2011年ベストテン
・洋画部門
01 リメンバー・ミー
02 未来を生きる君たちへ
03 マネーボール
04 英国王のスピーチ
05 ヒア アフター
06 ザ・ファイター
07 ブルーバレンタイン
08 愛する人
09 アンストッパブル
10 パレルモ・シューティング
・邦画部門
01 冷たい熱帯魚
02 一枚のハガキ
03 八日目の蝉
04 まほろ駅前多田便利軒
05 奇跡
06 マイ・バック・ページ
07 アントキノイノチ
08 婚前特急
09 劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ
10 大鹿村騒動記
最近はツイッターばかりとなってしまい、ココログの更新ができないでおりますが、ベストテンぐらいは残しておきたいので、久々にアップしてみます。
2011年を振り返れば、東日本大震災を抜きには語れない。毎年、様々な災害に見舞われる日本列島であるが、死者1万5千人以上、行方不明者3千人以上という想像を絶する被害をもたらした。さらに、原発事故も引き起こすこととなり、復旧にはどれだけの時間がかかるのか、全く見通せない事態に陥っている。暗澹たる1年でありました。
映画界でも直接的にして、間接的にしろ大影響を被ることとなり、興行収入も減少することになります。しかし、楽天イーグルスの嶋選手に倣えば、“映画の底力”を発揮させてくれた1年であったとも言えるのです。どんな時でも、映画は人々から求められるものであり、誇りをもって2012年も秀作を生み出して欲しいと祈念いたします。
洋画の1位の『リメンバー・ミー』は、こうした2011年に相応しい作品。とにかく、終盤の展開に驚かされ、映画の様相が見事に一変する。2位の『未来を生きる君たちへ』は、昨年の『息もできない』のように、暴力の連鎖が何故起こっていくのか痛烈に描いた作品。子供たちに語ることの難しさも感じました。3位の『マネーボール』は、あまり日の目の見ないメジャー・リーグのジェネナル・マネージャーを主人公としたところが新鮮。野球界の深部を見せてくれます。4位の『英国王のスピーチ』は、コンプレックスをいかに克服していくか、その過程を興味深く描く。5位の『ヒア アフター』も、死後の世界というクリント・イーストウッド監督には合わないような題材と思わせながら、きちんとまとめてしまうところは流石。生き残った者の負い目を静かに描いています。
6位の『ザ・ファイター』、7位の『ブルーバレンタイン』、8位の『愛する人』と、家族とは、夫婦とは、という普遍的な問いかけを投げかげてくれる作品群。愛するだけでも駄目、憎しみ合っても駄目ということを思考させる。9位の『アンストッパブル』は、あまり話題にならなかったが、職業人としての誇りと心意気を見せてくれ、気持良い作品。10位の『パレルモ・シューティング』は、異国の街を彷徨い続ける夢幻性が心地よく、デニス・ホッパーの追悼の意を込めて入れました。
日本映画の1位は『冷たい熱帯魚』。園子温監督は意欲作、話題作を撮り続けているが、正直あまり好きな作品は少ないのである。だが、この映画は別格。何故、犯罪に巻き込まれていくのか、この過程が克明に描かれている。人物造形も巧みであれ、でんでんや黒沢あすかの笑い声が不気味に残り続ける。
2位の『一枚のハガキ』は、新藤兼人の最後の監督作品ということだが、若々しいエネルギーに満ち溢れ驚かされた。3位の『八日目の蝉』、4位の『まほろ駅前多田便利軒』は傑作小説を見事に脚色させた。小説の世界を見事に映像化し、より深化させている好例である。5位の『奇跡』も是枝監督の子供の使い方のうまさが光る一編。奇跡は起きるものではなく、起こすものである。
6位の『マイ・バック・ページ』は青春の残滓を苦々しく描いた作品。夢や希望が叶うことは少なく、敗北の味を噛みしめて生きていかねばならない。7位の『アントキノイノチ』も、高校生という多感なときに過酷な状況に置かされて道を外れてしまった二人のドラマ。傷を受けたものしか分からない共感が二人をメインロードへ導いていく。
8位の『婚前特急』、9位の『ロックンロールは鳴り止まないっ』は新鋭監督の秀作。完成度は高くないかもしれないが、勢いの良さと今後の期待につなげる。10位の『大鹿村騒動記』は、原田芳雄の追悼の意を込めて。
2012年も素晴らしい映画がたくさん待っています。できるだけ映画館に出かけたいものです。
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