを安易に子供のヒーローとしてしまうことが物語を弱くしている。

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2006/06/27

プロデューサーズ

「プロデューサーズ」★★★
(盛岡フォーラム1)2005年アメリカ
監督:スーザン・ストローマン
脚本:メル・ブルックス トーマス・ミーハン
出演:ネイサン・レイン マシュー・ブロデリック
    ユマ・サーマン ウィル・フェレル

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プロデューサーズ@映画生活

所詮、虚構の世界と分っていても、その中に人生の真理があるから、人は映画や芝居に魅了されてしまうのだろう。

嘘で固められたようなマックス(ネイサン・レイン)の言葉に、レオ(マシュー・ブロデリック)や老婦人の出資者たちが乗ってしまうのも、嘘とは分っていてもなお自分の信じていたい夢の一部を刺激するからだと思う。

本作品の面白さは、最低に最低を掛け合わせていくと逆に最高になってしまうところであろう。反対に言えば、最高に最高のものを掛けていっても、最低のものしか出来上がらないかもしれないということだ。プロデューサーの妙味は、それらをいかに掛け合わせるか決められるところにある。

メル・ブルックス監督のオリジナル版(1968)を既に見ているので、ドラマ展開に驚きは感じられない。鑑賞後に様々なレビューに目を通すと、舞台劇をそのまま映像化したことに賛否評論分れているようだ。楽曲の素晴らしさは認めるが、映画としての深みのなさがマイナスとなっている。

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2006/01/28

PTU

「PTU」★★★(DVD)
2003年香港 監督:ジョニー・トー
出演:サイモン・ヤム ラム・シュー
   マギー・シュー ルビー・ウォン

香港九龍半島の尖沙咀。ある夜、ホー隊長率いるPTU(香港警察特殊機動部隊)が夜の繁華街をパトロールしていた。同じ頃、組織犯罪課のサァ刑事はマフィアのボスの息子が率いるグループと乱闘を起し、拳銃を紛失してしまう。ホー隊長はサァ刑事の窮地を救うため一緒に拳銃を探すことになるが…。

何故、ホー隊長はサァ刑事を助けようとしたのか。それが本作品のポイント。サァ刑事はどう見ても悪徳刑事としか感じられず、彼を助けたいという気にはなかなかなれない。ホー隊長とサァ刑事は同期というような間柄なのかもしれないが、詳しい説明もなく彼らの結び付きがよく理解できない。それだけにホー隊長の行動が異質に感じられるのだ。

そこで冒頭のトラックでのPTU隊員たちの会話が重要になってくる。未明に発生した強盗事件で殉職した警官の話をしていて、茶化すような発言が出たときに、ホー隊長は重厚な言葉で皆をいさめる。ここに同僚を守るという彼の信条が表れる。このために例え職務を離れても全力でサァ刑事を救おうとするのだ。彼の意志は明確で強固。異を唱える隊員がいても微動ともしない。だが、私はこの仲間意識を素直に肯定できない。確かに格好良く見えるが、それによる馴れ合い、腐敗の危険性を感じてしまう。

この夜はサァ刑事の他にも、拳銃を落としてしまうものがいる。特捜課CIDのチョン刑事だ。銃撃戦のさなか思わぬ恐怖心を覗かせ車外に拳銃を落としてしまう失態。それまでのクールで強引な捜査を行った者とは思えないものだ。冷静なホー隊長にしても、参考人のチンピラに暴力を加えすぎて、心拍停止状態まで追い込んでしまう。不本意な事態に遭遇し大いに慌てる者たちが強調されている。自分の抱いている確信や自信は些細なことで簡単に崩壊してしまうのだ。

サァ刑事が拳銃を紛失する切っ掛けは、バナナに滑って転ぶという古いコメディのようなシチュエーションである。それが反復されているのが興味深い。運命の替わり際で、この滑りが重要なディティールになっている。そうしたことで本作品は現実性よりも悪夢に覆われた寓話性が強く感じられる。

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2005/12/25

アマロ神父の罪

「アマロ神父の罪」★★★(DVD)
2002年メキシコ 監督:カルロス・カレラ
原作:エッサ・デ・ケイロス
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル
   アナ・クラウディア・タランコン
   サンチョ・グラシア ダミアン・アルカザール

メキシコのアルダマ地方。将来を嘱望された若きエリート神父アマロは、ベニト神父の手伝いをしながら様々なことを学んでいくはずだった。だが、ベニト神父の腐敗を知りショックを受ける。そんな彼も美しく信仰心の篤い16歳の少女アメリアと親しくなり、許されぬ感情が芽生えていることに気付くのだったが…。

女性を愛するという行為を禁じられた神父は、その存在自体が大いなる矛盾を抱えている。前半に婚姻を許してはといった台詞も出てきたが、人が人を好きになる感情は誰にも止めることはできない。

だが、そうした自己矛盾に逡巡するアマロはただの若き神父でない。枢機卿のお気に入りと言われるだけに、新聞社へ脅しをかけたり、恋人の密会場所をみつけたり、鋭利な頭脳を悪用する腹黒さを持ち合わせている。幕切れも印象深く、こうした宿命に守られた男もいるのだ。彼の無垢なる心は霧散し、腐敗の道を突き進んでいくことを予感させる。

彼とは対称的に、どんどん状況を悪化させていくアメリアの元恋人の姿が哀しく残る。恋人も職も失い、濡れ衣を着せられて、喜びのない人生を過ごすのだろうか。その父親のように。

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2005/12/22

亡国のイージス

「亡国のイージス」★★★(名劇1)
2005年日本 監督:阪本順治
出演:真田広之 寺尾聰 佐藤浩市 中井貴一

東京湾沖で訓練航海中のイージス艦“いそかぜ”が副長の宮津と某国対日工作員ヨンファによって占拠されてしまう。宮津は政府に対し特殊兵器“グソー”の搭載されたミサイルが首都圏に向けて照準を合わせていることを宣告する。艦の構造を熟知している先任伍長の仙石が独り、艦を取り戻しに向かうのだが…。

