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2009年10月

2009/10/29

リミッツ・オブ・コントロール

製作年:2009年
製作国:アメリカ
監 督:ジム・ジャームッシュ

何かジム・ジャームッシュ監督の集大成と感じさせる作品でした。過去の作品の残像が次々と重なってきて、まさにジム・ジャームッシュの映画であるなぁと感じさせます。とはいえ、これまでの作品の中で一番難解である。

「世界で一番偉いと思っている男を殺す」。その指令を受けた“孤独な男”(イザック・ド・バンコレ)。スペインの各地でコードネームだけで呼ばれる仲間たちから指令を受け取り続ける。その細かい反復の連続。宇宙には中心も端もないという言葉には、どんな意味が込められているのか。謎が謎のまま、すべて明らかにならない。現実と非現実が錯綜する風景を色彩感覚豊かにとらえたクリストファー・ドイルの映像美に酔い痴れました。

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2009/10/27

キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語

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製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ダーネル・マーティン

何気なくブルースのコンピレーション・アルバムで聴いていたマディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、ハウリン・ウルフ。彼らが一つのレーベルに活躍し、互いに影響を与えあっていたとは、本作品を見るまで知らなかったです。シカゴの伝説的ブルース・レーベル“チェス・レコード”の盛衰を描く本作品は、アメリカ音楽史に関心があれば実に興味深いドラマでありました。

しかし、個々のエピソードはただ事実をなぞっているような羅列であり、登場人物たちの心情が深く描ききれなかったのが惜しまれる。やはり、レーベルを始めたレナード(エイドリアン・ブロディ)の生涯をしっかりと中心に据え、個々のミュージシャンとの交流やエタ・ジェイムズ(ビヨンセ・ノウルズ)との恋愛感情を重点的に描くべきではなかったかと思う。

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2009/10/25

女の子ものがたり

製作年:2009年
製作国:日本
監 督:森岡利行

菜都美(深津絵里)が回想する子供時代に、森迫永依(小学生時代)、大後寿々花(高校生時代)という天才子役を持ってくる豪華な配役。それは主人公を際立たせるためなのでいいにしても、菜都美の友人二人に波瑠や高山侑子をキャスティングするのはどうかと思う。あまりにモデル然とした二人の美少女が、どうしてあれほどまでにドメスティック・バイオレンスに耐えなければいけないのか、よく分からなくなってしまうからです。

容姿が恵まれていることも一つの天分であるとすれば、別の道も容易に開けるはず。それが幸福への道であるとは限らないが、何も不幸を幸福と思いこむような道だけを進むことはなかっただろう。最後には感動的な逸話が用意されていて泣ける映画に仕上がっているけれど、もうひとつ共感度が低かったです。

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2009/10/22

3時10分、決断のとき

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジェームズ・マンゴールド

ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が最初に登場するシーンが良い。アウトローというイメージにはそぐわない野生の鷹をスケッチしている。そこへ手下のチャーリー(ベン・フォスター)が迎えに現れたため、鷹は飛んで行ってしまう。それだけの場面であるが、この二人の微妙な関係が窺われ、終盤の展開の布石になっていると感じました。ベンにしろ、ダン(クリスチャン・ベイル)にしろ、白黒では割り切れない登場人物たちの性根を巧みに描いているところも良かった。正反対とも言える二人の中である共感を持ち得ていくところがドラマの醍醐味でありました。

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2009/10/20

モンゴル

製作年:2007年
製作国:ドイツ/カザフスタン/ロシア/モンゴル
監 督:セルゲイ・ボドロフ

これでもかというくらいテムジン(浅野忠信)が放浪や捕らわれの身になっているエピソードが続く。どんな苦難が続こうと、最後にはチンギス・ハーンになると分かっているので心配はいらぬのであるが、それでも、目を背けたくなってしまいます。それでいて、なぜあれほどの大帝国を築くことができたのか、その諸事は全く描かれていない。執拗にテムジンの人格形成の経過を追い続けていく。

モンゴルの大自然の風景描写が素晴らしく、冷徹な美しさに目を奪われます。少年時代、アンダ(盟友)の誓いを交わしたジャムカ(スン・ホンレイ)との対決が物語を盛り上げていきます。「蒼き狼 地果て海尽きるまで」(2006)を合わせ見ると興味深い。

