九月に降る風
製作年:2008年
製作国:台湾
監 督:トム・リン
本作品がありふれた青春ドラマと一線を画するのは、1996年当時、実際に起きた台湾プロ野球の八百長事件と平行して描いていることである。ただの時代背景というには、あまりに多用されて過ぎている。逆の味方をすれば、この問題こそ映画製作者はテーマにしたかったのではないか。スポーツとしての夢と希望を背負ったプロ野球が八百長していたと明らかになった時、真のファンはどれほどの失望と怒りを感じたことか。その激しい感情は、本作品の登場人物たちが直面するものと重なって見えてくる。
バカ騒ぎをして楽しんでいた7人の男子生徒。その関係がいつまでも続いていくと思えたのに、気がつけば一人抜け、二人抜け、バラバラになってしまう。誰もこんな事態は予想もしていかった。その空しさを抱えて、前を進んで行かねばならない。最後にプロ野球選手のリャオ・ミンシュン本人が登場するのは、彼らとプロ野球の再生へのエールとも感じ取れた。
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