日本でこうしたポリティカル・サスペンス映画が製作されることは大いに歓迎したい。だが、このような映画はハリウッドから数え切れないほど秀作が生み出されている。日本的なオリジナリティーを求めていたのだが、その期待には適えられなかった。

マイナスポイントは、後半の展開がいささか雑になってしまったところ。特に仙石伍長(真田広之)が単独で特殊工作員と対決するとき、その危機をあまりに無造作で都合良く解決してしまうところが気になった。そのディティールの物足りなさ。見所のひとつであるクライマックスでの彼とヨンファ(中井貴一)が闘う場面もそうだ。仙石が1人でなく如月(勝地涼)と協力してひとりずつ倒していく。そんな展開にすればもっと現実味が増すしもっと面白くなった筈だ。

政府の対策本部の休憩所で岸辺一徳と佐藤浩市が煙草を吸いながらの会話が、本作品の中で最も興味深いものであった。彼らの活躍ももう少し観たかった。

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2005/12/15

タイムライン

「タイムライン」★★★(Gyao)
2003年アメリカ 監督:リチャード・ドナー
原作:マイケル・クライトン
出演:ポール・ウォーカー フランシス・オコナー
   ジェラルド・バトラー デビッド・シューリス

フランス南西部の修道院跡で発掘プロジェクト行われている。14世紀の地層から考えらないものが見つかる。現代の製品と思われる眼鏡のレンズと“Help me”と書かれたメモ。それらはプロジェクトの責任者・ジョンストン教授のものと判断された。教授はスポンサーであるハイテク企業・ITCへ向かっていたが…。

あまり良い評判を聞いていなかったので、期待しないで観た。そのつもりでみれば、それなりには楽しめる。タイムスリップしたところから危機の連続で、躍動感に富んでいる。

だが、不必要に感じる戦闘も多かった。歴史がなぜ面白いかというと、人がどのように生きどのように死んでいったか知ることであり、それは人間を学ぶことに他ならないと語ったアンドレ・マレク(ジェラルド・バトラー)。教授の息子クリス(ポール・ウォーカー)を主人公にするのではなく、マレクを中心に話を展開していった方がずっとすっきりしてより面白くなったのではないかと惜しまれる。

一番引っ掛かってしまうのは、タイムトラベルものでは必ず問題となってくる歴史的事実を変えてしまっていいのかという逡巡があまりなされていないことだ。大体、遺跡の中から教授の助けてくれというメッセージを見つける発端からしておかしい。そもそも、自分が望んで過去に旅立っていったのだ。メッセージを残す行為自体が歴史を冒涜するものに感じられる。

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2005/12/13

アナーキスト

「アナーキスト」★★★(盛岡フォーラム2)
2000年韓国 監督:ユ・ヨンシク
出演:チャン・ドンゴン キム・サンジュン
   チョン・ジュノ イ・ボムス

1924年の上海大虐殺で家族を失った少年サング。復讐のため破壊活動を行い公開処刑されることになるが、義烈団の団員たちに救われそのまま彼らと生活を共にする。彼らは洗練された服装で大きな仕事の前には記念写真を撮ったり、仕事の後にはワインやビールでパーティーに参加したりしていたが…。

自分たちの理想に向かって、いまやっていることは正しいのだろうか。ハン(キム・サンジュ)が後半で呟くこの言葉が重く響く。祖国独立を掲げて戦っている筈なのに、いつしか活動資金確保のために麻薬の取引現場を襲撃することになってしまう。日々、目標に向かって懸命に頑張っているつもりでも、いつしか手段を守るための仕事になってしまうことがある。常日頃から何の為にこの仕事をしているのか、振り返ることが大切なのであろう。

大仕事に取り掛かる前に、全員で記念写真を撮るシーンが繰り返させる。よくよく考えてみると組織全員の顔写真が明らかになってしまい、非合法活動としてはあまり巧い儀式とは言えないだろう。実際に本作品でも捜査に利用されてしまっている。だが、区切り区切りでいいアクセントになっているし、感傷的な思いが広がる。

本作品のマイナスポイントは、ドラマが起承転結の“転”ぐらいから始まった感じで、それまでの主人公達の背景が感じられないこと。本作品はサング(キム・イングォン)が義烈団に入るところから始まり彼の成長ドラマを主軸となっているはずだが、視点が散漫でまとまりがない。少なくともサングと写真館の娘リンリンとの恋の過程をもっとじっくり描くべきだ。その為、クライマックスの時計のエピソードが生きてこない。

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2005/12/08

愛の神、エロス

「愛の神、エロス」★★★(盛岡フォーラム3)
2004年アメリカ イタリア フランス 中国
「エロスの純愛~若き仕立屋の恋」
監督:ウォン・カーウァイ
出演:コン・リー チャン・チェン
「エロスの悪戯~ペンローズの悩み」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ロバート・ダウニー・ジュニア アラン・アーキン
「エロスの誘惑~危険な道筋」
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:エル・キーツ クリストファー・ブッフホルツ

「若き仕立屋の恋」。1963年の香港。新米の仕立屋チャンは有名な高級娼婦ホアのもとへ仮縫いにやって来たが…。「ペンローズの悩み」。1955年のニューヨーク。広告クリエイターのペンローズは一人の美女が登場する奇妙な夢に悩まされるが…。「危険な道筋」現代のトスカーナ地方。クリストファーは妻クロエとの関係に行き詰まりを感じていたが…。3人の巨匠監督が“エロスの純愛”をテーマにしたオムニバス。

3作品の中で一番面白かったのはS・ソダーバーグ監督のもの。直接的にはエロスとあまり関係なさそうであるが、話の展開を気に入っている。短編映画として収まりの良い話だった。幕切れで繰り返される紙飛行がエロスを象徴しているとも感じられた。

