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2010年7月

2010/07/19

無防備

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製作年:2007年
製作国:日本
監 督:市井昌秀

“無防備”というタイトルが効いている。無邪気に振舞っている外側でどんな感情がうごめいているのか、分かったものではない。妊婦の千夏(今野早苗)が、いたずら心で律子(森谷文子)にした行為には唖然。心の傷を隠している律子でなくても、あれは激怒ものであるが、このエピソードは一つの誇張である。

どこまで親しくなれば、心の内を見せられることができるのか。そこには普遍的な尺度はなく、人と人の関係性の中から、探っていくしかない。無防備にさらけ出せば、お互い同士が傷付くことになる。

そして、傷付いた関係性は修復できるのか主題も浮かび上がってくる。律子の夫、礼二(西本竜樹)が、また相当に誇張されて存在する。どうしてあれだけ無関心でいられるのか。人と人が一緒に暮らしている意味とは何か。いろんな問い掛けが生まれてくる。

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2010/07/18

第9地区

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製作年:2009年
製作国:アメリカ/ニュージーランド
監 督:ニール・ブロンカンプ

いろいろ考えてみると「アバター」(2009)と共通するポイントがいくつか見つかる。多国籍企業による大規模な搾取。建前よりも実益を求めての強制移住。人類とエイリアンとの混合する新種のDNA。圧制者から非圧制者への転身。エイリアンへの深い共感。割と近い期間で公開されたSF映画で同じような視点で語られているのが、実に興味深い。今の世界情勢に警鐘を鳴らす思いが込められているのではないか。

本作品で言えば、秀逸な舞台設定が効いており、エイリアンを移民と容易に変換できる。ドキュメンタリー調から始まる映画がアクション映画へ変わっていくのは評価の分かれるところ。私としてはドキュメンタリー調のまま進めて欲しかった。

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2010/07/11

アリス・イン・ワンダーランド

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製作年:2010年
製作国:アメリカ
監 督:ティム・バートン

ティム・バートン監督のファンにとって賛否両論分かれる内容という評判は本当だった。赤の女王イラスベス(ヘレナ・ボナム=カーター)が悪者、白の女王ミラーナ(アン・ハサウェイ)が良者とはっきり分かれてしまってよいのかという疑問が残る。なにより帽子屋マッドハッター(ジョニー・デップ)が、ヒーローなのかコメディーリリーフなのか、その立ち位置がよく分からない。

アリス(ミア・ワシコウスカ)との関係もあやふやなままだ。少女が異界に迷い込み、戦いを通して成長していくファンタジー映画としては良く出来ていると思うが、キャラクター造形が未整理だったのではという思いは消えない。

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2010/07/08

シャッター アイランド

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製作年:2009年
製作国:アメリカ
監 督:マーティン・スコセッシ

あれだけ宣伝で“驚愕の真相”とか“脳に騙される”とか言われれば、どんな内容か予想が付いてしまう。そう待ち構えてみれば、オープニング・シーンから不自然なやり取りがあり、すぐにどんなプロットが読めてしまうのだ。まさにその読み通りの結末となり、とても驚愕の映画とは思えない。今の映画宣伝とはここまで言わなければならないのだろうか。

それはさておき、テディ(レオナルド・ディカプリオ)の最後の台詞、“モンスターとして生きるか、善人として死ぬか、どちらかだ”は、深い余韻を残すことになる。さすがマーティン・スコセッシ監督なので重厚な映像表現が素晴らしく、先入観なしで見られれば面白く鑑賞することができるであろう。

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2010/07/04

息もできない

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製作年:2008年
製作国:韓国
監 督:ヤン・イクチュン

圧倒的な好評を受けて見始めるが、その評判に偽りなし。傑作を観たという虚脱感にひたる。情け容赦ない暴力を振るサンフン(ヤン・イクチュン)。気の強い女子高生ヨニ(キム・コッピ)に対しても、手加減することなく鉄拳を振るう。

そんな二人であるのに、何故かウマが合い、奇妙な交流を続けるから面白い。そのままラブ・ストーリーへ移行するかと思えば、さにあらず。なんという因縁が続くのかという、痛烈なドラマが待ちうけている。暴力の連鎖は、どこで始まり、どこで終焉するのだろうか。深く考えさせられる作品だった。

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