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2010年9月

2010/09/30

ジャック・メスリーヌ Part 2 ルージュ編

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製作年:2008年
製作国:フランス
監 督:ジャン=フランソワ・リシェ

カナダからパリへ何度も繰り返される犯罪と脱獄の日々。ただの犯罪者でなくアンチヒーローとして大衆に認知して欲しい願望。矛盾した感情が次々に露わとなる多面性。

銀行強盗を繰り返し逮捕されるのだが、いとも簡単に脱獄してしまうメスリーヌ。そんな彼の暗殺計画を練る警察組織。

日本では考えられない展開を描く後編には、メスリーヌの陽気さと残虐性が複雑に絡み合い、目を奪われる。刹那的に生きる彼に未来など待っていない。

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ジャック・メスリーヌ Part 1 ノワール編

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製作年:2008年
製作国:フランス
監 督:ジャン=フランソワ・リシェ

フランスの暗い影を残すアルジェリア戦争。“社会の敵No.1”と呼ばれた伝説のギャングの壮絶な人生。エスカレートしていく刹那的人生。

全編合わせると4時間を超える大作だが、実在したフランスの犯罪王ジャック・メスリーヌの半生を描いて見飽きることがない。様々な側面を描くことで、彼の抱える複雑さ、矛盾した感情がよく表現されていて、そこに物語としての面白さがあった。

スペイン女性ソフィア(エレナ・アナヤ)と恋に落ちたメスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)。彼にも更生しようとした時期もあったが、長続きしない。妻を殴り飛ばして悪の道に戻っていく場面が印象深い。

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2010/09/28

十三人の刺客

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:三池崇史

満足することを知らず残虐行為を繰り返す将軍の弟。老中就任を阻止するべき動き出した暗殺計画。300人を超える軍勢に壮絶な戦いを臨むことになる十三人の男たち。

武士というものは、なんと理不尽なものか。例え、島田新左衛門(役所広司)の襲撃を暴君松平斉韶(稲垣吾郎)を守り抜いたとしても、鬼頭半兵衛(市村正親)には何も得るものなどないであろう。必死に守った“武士の一分”など跡形もなく消えてしまう。そんなことは分かっていても、戦わなければならないのだ。もっと合理的に斉韶を見限ってもいいのではないかと思えてならない。

それにしても、よくこれほどの汚れ役をアイドルグループSMAPのメンバーでもある稲垣吾郎が引き受けたものである。冷血無比な雰囲気がまた絶妙に合っている。脇に回った松方弘樹も、これぞ時代劇という定型を発揮し流麗な台詞や殺陣で大いに魅せる。

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2010/09/27

彼女が消えた浜辺

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作年:2009年
製作国:イラン
監 督:アスガー・ファルハディ

カスピ海沿岸へバカンスにやって来たイランの三組の家族。忽然と姿を消してしまうゲストで招いた一人の女性。必死の捜索の中で明らかになる彼女の本名すら知らないという不確実。

イランの人々もこんな陽気に楽しむんだという意外さから始まる物語であるが、子供のうちの一人が溺れるという事件から様相は一変してしまう。子供が助かり一安心してから、エリ(タラネ・アリシュスティ)の不在が分かり再び騒然となる。家族たちのエゴが明らかになり、心が離反してしまう。それが見ていて辛かった。

物語の着地は私はもっと違う形を予想していた意外なラストで終わる。エリの真情は一体何だったのだろうか。凧揚げを無邪気に楽しんだことが最後の無垢だったのだろうか。彼女の思いはどこにも届かなかったのか。

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書道ガールズ!! わたしたちの甲子園

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:猪股隆一

書道の意味が分からず苦悩が続く少女。疲弊していく地域経済。再生のため心を合わせる書道パフォーマンス。

町のどこからでも見える紙工場の煙突が、彼女たちのアイデンティティと言える。どんなに迷っていても、変わらないものがあるというのは心の拠り所になる。が、その煙突も永遠に続くものではない。経済事情によって、なくなってしまう可能性も高いのだ。そんな危うさが心を粟立たせる。

主人公里子を演じた成海璃子だが、「武士道シックスティーン」(2010)とあまりに共通点の多いキャラクターである。苛立ち、不機嫌、一見強そうで脆い心。そうした心情を巧みに演じる。

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2010/09/24

終着駅 トルストイ最後の旅

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製作年:2009年
製作国:ドイツ/ロシア
監 督:マイケル・ホフマン

初めて知るロシアの文豪トルストイの晩年。熱狂的な信奉者たちと激しく対立していく妻。長年連れ添った夫婦しか分らない捩れ曲がった愛の形。

理想と現実の間で混迷を深めていくワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)の存在がいい。知識として知る教義から、体験からしか学べない真実へとたどりつく彼の成長ドラマとしても見応えがある。

ソフィヤを演じるヘレン・ミレンが素晴らしい。自分のことより、自然主義的思想を信奉するトルストイ主義を選んでしまうことに怒っているだ。時に愛らしく時に愚かしい彼女を見ていれば、悪妻と呼ぶことはできなくなる。

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2010/09/23

悪人

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製作年:2010年
製作国:日本
監 督:李相日

孤独な男女の切実な願望が錯綜する出会い系サイト。悪いタイミングが複数も重なり引き起こされる悲劇。出口など見えない逃避行の愛に全てを賭けた女。

大切な人はいるかという深い問いかけが心に染みる。石橋佳乃(満島ひかり)と増尾圭吾(岡田将生)の二人が、そのことにもっと自覚的であれば、こんな殺人事件など起ることなかった。

罪を犯した清水祐一(妻夫木聡)だが、馬込光代(深津絵里)とあんな美しい夕陽を見ることができたのだ。それだけで、彼は救われたと思う。

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