W・カーウァイ監督の作品が最も濃厚なエロスを感じる。そのまま「花様年華」(2000)や「2046」(2004)に繋がっていく世界であった。ホア(コン・リー)は鏡を見る場面が何度も続くが、落ちぶれていっても自分の矜持を失わない気高さを感じさせました。

やっぱり問題は、M・アントニオーニ監督の作品だ。難解だったと終ってしまってはつまらないので、色々と考えをめぐらせてみるが、この限られた時間では、説明不足と言わざるを得ない。

この3つのエピソードを結びつけるロレンツォ・マットッティの絵画とカエターノ・ヴェローソの音楽が素晴らしかった。

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2005/12/06

スカーレットレター

「スカーレットレター」★★★(盛岡フォーラム2)
2004年韓国 監督:ピョン・ヒョク
出演:ハン・ソッキュ イ・ウンジュ
   ソン・ヒョンア オム・ジウォン

写真館店主が殺害された事件を担当するギフン刑事は、現場に血まみれで立ち尽くしていた妻ギョンヒを容疑者と見て捜査を開始する。そんなギフンは美しく貞淑な妻スヒョンがありながら、スヒョンの音大時代からの親友で情熱的なジャズ・シンガー、カヒとも不倫の関係にあったが…。

冒頭で大きなボリュームで音楽を聴きながら乗用車を運転するギフン刑事。自分の人生を完璧にコントロールしているという自信溢れる姿だ。しかし、その自動車によって彼の人生は崩壊させられてしまう。その皮肉的な対比が一つ。

このドラマにもう一つ共鳴できないのは、ギフンと写真館の妻との関係がはっきりしないところ。彼女との出会いが彼の心境になんらかの影響を与え、それが妻スヒョンと不倫相手のカヒに伝達したという風には見えなかった。このドラマの転機はカヒの妊娠にあった筈だ。どうもその辺が宙に浮いてしまった感じがする。

しかし、あの犯行現場の状況で凶器が見つからないというのはないであろう。そして、ギフン刑事が素手で犯行現場の品物を触っていくところも、あれって思う。著しくリアリティが削がれてしまっている。

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2005/12/03

フォーガットン

「フォーガットン」★★★(盛岡フォーラム2)
2004年アメリカ 監督:ジョセフ・ルーベンス
出演:ジュリアン・ムーア ドミニク・ウェスト
   ゲイリー・シニーズ アルフレ・ウッダード

テリーは9歳になる一人息子サムを飛行機事故で亡くしてしまう。それから14ヵ月たったいまでも立ち直れずにいた。ある時、テリーは記念写真やアルバム、ビデオテープからサムだけが消えているのを見つける。動揺するテリーにかかりつけの精神科医は息子など最初から存在しなかったと告げるのだったが…。

鑑賞前から謎の仕掛けを知ってしまっていたので、良い意味で期待外れという感じではなかったです。もし、これを別種の映画だと思ってみていたらどうなっていただろうか。大いに立腹したからもしれない。これはこれで良かった。

上空や窓越しのショットが多用され、常に第3者の視線を感じさせる。J・ムーアの行動と共に風が吹いているところも不穏な感じを抱かせる。そして、自動車の衝突や上空からの襲撃など、予兆なく表れ、驚かしの演出はなかなかのものだった。

とはいえ、事件解明へのプロセスや逃亡中のディティールなど安易な展開も多々あり、細部に爪の甘さを感じる。

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2005/12/01

コーラス

「コーラス」★★★
(盛岡フォーラム3)2004年フランス 
監督:クリストフ・バラティエ
出演:ジェラール・ジュニョ フランソワ・ベルレアン
   ジャン=バティスト・モニエ マリー・ビュネル

1949年。フランスの片田舎。音楽教師クレマン・マチューが“池の底”という寄宿舎に赴任してきた。そこでは親をなくした子どもや素行に問題ある子どもたちが集団生活をしている。校長は問題を起こす子どもたちに容赦ない体罰を繰り返していた。そうした校長の姿勢に疑問を持つマチューは子どもたちに本来の素直さを取り戻してもらおうと合唱団の結成を決意するが…。

第30回セザール賞で音楽賞、音響賞を受賞。

ストーリー展開に文句はないのだが、もう少しエピソードをしっかり描いて欲しい。一筋縄ではいかない生徒たちの心をいかにしてつかんでいくか。校長たちの言う「やられたらやりかえせ」の方針をいかにして覆していくのか。それらの過程をもう少しじっくり見たかった。

もうひとつ気になったところは、マチュー先生が寄宿舎を出ていくときに生徒が投げ入れた紙飛行機の手紙を全部拾わないで行ってしまうところ。残された紙飛行機の生徒がどんな気持ちになるかと思うと、心が静まらない。

印象深いシーンは、問題を起こし合唱を止められていたピエールが、マチュー先生から許しを得たときの本当に嬉しそうな表情を浮かべるところ。そんな彼が世界的指揮者として成功を成し遂げていくのに、音楽の才能を見出してくれた恩師の名前すら、覚えていないのだ。なんとも苦い感情が残る。

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2005/11/14

アイランド

「アイランド」★★★(盛岡フォーラム3)
2005年アメリカ 監督:マイケル・ベイ
出演:ユアン・マクレガー スカーレット・ヨハンソン
   ジャイモン・フンスー ショーン・ビーン

2019年。大気汚染から守られ、管理の行き届いた安全で快適な巨大施設で暮らす人々がいた。彼らの夢は、地上最後の楽園といわれる“アイランド”行きの抽選会に当たることであった。ある時、リンカーンは換気口から入ってきた一匹の蛾を見て疑念を抱き独自に調査を進めるが…。

