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2010/01/03

2009年ベストテン

洋画部門
1 母なる証明
2 チェンジリング
3 私の中のあなた
4 グラン・トリノ
5 縞模様のパジャマの少年
6 イングロリアス・バスターズ
7 ジュリー & ジュリア
8 レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで
9 キャピタリズム マネーは踊る
10 マイケル・ジャクソン THIS IS IT

邦画部門
1 フィッシュストーリー
2 サマーウォーズ
3 ディア・ドクター
4 空気人形
5 ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ
6 劔岳 点の記
7 沈まぬ太陽
8 誰も守ってくれない
9 ポチの告白
10 風が強く吹いている

2009年は興業的に洋画苦戦の年と言われるが、作品の質では劣っているとは思えず、ベストテン候補作をざっと選んでみても、軽く20タイトルを越えてしまう。そこから10作品選ぶのに大いに苦労しました。字幕離れ、ミニシアター離れと、洋画を取り巻く環境は厳しいですが、洋画はまだまだ侮れないと感じさせた一年でありました。

さて、当初、「チェンジリング」、「グラン・トリノ」を見たときに、今年もクリント・イーストウッド監督作品の1-2フィニッシュで決まりかと思っていましたが、それを越える作品が出てこようとは。大いなる驚きと完成度の高さに感服したのは「母なる証明」でありました。冒頭のシーンが象徴しているように、見る者の予断を大きく裏切る展開が続く、全編飽きることはありません。ポン・ジュノ監督はさらに進化しております。

1位「母なる証明」、2位「チェンジリング」と並びが良いので、母性愛三部作として3位には「私の中のあなた」を。どんな犠牲を払おうとも我が子を守るために戦い続ける母親たちの姿が心に焼き付いて離れません。

4位「グラン・トリノ」 はマカロニ・ウェスタンやダーティ・ハリーのようなアクション・スターを演じ続けてきたクリント・イーストウッド自身が暴力の連鎖を断ち切る主人公を演じる。その意味は非常に重い。

5位「縞模様のパジャマの少年」は、なんと痛烈なラスト・シーンであるか。終盤からその展開が読めてくるのであるけれど、悲劇を止められない無力感を呪わずにはいられません。そのタイトルの意味が深く響いてきます。

6位「イングロリアス・バスターズ」は、タランティーノ監督の最高傑作ではないか。会話劇にあれほどのサスペンス感を持たせたことに感心する。

7位「ジュリー & ジュリア」と8位「レボリューショナリー・ロード」は好対照に位置付けられる。理想と現実の差を埋めようとするヒロインの出発点は同じなのに、この到着点の違いは何か。理想を手にするためには何をしたら良いかを考えさせられました。

9位「キャピタリズム」は、この世の中の仕組みを理解することの大切さを痛感。政治経済ニュースを額面的ではなく、裏の意味を考えなければいけない。中流家庭を崩壊させるアメリカ社会から何を学び取るかだ。

10位「THIS IS IT」は、マイケル・ジャクソンの偉大な才能を再認識。奇人変人でもなく、過去のスターでもない。最後までアーティストであり続けたのだ。その死去が今更ながら惜しまれてならない。

続いて邦画の総評であるが、洋画とは逆に、候補作を10タイトル集めるのでさえ大いに悩んでしまった。ベストテン級の作品を何作も見落としていることもあるのだけれど、それを差し引いても邦画は質的苦戦と言わざるを得ない。毎年、ベストワンはこれしかないという風格を感じさせる作品があるものだけれど、そういう強いインパクトが感じられなかった。来年に期待したい。

「フィッシュストーリー」は、絶対的な作品がない中、気持ちの良いラストに惹かれて1位に選びました。誤訳から始まった「フィッシュストーリー」がロック・ナンバーとなり、巡り巡って地球を救うことになっていく展開が実に痛快。表現者たちに理想と言ってよい。伊坂幸太郎の小説が続々と映画化されているが、その中でもトップに位置すると思う。

2位「サマーウォーズ」は、アナログ世界もデジタル世界も両立してこそ、人の生活は安定していくのではないかと教えてくれる。それぞれのフィールドで戦う主人公たちに感動する。

3位「ディア・ドクター」、4位「空気人形」は、西川美和と是枝裕和の師弟コンビを並べてみる。「ディア・ドクター」を1位にしても良かったのではあるが、もはや西川美和監督ならこれぐらい当たり前という期待度が高い。そんな期待を大きく突き抜けてしまったポン・ジュノとの差がここにある。

5位「ヴィヨンの妻」は、風格を感じさせる根岸吉太郎監督作品。だが、数々の主演女優賞を獲得した松たか子の熱演を認めるものの、よりイメージを一新するような飛躍を遂げて欲しいという思いも残る。

6位「劔岳」、7位「沈まぬ太陽」は大変な労作。映画としての満足度はいささか低いのだけれど、製作されたこと自体を賞賛したい。

8位「誰も守ってくれない」、9位「ポチの告白」は警察の知られざる一面を描いた社会派ドラマ。警察官といえども、当たり前であるが、生身の人間。社会正義の使命感だけを求めてはいけないのであろう。

10位「風が強く吹いている」は爽やかなスポーツドラマ。なんといっても小出恵介が絶品。彼の言葉は真実味を持って聞く者へ伝わってくる。時間の制約もあって、個々の人物背景が描ききれていないのは仕方ない。完成度は高くないかもしれないが、心地よい風を感じるようであった。

2009年は洋画87本、邦画36本の123本を劇場鑑賞。2010年も素晴らしい映画に出会いたいものです。

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2:欧米映画の作品賞・部門賞。 [続きを読む]

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外国映画ベストはグラン・トリノ、日本映画は市川準監督の遺作に [続きを読む]

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2009年ベストシネマ15(邦画編)  なんだかまとめるのが遅くなってしまって・・・。 昨年は年間87本(洋画39本、邦画48本)の映画を劇場で鑑賞しました〜 一昨年が101本でしたから、少し減ってしまいました 特に洋画は少ない本数に終わりました。 惹かれる内容のものが少なかったこともありますが、 その分、邦画は年々いい作品が増えて来ていると思います。 昨年同様邦画の方がベスト15のチョイスもし易かったです(笑)   ベスト15   ? 『少年メリケンサック』    ? 『引き出しの中のラブレター... [続きを読む]

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