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2009年12月

2009/12/24

その日のまえに

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:大林宣彦

ここ数年、意欲的に作品を発表し続ける大林宣彦監督であるが、全体的傾向として描写がくど過ぎるのではないだろうか。若者向けではなく、すべての観客層に受け入れられるように分かりやすさを追求しているのは、監督のインタビューを読んでいて分かるのであるが、あまりに過剰過ぎるのもどうかと思う。

本作品も、その流れから外れていない。この脚本を、139分ではなく、思い切って90分ぐらいまで凝縮させれば、かなり秀作になるのではないかと思わずにはいられない。宮沢賢治の「永訣の朝」を歌うシーンの反復が煩わしく感じられ、クライマックスの花火の場面も、もっと短くて良かったのではないだろうか。佐藤俊治(筧利夫)のエピソードをあえて削ったとしても、日野原健大(南原清隆)とその妻・とし子(永作博美)のドラマを弱らせることにならなかったはずだ。間延びしてしまった感じが拭えませんでした。

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2009/12/23

タフ

製作年:1989年
製作国:オランダ
監 督:イネ・スヘンカン

シネ・ヌーヴォの“オランダ映画特集2009”の中で上映されていた作品。こうした特集番組の楽しさは、前情報をほとんど知ることもなく真っ白な状態で映画にのぞめることにあると思います。たまたま上映時間の都合で選んだ本作品も、どんなジャンルか分からず、最初はコメディーかと思っていると、そんな生易しいものではなく、まさにタイトルどおりタフな状況が続いていく物語でありました。

アムステルダムの街を舞台に、自由をもて余して途方に暮れている若者たちを描いた群像劇。そうチラシ等に紹介されていますが、それは非常に断片的な側面しか触れておらず、あまり適した情報ではないと感じました。その施設の名称が正しく分かりませんが、社会的状況に傷ついた若者たちが日常生活に復帰するまでの一時避難所を巡る社会派ドラマでありました。

その職員たちも個性的でありますが、それを上回る若者たちの感情剥き出しの言動が圧倒的です。ほとんどの者が暖かい家庭環境を知らないためだろうか、自分の感情をコントロール出来ずに、怒ったり泣いたりして、周囲を翻弄させる。それは同時に自分自身の心も蝕んでいくことにもなり、あまりにひどい場合には精神病院に送らなければならず、全ての者を救えない虚無感も感じられました。

それでも、この施設があってなんとか立ち直ろうとする者もいる。そんな若者たちのために奔走する職員たちに感銘を受けました。

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2009/12/20

TOKYO!

製作年:2008年
製作国:フランス/日本/韓国
監 督:ミシェル・ゴンドリー「インテリア・デザイン」
    レオス・カラックス「メルド」
    ポン・ジュノ「シェイキング東京」

個性派監督が東京を舞台に競作したオムニバス作品。三作品の中では、ポン・ジュノ監督の「シェイキング東京」が群を抜いて良かった。10年間引きこもり続ける男(香川照之)が宅配ピザの女性(蒼井優)に恋をしてしまうという話であるけれど、それだけで物語が終わらないのは、いかにもポン・ジュノらしいと思う。どうしても時間的制約があるので説明不足のエピソードもありますが、見る者の予兆を裏切り続ける話の転がり方に感心いたしました。映像も極めて美しく、陽光の使い方も絶妙でありました。

ミシェル・ゴンドリー作品は意外な結末に驚き、レオス・カラックス作品は、かなり引いてしまいました。

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2009/12/07

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

製作年:2009年
製作国:アメリカ
監 督:ケニー・オルテガ

最後まで現役のアーティストだったのだ。本作品を見て、つくづく感服した。絶え間なく続く私生活面でのスキャンダル。常人には計り知れない奇行奇癖。発売されるアルバムもベスト盤ばかり。もはや過去の栄光にすがるしかない、終わってしまったアーティストだとばかり思っていた。

だが、このリハーサル映像に映し出されているのは、そんな男ではない。最初のダンス・シーンから心を奪われる。彼にしか生み出せない激しいパッションを感じさせるパフォーマンスである。リハーサルでこのレベルであるのだ。本番のステージでは、どれだけの迫力を発揮させるのか、想像するだけで身震いがする。改めて、マイケル・ジャクソンの夭逝が惜しまれてならない。

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2009/12/03

母なる証明

製作年:2009年
製作国:韓国
監 督:ポン・ジュノ

こんな凄い映画だとは思わなかった。「ほえる犬は噛まない」(2000)、「殺人の追憶」(2003)、「グエムル 漢江の怪物 」(2006)と、過去のポン・ジュノ監督長編作品は、それぞれ傑作ばかりで、期待感いっぱいで観賞したのであるが、それを大きく上回る出来栄えである。殺人事件の容疑者となった息子を救出するため、真犯人を探し続ける母親のドラマ。それだけなら、決して珍しい話ではない。その枠をどんどん飛び出していくから、目が離せなくなる。

冒頭のシーン。ここからして傑作の始まりを思わせる。とにかく、見る者の予兆を打ち破るようなドラマ展開がどんどん続いていくのだ。ただのドンデン返しではない。決して明朗とは言えない結末を知ってなお、何度も見直したくなるのは、非常に優れた脚本と共に、鮮烈な映像に魅了されたためであろう。人間の業の深さとは何か、大いに考えさせられました。

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