非常に興味深い設定ではあるが、ドラマの中でうまく消化しきれていないのではないかという思いが残る。無機質な近未来社会というと「未来世紀ブラジル」(1985)や「ガタカ」(1997)を想起させるが、主人公たちの不条理な世界に苦しむ感情描写という点で本作品は物足りない。逃亡者としての逼迫感も不足している。

とはいえ、ハイウェイでのカーアクションは大いに見せる。圧倒的な臨場感を持つ映像を堪能する。本作品でも出てきたが、ハイウェイの対抗車線を逆走するシーンはカーアクションの定番である。観客を現実社会から遊離させ非日常性世界へと誘う格好の入り口なのであろう。

傍役のスティーヴ・ブシェミ、ジャイモン・フンスーなどが絶妙の存在感。それぞれに持ち味を発揮している。

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2005/11/10

トニー滝谷

「トニー滝谷」★★★(DVD)
2004年日本 監督:市川準
原作:村上春樹
出演:イッセ-尾形 宮沢りえ
ナレーション:西島秀俊

幼い頃から一人でいることが当たり前だと思って生きてきたイラストレーターのトニー滝谷が、15歳年下の小沼英子に恋をして、結婚する。最愛の女性と過ごす毎日は、これまで味わったことのない幸福をトニーにもたらした。唯一、きれいな服を目にすると買わずにはいられない英子の行為を心配するのであったが…。

100着以上保管されている英子(宮沢りえ)の衣裳部屋。それがトニー滝谷(イッセ-尾形)の心のありようを象徴している。服が無くなると今度は亡き父のトロンボーンや古いレコードが置かれ、そして最後は空っぽになっていく。その部屋に入り妻の服を試着していた久子(宮沢りえの二役)が突然泣き出してしまったのは、滝谷の哀しみの心が伝染してしまったからではないか。

“小説を見る”という実験性の強い形式の作品である。原作を未読なのではっきりと分らないが、小説の原文を西島秀俊が抑揚なく語り、その一部を俳優が呟く。そして、水平に横に動いていくキャメラ。その異質感が全編貫く。

坂本龍一の音楽はいつもながら素晴らしい。ピアノの音色がポツリポツリに心に響き深い余韻を残す。

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2005/11/07

イン・ザ・プール

「イン・ザ・プール」★★★(秋田シネマパレ2)
2005年日本 監督:三木聡
原作:奥田英朗
出演:松尾スズキ オダギリジョー
   市川実和子 田辺誠一

伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎はいつもヒョウ柄のシャツとブーツに白衣を羽織った怪しげな男。患者の話など聞かず勝手に自分のことばかり話している。そんな男なのに何故かストレスが原因で奇妙な病気に苦しむ患者たちが、次々と診察室に駆け込んでくる。伊良部は珍妙な診療で患者達を振り回してしまうのだが…。

あえてこうした構成にしたのは三木聡監督の意図であったようだが、それがあまり成功していない。これならオムニバス形式にして、一人の患者の顛末を続けて見せてくれた方がずっと明瞭になったことだろう。松尾スズキが演じる伊良部医師のキャラクターはこのままでも良いが、彼が患者の症状回復の場には関わっていて欲しい。

原作を未読なので比較できないが、“継続性勃起症”の田口(オダギリジョー)のように勝手に一人で暴れているうちにという形はどうも収まりが悪い。二人が別れた妻の職場へ訪れる場面がポイントとなるべきであった。

良かったのは、あくまで患者が接するときだけ伊良部医師が出てくるようにしているところ。下手に伊良部医師の私生活を描いたりすると収拾がつかなくなったであろう。

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2005/11/01

ピアニストを撃て

「ピアニストを撃て」★★★(BS)
1960年フランス 監督:フランソワ・トリュフォー
原作:デビッド・グーディス
出演:シャルル・アズナブール マリー・デュボワ
   ニコル・ベルジュ アルベール・レミー

夜のパリの裏町。誰かに追われた男はカフェに逃げ込む。男はその店のピアノ弾きシャルリの長兄シコーだった。シコーは次兄のリシャールと共に山高帽の二人組と組んで強盗を働いたが、その金を二人占めしたために追われていたのだった。そんな兄をシャルリは門前払いにするが…。

シュルリが関係していく女性達が次々と命を落としていく。特別に彼が悪いのではないか、結果的にそうなってしまう。彼が虚無的になっていくのは仕方ないだろう。

それにしてもドラマ展開の突飛さに唖然となる。無理に犯罪ドラマを組み込んだようでしっくりこない。シャルリが店主のプリヌを殺害してしまうところなど、どうしても無理な感じが残る。

そもそもの発端の事件もなんといい加減なことか。どこかユーモラスでのんびりしたところがあり、独自の味わいが生じていることも間違いないと思うが、空回りしている感じの方が強い。

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2005/10/28

天国の本屋~恋火

「天国の本屋~恋火」★★★(DVD)
2004年日本 監督:篠原哲雄
原作:松久淳 田中渉
出演:竹内結子 玉山鉄二 香里奈 新井浩文

オーケストラをリストラされたピアニストの健太はヤケ酒を飲んで酔いつぶれてしまう。目覚めると、たくさんの本が並んだ見知らぬ部屋にいた。そこは“天国の本屋”であった。健太は死んだわけでもないのに、ここで短期アルバイトをさせられることになったとアロハシャツの怪しげな店長ヤマキから説明を受けるが…。

健太が何故、天国の本屋のバイトに選ばれたのか。その基準がいまひとつよく分らなかった。彼は生前の翔子(竹内結子)のピアノを聴いてピアニストを目指したという関係性は確かにある。そして、自分勝手な演奏でオーケストラを首にされ、自暴自棄にもなっていた。だが、この程度の関係性、この程度の悩みを抱えている人間なら珍しいことではないだろう。わざわざ天国へ行かなくても実社会で解決できる筈だ。いや、彼のためでなく、翔子のために人材管理官のヤマキが選んだというのなら、どうして翔子だけが特別なのだろうか。その疑問が最後まで残る。こうしたファンタジーはもっと設定を強固にしないと駄目だ。物語の入り口で疑問点を抱えてしまうと、もう映画に乗れなくなってしまう。

