ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ
製作年:2009年
製作国:日本
監 督:根岸吉太郎
ファム・ファタールと言えば、男を破滅させる魔性の女、いわゆる悪女のことを意味する用語として使われることが多い。まさに、男にとっての運命の女、決して逃れる術もなく、ひたすら堕ちていくしかない。本作品の佐知(松たか子)も、その一人ではないかと感じた。才能に恵まれながらも、私生活では酒を飲み歩き、借金を重ね、浮気を繰り返す小説家の大谷(浅野忠信)。そんな身勝手な振る舞いにも、文句も言わず夫を支える佐知を、誰もが誉めるであろう。
だが、本当にそれだけであろうか。元々、破滅型志向があったとはいえ、佐知と家庭を持つようになってから、大谷のそれは加速されてしまっている。佐知が何も言わないから甘えているのだという一面もありつつ、別の側面も隠させているのではないか。佐知は、いわゆる良妻賢母という女性ではない。思い切った行動の裏側には、彼女自身、破滅志向を秘めているのではないかと予感させるのだ。無意識的にも男を狂わす何かを秘めた女ではないだろうか。
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