« デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく | トップページ | チェイサー »

2009/05/07

闇の子供たち

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:阪本順治

かつて日本映画が作り得なかった幼児売春や臓器密売をテーマに一つの作品を撮ったという意義は大きい。阪本順治監督は撮影中に声が出なくなってしまったというくらい精神的にも追い込まれた過酷な現場だったという。そうした執念の結集した映像は、目をそむけてしまいたくなるような緊迫感がある。

そんなことを全て分かった上でこう書くのは辛いものがあるけれど、一つの作品としてはあまりに欠落が多過ぎるのではないか。そもそも、バンコク支社の記者・南部浩行(江口洋介)の最後の崩壊は一体なんだったのか。危険な取材を果敢に進めていく前半の姿とはかけ離れ、あまりに唐突すぎるのではないか。与田博明(妻夫木聡)へ職業的意義を教えたことがすべて無駄になってしまったように感じる。

子供を犠牲に成り立つタイの現状を許しているのは、世界の無関心であることということ。それを糾弾するのには、ボランティアとしてバンコクの社会福祉センターで働く道を選んだ恵子(宮崎あおい)を中心に展開していった方が収まりのよい映画になったと思う。完成度の高さより、どこか破綻していても感情に引っ掛かる映画を撮り続けるのは、阪本順治監督らしいと言えばそれまでであるが。

|

« デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく | トップページ | チェイサー »

製作年:2008年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/59722/44934023

この記事へのトラックバック一覧です: 闇の子供たち:

» 闇の子供たち [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『値札のついた命』  コチラの「闇の子供たち」は、「月はどっちに出ている」や「血と骨」の原作者梁石日の同名小説を「顔」や「カメレオン」の阪本順治監督が脚本も手掛けた8/2公開の衝撃作なのですが、観て来ちゃいましたぁ〜♪阪本監督の舞台挨拶もあったのですが、...... [続きを読む]

受信: 2009/05/07 21:43

» 『闇の子供たち』 [ラムの大通り]
「ときどきフォーン相手に喋るのが 躊躇われる映画に出くわすことがある。 梁石日の原作を映画化したこの阪本順治の新作は タイを舞台に人身売買、幼児売春という ショッキングな題材を扱ったもの。 タイ駐在の新聞記者・南部裕行(江口洋介)が、 若いフリーカメラマン、与田博明(妻夫木聡)の協力を得て 闇ルートで取引されているという臓器の密売に関する取材を開始。 一方、理想を胸に秘めてバンコクのNGO団体に加入した音羽恵子(宮?あおい)も その悲惨な現実を目の当たりにしていく。 エイズに冒された少女のアッ... [続きを読む]

受信: 2009/05/07 22:13

» 闇の子供たち [映画鑑賞★日記・・・]
公開:2008/08/02製作国・年度:日本、2008年 PG-12上映時間:138分監督:阪本順治出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、豊原功補、鈴木砂羽、塩見三省、佐藤浩市値札のついた命+あらすじ+日本新聞社のバンコク支局駐在の南部(江口洋介)は、東京本社からタイの臓器密売の...... [続きを読む]

受信: 2009/05/07 23:26

» 闇の子供たち [だらだら無気力ブログ]
梁石日の同名小説を原作にタイで横行している幼児売春や 臓器密売を巡る闇を描いた作品。日本新聞社のバンコク支局駐在の南部は、東京本社からの依頼で タイの臓器密売の調査を開始する。 同じころ、恵子はボランティアとしてバンコクの社会福祉センター に到着する。 取材を..... [続きを読む]

受信: 2009/05/08 01:24

» 映画「闇の子供たち」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
タイの反政府活動は、首相府占拠、支持者の衝突と流血、非常事態宣言と混乱を深め、が、昔からの利権争奪合戦の色合い濃く国民も軍部も冷めている~ この映画、臓器密売に幼児売買春とテーマは極めて重い、「アポカリプト」の生贄の脈打つ心臓をえぐりとるほどのシーンは... [続きを読む]

受信: 2009/05/08 12:23

» 236「闇の子供たち」(日本) [CINECHANの映画感想]
助けたい命がある  日本新聞社バンコク支局の記者・南部浩行は、東京本社から、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得る。こうして闇ルートによる臓器売買の取材を開始する。同じ頃、東京で社会福祉を学んだ女性・音羽恵子は、タイの社会福祉センターで子供たちのボランティア活動に従事する。  南部はそんな音羽や、バックパッカーをしているフリーカメラマンの青年・与田博明と出会い、彼らの協力を得ながら、危険な取材を敢行していく。  そして彼らが得た恐るべき真実。提供者の幼児は、生きた...... [続きを読む]

受信: 2009/05/09 01:22

» 『闇の子供たち』@109シネマズ川崎 [映画な日々。読書な日々。]
日本新聞社バンコク支局で、幼児人身売買を取材する記者、南部は、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得る。知人に金を握らせ、臓器密売の元仲介者に接触した南部は、提供者の幼児は、生きたまま臓器をえぐり取られるという衝撃の事実を知る。取材を続... [続きを読む]

受信: 2009/05/10 22:32

» 【闇の子供たち】 [日々のつぶやき]
監督:阪本順治 出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市 「タイ在住の新聞記者の南部は、日本の子供の腎臓移植の実情を調べ始めた。するとタイの子供の臓器が生きたまま摘出されるという情報を掴みフリーカメラマンの与田を連れ更に突っ込んだ取材を開始す... [続きを読む]

受信: 2009/05/12 18:31

» 闇の子供たち(DVD) [ひるめし。]
これは、事実か、真実か、現実か [続きを読む]

受信: 2009/05/12 21:23

» 闇の子供たち■日本人に投げかけられる痛烈な言葉 [映画と出会う・世界が変わる]
「外国に行かなくても、国内でやるべきことがあるんじゃない?」これは海外でボランティア活動を行おうとする若者へ投げかけられる言葉である。ほとんど揶揄である。例の人質事件のときにこのように批判した者たちもいたが、言っているのは何もしていない、しかも政府の「...... [続きを読む]

受信: 2009/05/20 09:18

» 『闇の子供たち』'08・日 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ日本新聞社バンコク支局で、幼児人身売買を取材する記者の南部は、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得るが・・・。感想山周賞作家の梁石日の小説の... [続きを読む]

受信: 2010/10/04 22:57

« デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく | トップページ | チェイサー »