そして、このピアノが良く似合う穏やかな話の中で、瀧本を演じる香川照之のオーバーな演技はあまりに異質である。過去の傷を抱える男には勿論見えるのだが、非常に作為的である。花火の製作を依頼にきた香夏子(竹内結子が二役)ともっと自然に応対した方が良かったと思う。

その竹内結子と香川照之が行うあまりに激しい平手の応酬が凄かった。竹内を力いっぱい殴った香川も凄いが、それに負けずに2発返した竹内も見事である。この場面も映画の中で自然な流れと言い難いが、その迫力に感服した。ここが一番印象深い。

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2005/10/25

僕の彼女を紹介します

「僕の彼女を紹介します」★★★
(DVD)2004年韓国 
監督:クァク・ジェヨン
出演:チョン・ジヒョン チャン・ヒョク
   キム・テウ キム・スロ

非番中の婦警のヨ・ギョンジンは街角でひったくり事件に遭遇する。彼女は走り去る男を猛然と追いかけ、鮮やかに取り押さえる。しかし、この男は犯人を追いかけていた善意の市民で、女子高で教師をしているコ・ミョンウであった。後日、生徒の非行防止のため警察に訪れたミョンウは再びギョンジンと遭遇してしまうが…。

この辺は好みの分かれるところだと思うが、最初にギョンジン(チョン・ジヒョン)がミョンウ(チャン・ヒョク)を誤認逮捕するくだりから、ギョンジンのデリカシーのないわがままな振る舞いに付いていけず駄目だった。そこが笑いのつぼになるのかしれないが、まずここからして私は乗れなかった。

そして、二人が恋人同士になってからミョンウが心配の余り、ギョンジンの追跡現場に駆けつけるところも疑問。ギョンジンにプロ意識があるとするなら、彼のことをもっと怒らなければいけないであろう。彼自身の安全を考えてもだ。結果的にそれが悲劇を生みことになるが、自業自得だろうという冷めた印象しか持てない。

納得できない点は多々あるものの、ギョンジンの死を求めるような捜査ぶりはメル・ギブソンが演じた「リーサル・ウェポン」(1987)のリッグス刑事を連想させて印象深い。

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2005/10/13

北の零年

「北の零年」★★★(DVD)
2004年日本 監督:行定勲
出演:吉永小百合 渡辺謙 豊川悦司 柳葉敏郎

明治4年。淡路内で対立の続いていた稲田藩は明治政府に北海道・静内への移住を命じられる。北海道へ辿り着いた総勢546名の移民団は、自分たちの新しい国を建設するとの希望を胸に凍てつく原野に立ち向かう。移民団の中心的存在である小松原は酷寒の地でも育つ稲を求め、一人札幌へと旅立つが…。

本作品を観ていて不満に感じるのは、娘と二人残されていた志乃(吉永小百合)がいかにして牧場経営を成功させたのか、そのディティールが全く省かれてしまっていることだ。戻ってこない小松原(渡辺謙)のため移民団の仲間からも白眼視されている状態で、いかにして牧場を作り上げていたのか。ドラマとして最も重要なディティールが飛ばされているので、絵空事めいて見える。

行定勲監督の照明の使い方はいつもながら秀逸。陽光を絶妙にとらえたり、藩主に裏切られたと知ったときの渡辺謙の顔に照明をあてたり、場面、場面によって自在に光を駆使している。

大島ミチルの壮大な音楽には魅了された。

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2005/10/06

テイキング・ライブス

「テイキング・ライブス」★★★(DVD)
2004年アメリカ 監督:D・J・カルーソー
原作:マイケル・パイ「人生を盗む男」
出演:アンジェリーナ・ジョリー イーサン・ホーク
   キーファー・サザーランド 
オリビエ・マルティネス

モントリオールのある工事現場で白骨化した死体が発見される。地元警察はFBIに捜査協力を要請し、女性特別捜査官イリアナが単身でやって来る。彼女はあらゆる情報を読み取り、犯人像を割り出すプロファイルの専門家であった。彼女の分析で捜査は進展を見せ始めた矢先、新たな殺人事件が発生するが…。

ひとつひとつのエピソードがドラマにうまく絡んでこないもどかしさを覚える。イリアナ(A・ジョリー)は死体発見現場で横たわったり、ホテルの部屋中に遺体の写真を貼るなどの特異な捜査スタイルが際立つ。しかし、それが犯罪解決にうまく生かされていないのが物足りない。

そして、どうしてモントリオール警察のパーケット刑事(O・マルティネス)がイリアナに対して露骨に反発するのか、その答えもなく中途半端な感じが残る。A・ジョリーとI・ホークの主演二人の演技力は遺憾なく発揮されているが、空回りしているとの感が拭えない。K・サザーランドの使い方が無造作すぎるというか勿体ない。もう少し後半まで大切に使って欲しかった。かなり豪華な出演俳優なのに思ったほど効果があがっていない。

真犯人がすぐにわかってしまうという批判も多く目にするが、割と早い段階で明らかになるので、それは気にならない。問題はタイトルにもなっている犠牲者の人生を乗っ取りながら殺人を繰り返すという話のディティールがほとんど省略されてしまっているところ。真犯人が明らかになってから、この辺りをじっくり描くべきであろう。それとて、他人に人生を盗むというとルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」(1960)という傑作もあるので、容易なことではないであろうが。

