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2010年12月

2010/12/30

ルイーサ

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製作年:2008年
製作国:アルゼンチン/スペイン
監 督:ゴンサロ・カルサーダ

ブエノスアイレスに暮らす孤独な女性。規則正しい生活を過ごす毎日。愛猫が亡くなった日に2つの仕事も失ってしまう最悪の事態。

ルイーサ(レオノール・マンソ)は何も語らないが、マンションの管理任ホセ(マルセロ・セレ)が過剰な程に彼女の世話を焼くのは、かつて、彼女の身の上に大変な災厄が襲ってことを知っているからに違いない。それは、夫と娘を同時に亡くした事件(もしくは事故)であろう。あろうことか、またもルイーサに危機が襲いかかる。

そこからの彼女の行動には、素直に肯定できないものもあるけれど、決まり切った日常を打破することで、過去の悲劇を乗り越えていくことになる。哀しみは時間が経っても消えないこともある。

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2010/12/21

アイガー北壁

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製作年:2008年
製作国:ドイツ/オーストリア/スイス
監 督:フィリップ・シュテルツェル

1930年代、欧州最後の難所と呼ばれ、何人もの一流登山家を拒んできたアイガー北壁。ナチス国家の期待を背負い挑戦を続ける若き登山家たち。牙を剥いて襲ってくる前人未踏の絶壁。

時代性もあるのだろうが、国家的プロジェクトにしては、あまりにも杜撰というか、登山家まかせの登山計画であり、見ていてヒヤヒヤする。案の定、防げたかもしれない事故が起こってしまうのだ。

才能ある二人、トニー・クルツ(ベンノ・フユルマン)やアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ルーカス)に、もっとしっかりした支援があればと思わざるを得ない。

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2010/12/20

ソフィアの夜明け

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製作年:2009年
製作国:ブルガリア
監 督:カメン・カレフ

社会主義体制の崩壊から経済の自由化という激動の日々を過ごしたブルガリア。そこで生きる閉塞感の中の兄弟。さらに追い討ちをかける薬物中毒治療の苦痛。

あまり見る機会のないブルガリアの街並みが興味深い。“ヨーグルト”や“琴欧州”などで日本でも馴染みのある国ではあるけれど、その実情など知る術がなかった。例えば、トルコ人に対する差別的態度を取る人々がいるなど教えてくれるから、映画とは有効な表現であると思う。

しかし、知らない国とは言え、そこで生きているのは同じ人間であるから、イツォ(フリスト・フリストフ)の苛立ちも、ゲオルギ(オヴァネス・ドゥロシャン)の不安も、十二分に伝わってくる。

イツォが国を出てもすぐに将来が開ける保証などないだろうが、閉塞感を打ち破るのはまず行動するしかない。その肯定的姿勢を映画的に表わしたものだと思う。

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2010/12/19

ロボコン

製作年:2003年200707133

製作国:日本
監 督:古厩智之

“理数系の甲子園”で競うあうロボット技術。人数集めのためにロボコンに携わることになる一人の少女。競技を重ねるごとに成長を遂げていく落ちこぼれ四人組。

この当時はまだまだ無名であったが、いまや、長澤まさみ、小栗旬、伊藤淳史、塚本高史と揃えば、大注目を浴びること間違いなしの四人組である。公開当時は、ロボコン自体の目新しもあって、ベストテンにも入れた作品であるが、こうして再見してみると、細部が気になって仕方ない。

里美(長澤まさみ)のやる気のなさ。相田(小栗旬)の人付き合いの不得手さ。四谷(伊藤淳史)の自信のなさ。竹内(塚本高史)の根気のなさ。それぞれの短所がロボコンを通して克服していくのが本作品の主題であると思うけれど、その心の動きを的確に描いているとは感じられない。それらしいエピソードもあるが、あくまで説明でしかなく、表現にはなっていない。図師先生(鈴木一真)の存在もそうである。彼らをどのくらい確信的に導いているのか分からないのである。

“今日がずっと続いたらいいのに”と里美(長澤まさみ)がつぶやく場面は秀逸だった。

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