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2009/10/15

縞模様のパジャマの少年

製作年:2008年
製作国:イギリス/アメリカ
監 督:マーク・ハーマン

あぁ、なんという結末だろうか。強制収容所のフェンス越しに友情を築いていく二人の少年。ナチス将校を父に持つブルーノ(エイサ・バターフィールド)と縞模様の“パジャマ”を着たシュムエル(ジャック・スキャンロン)。この二人の友情に明るい未来などないことは自明である。

だが、その悲劇的な道程をすっかり見誤っていた。てっきり、別の話を予想していたのである。終盤に入るくだりで、その結末は読めてくるので、意外性に驚くことはない。その悲劇を止められないもどかしさで、心がかき乱されるのである。タイトルが深く心に突き刺さるのであった。

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2009/10/14

サブウェイ123 激突

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製作年:2009年
製作国:アメリカ
監 督:トニー・スコット

えぇ、これで終わりなの。かなり拍子抜けの感じが拭い去れない。それは、ライダー(ジョン・トラヴォルタ)の振る舞いだ。表面的な行為とは違う別の真意があるだろうと予想していたのに、あれで終わってしまうとは。別の意味で呆気にとられてしまった。身代金の輸送方法も犯人側の逃亡計画も、あまりに杜撰と言えば杜撰。現実的にはこういうこともあるかもしれないが、娯楽作品なのであるから、もっともっと知恵を絞って欲しい。

前半の見せ場であるガーバー(デンゼル・ワシントン)が左遷の事情を語るシーンは、さすがという名演を披露していただけに、後半があまりに残念であった。

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2009/10/13

20世紀少年 最終章 ぼくらの旗

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製作年:2009年
製作国:日本
監 督:堤幸彦

なるほど、そういう意味があったのか。第1章のファースト・シーンの重みを再確認する最終章であります。もし、ケンヂが放送室ジャックをしてT-REXをかけなければ、今回の事件は起きなかったかもしれない。いや、それだけではない。いくつもの分岐点があり、そこでケンヂが違う選択をしていれば、また違う結果になったかもしれないのだ。

気付いた時には、もう取り返しのつかないところまで来ているかもしれない。だが、その意味を知ることが大切なのである。最後の脳内タイムスリップのエピソードは、そのためにも必要だったのであろう。

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2009/10/12

コレラの時代の愛

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製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:マイク・ニューウェル

純愛映画というのは数え切れないくらいあるけれど、本作品はその中でも異色中の異色であろう。初恋の女性を待ち続ける男というのは珍しくないかもしれないが、フロレンティーノ(ハビエル・バルデム)は簡単に共感しえない男である。出会いからの日から51年9ヶ月4日と細かく数えているところが薄気味悪いし、いかにフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)を想い続けていたとしても、亡くなった亭主の葬儀のすぐ後で、求愛に訪れるというのは非常識も甚だしい。それでいて、彼女への純潔を誓いながら、結果的に肉体関係を持った女性のことを事細かくノートに記述しているのだ。

それだけなら陰気でつまらない男のように思えるが、関係を持った女性が622人もいるという。それも娼婦でない一般女性ばかりなのである。それだけの女性を魅了させる男が持ち続けた純愛。イメージのギャップが実にユニークな作品だったと思います。

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2009/10/11

ココ・シャネル

製作年:2008年
製作国:アメリカ/イタリア/フランス
監 督:クリスチャン・デュゲイ

「このぐらいの挫折には負けない。私の人生は失意の連続だったんだから」。15年ぶりの新作ファッションショーが酷評され、時代遅れの烙印を押されてしまうココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)。周囲から引退を勧められるが、彼女は、もう一度チャレンジする。その不撓不屈の精神は、様々な愛の挫折を乗り越えてきた彼女の人生から生み出されるのである。伝記映画としてココ・シャネルの生涯がどこまで忠実に反映されているか分からないけれど、波乱万丈の人生を歩んできた凄みをシャーリー・マクレーンが絶妙に体現していると思いました。

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2009/10/08

南極料理人

製作年:2009年
製作国:日本
監 督:沖田修一

平均気温マイナス57℃という過酷な気象状況にある南極ドームふじ基地。個性あふれる八人の隊員たち。限られた食材を使用して供される日々の食事。評判どおり料理の場面はおいしそうであったし、個々のエピソードはクスクス笑えるのだけど、映画全体を通して訴えかけるものが弱いと思う。そのあやふやさは、西村(堺雅人)のキャラクター造形にあるのではないか。