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2005/09/16

ロスト・メモリーズ

「ロスト・メモリーズ」★★★(Gyao)
2001年韓国 日本 監督:イ・シミョン
出演:チャン・ドンゴン 仲村トオル ソ・ジノ シン・グ

1909年。中国ハルピン駅での伊藤博文暗殺は失敗に終わった。日本は米国との同盟を結び第二次大戦を連合軍側につき戦勝国となる。朝鮮半島の日本併合はそのまま続いた。2009年、ソウル。朝鮮独立を目指すテロ集団が井上財閥主催の美術展を襲撃する。直ちにJBI(日本特殊捜査局)が出動するが…。


動画無料配信の「Gyao」で初めて映画を観てみました。インターネットで映画を観られる時代になったのだと感慨深かったです。

坂本(チャン・ドンゴン)がスパイとして同僚に射殺された捜査官の父を懸命に否定しようとするが、決して忘れることはできない。日韓併合という形で祖国をなくしても、国ヘの想いが断ち切れない“不令鮮人”の姿と重なるし、その後の行動を暗示している。

問題なのは坂本の捜査方法である。いくら疑惑のある企業であっても、正面から狂騒的に向かっていってはまともに相手にされないのは当たり前である。それで停職処分を食らって局長にどなり込むところもどうかと思う。おかしな日本語の発音については目をつぶっても、こういうところにはリアリティーを求めたい。

そして、坂本とオ・ヘリエ(ソ・ジノ)の因縁ももう少し説明が欲しかった。ここが物語の肝であると思えるのだ。坂本が記憶をなくしているのはいい。だが、ヘリエの存在はどういうものだったのか、もう一つ納得できなかった。

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2005/09/13

機関車先生

「機関車先生」★★★(DVD)
2004年日本 監督:廣木隆一
原作:伊集院静
出演:坂口憲二 堺正章 倍賞美津子 伊武雅刀

昭和30年代。瀬戸内海に浮かぶ小島、葉名島。吉岡誠吾は島唯一の小学校、水見色小学校に臨時教師として赴任する。誠吾は剣道の試合の事故で話すことができなかった。7人の生徒たちはすぐに“口きかんから機関車先生や”といってあだ名をつける。機関車先生と子どもたちは信頼と絆を強めていくが…。

エピソードがただ並んでいるだけで、ひとつひとつに繋がりがない。例えば、疎遠となっている祖父との関係、子供たちの交流、剣道への復帰などいいドラマになる素材は揃っている筈なのに、掘り下げ方が浅く平板に流れてしまった。

そんな中で、校長先生(堺正章)が子供達に話してきかせる「なぜ戦争が起きるのか」が強く心に残る。それは、国と国の問題ではなく、人間の心の中にある憎しみが原因なのだということに深く感銘を受ける。あまり映画では見ない堺正章だが、なかなか好演している。

あまり前情報を知らなかったので、エンドクレジットで監督が廣木隆一と知って驚いた。こういうタイプの作品も撮るんだ。

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2005/09/07

ステップフォード・ワイフ

「ステップフォード・ワイフ」★★★(盛岡フォーラム2)
2004年アメリカ 監督:フランク・オズ
原作:アイラ・レヴィン「ステップフォードの妻たち」
出演:ニコール・キッドマン マシュー・ブロデリック
   ベット・ミドラー グレン・クローズ

ジョアンナはニューヨークのEBSテレビの敏腕プロデューサーとして輝かしいキャリアを築いてきた。しかし、番組が原因となった事件の責任をとらされ彼女はTV局を辞職する。夫のウォルターは新たな土地で再起を図ろうと提案し、一家はコネティカット州のステップフォードという美しい町へやって来るが…。

どんなきれいで清潔であったとして均一化した世界は、無機質で温かみを欠くものである。一人の人間が抱く価値観を押し付ける世界は息苦しいものでしかない。

そうしたテーマ性は良いのだが、ドラマの展開が読めてしまい、あまり盛り上がりなく平板に終ってしまったのが残念でした。サプライズも用意されていたがいまひとつの出来。

B・ミドラーやM・ブロデリックを久々に見た。私がシネごごろを抱き始めた頃に大活躍していた俳優達だ。こうして会えるだけで嬉しくなる。

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2005/09/06

雨鱒の川

「雨鱒の川」★★★
(盛岡フォーラム2)2003年日本 
監督:磯村一路
原作:川上健一
出演:玉木宏 綾瀬はるか 中谷美紀 阿部寛

病弱な母と2人で暮らす心平は、絵を描くことと魚捕りが大好きな8歳の少年。幼なじみの小百合は聴覚が不自由だが、心平だけに不思議と意思が通じ合った。ある日、心平の描いた雨鱒の絵がパリの児童絵画展で特賞に選ばれた。その祝賀会の夜、帰りの雪道で母は倒れ亡くなってしまうが…。

祝福されない若き恋人たち。小百合の祖母、そして父親は生活のため、地域社会のため、それぞれの恋を諦めてきた過去を持つ。それらと対比させることで、心平と小百合の旅立ちがより鮮やかなものになっている。

雨鱒との交流。耳を当て互いの気持ちを確かめ合う大木の幹。川に映える花火。自然の中の神秘性も大切に描かれている。

葉加瀬太郎の情緒的なヴァイオリンの響きも良かった。

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2005/08/26

ツイステッド

「ツイステッド」★★★
2004年アメリカ 
監督:フィリップ・カウフマン
出演:アシュレイ・ジャッド サミュエル・L・ジャクソン
   アンディ・ガルシア デイヴィッド・ストラザーン

サンフランシスコ市警殺人課で初の女性捜査官となったジェシカ。父親代わりのミルズ本部長に見守られ順調なスタートを切る。しかし、彼女は酒場で会った行きずりの男と一夜限りの関係を持ってしまうことがしばしばあった。ある時、続けざまに2件の殺人事件が発生する。被害者はいずれもジェシカと関係した男だったが…。

