愛を読むひと
製作年:2008年
製作国:アメリカ/ドイツ
監 督:スティーヴン・ダルドリー
映画を通して、一人の生涯を俯瞰してみることができる。本作品のヒロイン、ハンナ(ケイト・ウィンスレット)も場合もそうだ。彼女がその人生で何を選んできたか知り、それは正しくないと論評することもできる。ハンナは一つの秘密を守り続け、重い罪を背負っていく。時代も国も違う自分には、そんなことぐらいでとも思えるが、この映画には描かれていない部分こそ思いやらなければいけない。例えば、どんな環境で彼女は生まれ、どんな幼少時代を過ごしたのかということ。孤独に生きて、教育を受ける機会もなかったのではないだろうか。絶対に自分の弱さを見せてはいけない。その頑なな姿勢が彼女の生活を守り続けてきたのだ。戦犯裁判でも優先されてしまうくらいの強固な思い。そうした選択を安易に批評することはできないし、実際、その事実に一人気が付いたマイケル(デヴィッド・クロス)も沈黙を守る。
本作品はここから、様々な含みを残す。成人したマイケル(レイフ・ファインズ)が再び朗読を始めることにより、ハンナは誰にも頼らず学習を始める。ここまではいい。感動的な交流である。だが、それだけで終わらない。何故、ハンナの手紙に対して返事を出さないのか。あれだけのテープを送りながら、面会に行って直接朗読をしてあげようとしないのか。一定の距離を崩そうとしない姿勢を貫くマイケル。少なくとも、それはハンナの望むものではなかったはずだ。彼女の孤独は変わることなく続き、最後の決断になってしまったのではないだろうか。
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