まず、ストレスを抱えた隊員たちの心を料理で解きほぐそうと使命に燃える主人公と書かれている粗筋解説と、映画の中で見る彼の振る舞いにギャップを感じる。決しては望んでいなかった南極勤務を、積極的に勤めようとする気持ちの切り替えが見えなかったし、妻・みゆき(西田尚美)と娘・友花(小野花梨)とのコミュニケーション・ギャップが何故、生じているのかも分かりにくい。様々な問題をいかに克服していくのか、その過程をじっくりと見せてくれればいいと思うのであるが・・・。

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2009/10/06

鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

製作年:2005年
製作国:日本
監 督:水島精二

なかなかの秀作であるとの評判を覚えており、期待感を持って見ました。テレビ・シリーズを受けて始まる本作品は初心者的には疑問符ばかりが続き、なかなかその世界観を掴むのに苦労しました。鑑賞後、テレビ・シリーズの粗筋を調べていって、納得する設定でありました。こうしたアニメ・シリーズは大概そうしたものであるので仕方ないけれど、逆に分からない分、その意味を探りながら見ていくのも、想像力を刺激されて面白いものです。欠落感を埋めようと旅を続けるエドワード(声・朴路美)とアルフォンス(釘宮理恵)の兄弟。理想郷“シャンバラ”をめぐる陰謀劇。現実世界と錬金術世界をつなぐ道。

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2009/10/04

ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム

製作年:2005年
製作国:アメリカ/イギリス
監 督:マーティン・スコセッシ

トッド・ヘインズ監督の「アイム・ノット・ゼア」(2007)では、ボブ・ディランのさまざまな側面をイメージさせてくれたが、それを受けて本作品を見ると、さらに興趣が高まると思う。なんと言っても210分という膨大な上映時間でありながら、全く飽きることなく見ることができたのは、ボブ・ディランというアーティストがいかに生まれ、いかに成功していったか、詳細に描かれているからだ。

現在のディランのインタビュー姿からして風格があるのに参ってしまうし、彼の口にするアーティストたちの映像や音楽が次々と挿入されているのが凄い。これだけの資料を集め編集した労を思うと、ただただ感服してしまう。様々な批判にも負けることなく、「でっかくいこう」の声と共にロック・バンドで歌った姿が忘れられません。

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2009/10/03

マルタのやさしい刺繍

製作年:2006年
製作国:スイス
監 督:ベティナ・オベルリ

取り合わせの妙ということがある。「ヤング@ハート」(2007)では、老人とパンク・ミュージックという意外な組み合わせに目を引いたが、本作品では80歳のおばあちゃんたちがランジェリーショップを開くという驚きの物語だ。夫の死により打ちひしがれたマルタ(シュテファニー・グラーザー)が、昔の夢を実現しようとして、俄然、生命力を取り戻す。だが、厳格なプロテスタントの村では、そう簡単に理解を得られず周囲から冷たい視線を浴びてしまう。

しかも、マルタの息子ヴァルター(ハンスペーター・ミュラー=ドロサート)は牧師でもあるのだ。彼女の夢が潰えてしまうのかどうかは、見てのお楽しみ。本作品の主題は、抑圧されたまま生きるというのはつまらないということだ。ほんのちょっとでいいから、自分の気持ちを正直に踏み出してみれば、世界は簡単に変わっていく。

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2009/10/01

愛のむきだし

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:園子温

本作品の主人公となるとなる若い三人の男女。ユウ(西島隆弘)、ヨーコ(満島ひかり)、コイケ(安藤サクラ)。彼らに共通しているのは、親からの愛がほぼ完全に欠如しており、歪な形でしか精神形成をなされてこなかったことである。それが引き起こす異常行為の数々。暴力行為を用いてまで、相手を手に入れようとするユウとヨーコは、直情的で分かりやすいと言ってもよい。

問題はコイケである。新興宗教の幹部として、ある種の地位を得たとしても、心を解放させることはできず、ユウとヨーコの関係を破壊させていくだけでなく、自らも滅んでいく道を選ぶ。そんな彼女がずっと手放さなかった小鳥。彼女の求めてやまない愛の象徴だったのか。

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