非常に丁寧に作られた作品であると思う。効果音や小道具など細かいところに神経を配ったフィリップ・カウフマン監督の演出はなかなかのものである。

だが、ミステリーとしてみるとそこが不満になってしまう。それらを見ていれば真犯人は容易に分ってしまうのだ。伏線の張り方にもう少し技が欲しかった。

こうした役柄を演じるとアシュレイ・ジャドはピカイチの存在感を見せる。

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2005/08/19

ギャング・オブ・ニューヨーク

「ギャング・オブ・ニューヨーク」★★★
2001年アメリカ 監督:マーティン・スコセッシ 
出演:レオナルド・ディカプリオ キャメロン・ディアス
   ダニエル・デイ=ルイス リーアム・ニーソン

1846年。ニューヨークのファイブ・ポインツ。アイルランド移民たちの組織“デッド・ラビッツ”はアメリカ生まれの住人たちの組織“ネイティブズ”と激しく対立していた。そして、抗争の最中、デッド・ラビッツのボスであるアムステルダムの父親が敵のボス、ビリーに殺されてしまうが…。

厚みある映像が素晴らしい。セットや衣装の豪華さに圧倒される。壮大なスケールを持つ大作であることは間違いない。

たが、その映像の深みに物語が負けている。父親の敵を討つ復讐ドラマとしても、ラブストーリーとしても中途半端。それぞれの登場人物に感情移入できないのだ。2時間40分という上映時間を使っても、テーマを絞りきれなかったのではという思いが残る。

アカデミー賞にもノミネートされ評判高いダニエル・デイ=ルイスの演技だが、私には作り物のようであり、いまひとつ馴染めなかった。

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2005/08/18

黒水仙

「黒水仙」★★★(DVD)
2001年韓国 監督:ペ・チャンホ
出演:イ・ジョンジェ アン・ソンギ
   イ・ミヨン チョン・ジュノ

50年間独房に収監されていた男ファン・ソクが釈放された。同じ頃、漢江に水死体が上がる。捜査を始めた殺人課のオ刑事は被害者がヤン・ダルスで朝鮮戦争中、捕虜収容所が置かれていた巨済島で脱走捕虜を捕らえる任務についていたことを知る。その捜査の過程でソン・ジヘという女性の古い日記が見つかるが…。

現代のどこにでもあるような殺人事件を追いかけるうちに、数十年前の悲劇が浮びあがってくる。前半は野村芳太郎監督の「砂の器」(1974)を想起させて、大いに引き込まれる。

だが、後半で崩れてしまう。肝心の捕虜脱走事件について人間関係が不明瞭で未整理のままだ。様々な疑問点が解消されないまま残ってしまう。次に、オ刑事(イ・ジョンジェ)が捜査で日本の宮崎に向うところ。疑惑の男がとても日本人とは思えない変なイントネーションの言葉を使うことには文句をつけない。問題は男がオ刑事を高千穂峡に誘ってからのくだり。これではあまりに現実離れしているし、アクションシーンにもひねりがない。そして、クライマックスの展開も大いに不満。あれだけ盛り上げておいて、見事に肩透かしを食らった思い。もう少し違う趣向があったのではないか。

最後でソク(アン・ソンギ)が「その体にさわるな」と一喝する場面が強く心に焼き付く。一人の女性を愛したことでその半生を独房で暮らし、ただ木彫りの人形を彫りつづけた男。その報われない想いの全てがここに収斂されている。

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2005/08/14

バイオハザードⅡ アポカリプス

「バイオハザードⅡ アポカリプス」★★★
(DVD)2004年アメリカ 
監督:アレクサンダー・ウィット
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ シエンナ・ギロリー
   ジャレッド・ハリス トーマス・クレッチマン

巨大企業アンブレラ社の地下研究所“ハイブ” から生還したアリスは何者かに捕えられてしまう。無人の病院で目を覚ました彼女は本能的に“T-ウィルス”がラクーンシティ中に蔓延していることを知る。やがて、特殊部隊の女性隊員ジルら生き残った者たちと合流し脱出を試みるが…。

地下施設ハイブからハイテク都市ラクーンシティに戦いの舞台を移したのが2作目の趣向である。だが、空間が広がった分だけ話が拡散し焦点が絞りきれなかった感じがする。

それは登場人物にも言える。原作のゲームで活躍する人気キャラ、ジル・バレンタインを登場させ、元々のゲームファンを喜ばせていることは分る。だが、アリス(M・ジョヴォヴィッチ)との関係において中途半端の位置付けでしかない。二人が出会うことによって生じる反発や嫉妬という心理的葛藤がなく、いつの間に一緒になって闘っているだけ。アリスには見せ場が用意されているが、ジルには特になく霞んでしまっている。ダブルヒロインならでは活躍をもっと見たかった。

そして、町に取り残された少女アンジェラを救出するというプロットも、生物兵器ネメシスの扱いも弱いと思う。アクションシーンの迫力やスピード感はなかなかのものであるが、全体的に設定の説得力に欠けていると思う。

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2005/08/10

フレンチなしあわせのみつけ方

「フレンチなしあわせのみつけ方」★★★
(シネ・アミューズ/ウェスト)
2004年フランス 監督:イヴァン・アタル
出演:シャルロット・ゲンズブール イヴァン・アタル
   アラン・シャバ エマニュエル・セニエ

パリの自動車販売会社に勤めるヴァンサンは、不動産会社で働く妻ガブリエルと小学生の一人息子ジョゼフの3人暮らし。誰もが羨ましがる温かい家庭を築いているように見えるが、ヴァンサンはエステティシャンの愛人を作っていたのだ。それにガブリエルは薄々と気がついているのだが…。

壜などから服の上に水をかけるというシーンが何度も挿入されている。これは理性という構えた気持ちを打ち破り、本心をさらけ出そうとする試みではないだろうか。

しかし、ドラマにメリハリがないのかバランスが悪いのか、上映時間以上に長く感じた。それはこれで話が終わるのかなぁと思っていると、そこからまた違う話が始まっていくことが続いたせいであろう。

