製作年:2010年

2011/06/13

冷たい熱帯魚

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:園子温

ふとしたことから邪悪な男に取り込まれ、後戻りの出来ない世界へと堕ち込んでいく一人の男。この世の常識から逸脱した極悪非道の世界。ブラックユーモアを散りばめながら描かれていく魂の彷徨。

村田幸雄(でんでん)や村田愛子(黒沢あすか)のような高圧的な態度で迫られたとしたら、自分はどこまで対応できるのか。どこかで拒絶することができるのか。流されるままに凶行に付き合わされていくのか。見ている間、そうした思いが心の中を駆け巡り、落ち着くことがなかった。そうしたところは井筒和幸監督の『ヒーローショー』(2010)に通じていると思う。禍々しいばかりの描写の続く映画であるが、現代社会の一面を抉り取った力作である。

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2011/04/05

タイタンの戦い

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:ルイ・ルテリエ

人間社会を支配する神々の熾烈な抗争。横暴な神に反逆を試みる人間たち。人類の存亡を賭けて冥界の王に戦いを挑む一人の勇者。

神の側に立つか、人間の側に立つか。ゼウス(リーアム・ニーソン)の息子ペルセウス(サム・ワーシントン)は、二つの道を選べるのであるが、迷うことなく人間として生きる道を選ぶ。幼少の頃から人間として生きてきたのだからそうなのだろうが、常人では望めない力もあるのだから、その辺りの逡巡も普通ではないか。その葛藤がない分、物語に深みが感じられない。

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2011/04/04

ソルト

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:フィリップ・ノイス

二重スパイの容疑をかけられ、仲間たちから追跡されることになるCIA分析官。着々と迫る大統領暗殺の危機。決死の逃亡劇の末に明かされる驚愕の真実。

例えば『逃亡者』(1993)のように、逃亡を続けながら無実であることを明らかにしていく定番の逃亡劇かと思っていると、その枠組みがどんどん崩れていっていく。右に曲がって行くのかと思うと、フルスピードで左へ駆け抜けてしまう感じ。そんな意外性が面白かったとは言えるが、後から粗筋を追認していくと、ずいぶんと大がかりで無理のある陰謀劇であることに気付く。

現実味が乏しいというマイナス点もあるが、アンジェリーナ・ジョリーという極めて個性的な女優の雄姿を見られるという楽しさが勝っていると思う。

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2011/03/23

ザ・ウォーカー

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:アレン・ヒューズ/アルバート・ヒューズ

文明が完全崩壊してしまった終末世界。世界に一冊だけの本を守り西へと歩き続ける一人の男。世界を支配するため本を探し求める街の独裁者。

一冊の本にどれだけの示威があるのか分からないが、それを求めるものには無限の価値があるのである。それを否定しても仕方ない。奪うカーネギー(ゲイリー・オールドマン)も、守るイーライ(デンゼル・ワシントン)も、立場は変えればおかしな行動に見えるかもしれないが、権力闘争とは本来そういうものなのであろう。

だが、30年も彷徨を続けたというのは、あまりに作り過ぎの設定と感じてならない。

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2011/03/21

ソーシャル・ネットワーク

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:デヴィッド・フィンチャー

誕生からわずか数年で世界最大のソーシャル・ネットワーク・サービスに成長した“facebook”の秘密。創設者マーク・ザッカーバーグと彼を取り巻く若者たちが織りなす愛憎入り混じる人間模様。華麗なる成功物語とは対照的な影の物語。

マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)がいかなる人物か、冒頭のシーンで克明に明らかにされている。常人には理解しがたい頭の回転の速さは、女性心を理解することができない。

ビジネスでは成功していくが、彼の孤独感を生涯癒されることがないのではないかと想起させるラストシーンであった。

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2011/02/28

BOX 袴田事件 命とは

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:高橋伴明

人が人を裁くことの重さと困難さ。警察捜査への重大な疑問点。決して消し去ることができない苦悩。

日本の裁判制度に対して疑問符を投げかけたのは周防正行監督の『それでもボクはやってない』(2007)であったが、本作品もそれに続くものである。実際の死刑判決を下した元裁判官の告発を受けて製作された本作品は、いかにして冤罪が生まれていくのか、克明に描写されている。

熊本典道(萩原聖人)のように苦悩するものが少数派であり、ほとんどは膨大な仕事量の中に埋没してしまう。自分が当事者となってと想像するだけに身震いが起こるようである。この悲劇は珍しいことでない。

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2011/02/21

アンストッパブル

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:トニー・スコット

化学物質を大量に積んだまま暴走を始めた無人貨物列車。刻々と迫ってくる大惨事の危機。命懸けで事故防止に挑むベテラン機関士と新米車掌。

プロフェショナルとは自分の世界を知っている者のことを呼ぶのであろう。勤続28年のベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)もその一人である。何が適切で、何が異常か瞬時に判断できる男だ。

本作品で起こる暴走事故に対しても的確な判断を下すことで、数々の危機を未然に防ぐすることができた。仕事のできる男は輝いて見える。

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2011/02/20

海炭市叙景

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:熊切和嘉

大規模なリストラが断行される造船所。再開発地域にただ一軒残る老女の古い家。水商売の仕事を始めた妻と日々深まっていく溝。

佐藤泰志の未完の連作短編集を映画化されたものであるが、自ら命を絶った小説家の絶望感が色濃く反映された作品である。日々を静かに暮らしていきたいだけなのに、時代と社会がそれを許してくれない。重大な岐路に立たされたとき、人は何を思い、何を迷い続けるのか。

新しい道へ進んでいければよいのであるが、決断できずに過ごす毎日。それを不幸とは簡単には言えないのであるが、その立ち止った姿がなんとも哀しく映る。

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2011/02/17

ヒーローショー

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:井筒和幸

つまないことで始まった暴力の応酬。呆然としている内に深みへはまっていく絶望感。死地を経て取り戻す望郷の念。

原因と結果というものは切り離せないと思うが、こうすればどんなことになるか予想ができない者が増えているではないか。あまりに軽いノリで、暴力と報復が始まっていく。井筒和幸監督が描く新たな暴力映画は、現代の風潮を反映させたものであり、大いに見応えがあった。

この話の展開ならもっとブラックな終末もあり得るのであろう。そこに一途の希望を残す辺り、監督の思いを感じました。

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2011/02/15

モンガに散る

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製作年:2010年
製作国:台湾
監 督:ニウ・チェンザー

不良グループから因縁をつけられてしまう転校生。台北一の歓楽街で裏社会へと足を踏み入れた少年グループ。乱闘の日々の中で高める熱き友情とその後のほろ苦い運命。

ただ一緒にいるだけで楽しかった。義兄弟の契りを交わし、固い絆で結ばれているはずなのに、何故、道を違えてしまったのだろうか。モンク(イーサン・ルアン)に対して、悪魔のような囁きが心の奥にたまり始めていく。それが一つ、二つではないのが実に巧い。

彼の心の動きが見るものへ的確に伝わってくる。やがて大きく引き裂かれていくことになるのであるが、それがとても切なく感じられます。

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