個々のエピソードは面白いものもあるが、時系列をバラバラにした構成が分りにくいものにしている。

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2005/08/09

ロッキー4/炎の友情

「ロッキー4/炎の友情」★★★(DVD)
1985年アメリカ 監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン ドルフ・ラングレン
   タリア・シャイア カール・ウェザーズ

かつて、2度にわたり壮絶なヘビー級タイトルマッチを演じたロッキーとアポロは、今では固い友情で結ばれていた。ある時、ソ連のアマチュアチャンピオン、ドラゴが渡米し、ロッキーとの試合を要望する。そのニュースを聞き、アポロは自分が代わりに闘いたいとロッキーに直訴するのだが…。第6回ゴールデン・ラズベリー賞でS・スタローンがワースト監督賞、ヴィンス・ディコーラがワースト音楽賞を受賞。

本作品をロードショー公開時に観た時には、非常に面白く感激して観たのが、こうして約20年ぶりに観直してみると直線的で分りやすい描写に苦笑してしまう。S・スタローンが何を訴えたいのか、非常に明確でいいのだが、映画としての深みに欠ける。

とは言え、好きな場面がたくさんあることは間違えない。1作目の頃の貧困生活が嘘のように大邸宅に住み、スポーツカーを乗り回すロッキー(S・スタローン)。ドラゴ(D・ラングレン)との試合が決まりロシアの雪山でトレーニングに励む。その際、ドラゴが科学者によって最新鋭の機械的なトレーニングなのに対して、ロッキーはロッジにあるものを使って原始的なトレーニングを行う。この対比の妙。ロッキーに野性味が失っていないことを示す。そして、雪山に上ってガッツポーズをするのは、このシリーズのトレードマークのようなものだが、分っていても胸熱くなる。

ジェームズ・ブラウンの歌う「リビング・イン・アメリカ」が挿入されている。当時のMTVとリンクされた作りに、懐かしさを覚える。

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2005/08/06

トルク

「トルク」★★★(DVD)
2003年アメリカ 監督:ジョセフ・カーン
出演:マーティン・ヘンダーソン アイス・キューブ
   ジェイ・ヘルナンデス モーネイ・マザー

半年前、麻薬密売の容疑を着せられ恋人シェインを残し一人姿を消したケアリーが故郷の街に戻ってきた。彼はバイカーギャングのリーダー、ヘンリーから数台のバイクを預かっていたのだが、その車体に大量のドラッグが隠されていたのだ。それに気付いたケアリーは身の危険を感じバイクを隠し逃亡したのだが…。

アクション映画は我々が日常生活の中で体現することのない格闘の醍醐味を見せてくれる。我々はカンフーアクションをすることも、チャンバラをすることも、2丁拳銃を構えてガンファイトすることはできない。本作品のようなバイク同士でのバトルもそうだ。その臨場感こそ夢の世界だ。

しかし、ここまでCGを多用されるとあまりにテレビゲームのようであり、夢の世界にひたることはできない。特にクライマックスで登場するヘリコプター用のジェット・エンジンを搭載したという“Y2K”での格闘が、ひねりがなく安易で面白くなかった。その前の女性ライダーたちの戦いの方が、様々な技が用いられ、はるかに楽しかった。

主人公のキャラクターもあまり薄っぺら。半年で逃亡先のタイから戻ってくるが、この時間が中途半端だ。その逃亡の理由、戻ってくる理由、それぞれに共感できるようなものでなく魅力に乏しい。

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2005/07/21

アレックス

「アレックス」★★★
2002年フランス 監督:ギャスパー・ノエ
出演:モニカ・ベルッチ ヴァンサン・カッセル
   アルベール・デュポンテル フィリップ・ナオン

ゲイクラブに押し入った2人の男がある男の顔を消化器で殴って殺すという事件が発生する。マルキュスは恋人アレックスが暴行され、友人でアレックスの元恋人でもあるピエールと共に犯人を捜し出し、復讐しようと考えていた。やがて、女装ゲイ、ヌネスからテニアという男の名を聞き出すのだが…。

縦横無尽に動き回る不安定なカメラは、アレックス(M・ベルッチ)に宿った胎児の魂ではないかと思いました。本作品は事件の結末からスタートし、時間が逆行しながら美しく幸せな場面へ遡っていく構成になっている。その最期から誕生まで胎児の魂が回想しているのではないかと私は読みました。

評判の「カルネ」(1994)も「カノン」(1998)も未だ観る機会がなく、本作品が初見となったギャスパー・ノエ監督。その演出は評判どおり壮絶なものでした。

モニカ・ベルッチの女優魂には感服した。

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2005/07/20

LOVERS

「LOVERS」★★★
2004年中国 監督:チャン・イーモウ 
出演:金城武 アンディ・ラウ チャン・ツィイー
   ソン・タンタン

全盛を極めた唐王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国。凡庸な皇帝と政治の腐敗から各地で叛乱が起こる。その最大勢力である“飛刀門” 討伐の命を捕吏のリウとジンは受ける。リウは遊郭で評判を呼んでいる盲目の踊り子、シャオメイが飛刀門の前頭目の娘であるとにらみ、ジンは遊郭の客になりすまして近づくが…。

チャン・イーモウ監督がいかに武侠映画を撮るのかという興味を、絵画のような色彩で見せてくれた「HERO」(2002)。そのあまりに素晴らしさに、武侠映画第2弾となる本作品にも期待が高まりました。しかし、・・・。

まず、クライマックスのくどさと言ったらない。古びたドラマ展開にウンザリしてしまう。前半の見せ場、遊郭での“鼓打ちの舞”が見事なだけに、その失望感は加速された。華美な美術や衣装には堪能したが、この3人の愛憎劇には付いていけなかった。

前半と後半のアンバランスさは、急逝したアニタ・ムイの影響によるもの