シリアの花嫁
製作年:2004年
製作国:イスラエル/フランス/ドイツ
監 督:エラン・リクリス
イスラエル占領下のゴラン高原。複雑な中東情勢というのはニュースでよく聞く言葉でありますが、本作品を見ることで、その意味を改めて教えられました。自由に行き来できないため、写真でしか見たことのない相手に嫁ぐということ。しかも、一度シリア領に渡ってしまえば、二度と故郷に戻ることができなくなってしまうということ。結婚は家族との永別でもあるということなのだ。仮に結婚に失敗したとしても実家には戻ることはできない。結婚を決めるまでに相当の覚悟がいることだろう。
それなのに、いざ軍事境界線を越えようとすると、通行証の手続きトラブルで立ち往生を余儀なくされる。なんとも不条理な話であるが、これこそ現実ということか。こうした背景だけでも見ごたえのある作品であるが、それだけで終わっていないは花嫁モナ(クララ・フーリ)の姉ラウルのドラマでもあるからだ。境界線とは何も国境だけを意味するのではない。自分の望む場所に行けない自由の制限は家族の中にもあることを明らかにし、より奥深い映画に仕上がっている。
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» シリアの花嫁 [Art- Mill ]
シリアの花嫁 HP
http://www.bitters.co.jp/hanayome/
すばらしい映画!
最高の名画の一つに数えたいと思う。
「境界」という人間が作ったものに翻弄されながらも、強い意志で、一 [続きを読む]
受信: 2009/03/13 23:09
» 『シリアの花嫁』(@「シネマのすき間」) [ラムの大通り]
-----ここだけの話。
実を言うと、この映画
カタログハウスの「シネマのすき間」でフォーンにお話しするの
スゴく迷ったんだって。
そう、 『シリアの花嫁』は
イスラエルの監督がゴラン高原に住むシリアの女性を描いた映画。
昨年、これを観た直後にイスラエルのガザ地区への侵攻が始まって、
いくらフィクションとはいえ、
これを取り上げるのは不適切な気がしたらしい。
ニャるほど、観ればわかるけど、
これは、一種の重喜劇のスタイルをとっていながら、
奥に抱える問題はあまりにも重い。
今日のお話は、どう語ったら... [続きを読む]
受信: 2009/03/13 23:31
» 「シリアの花嫁」 [てんびんthe LIFE]
「シリアの花嫁」試写会 サイエンスホールで鑑賞
これは珍しいイスラエル制作(イスラエル、フランス、ドイツ共同制作)の作品。
テーマの目の付けどころが外国人では難しいところ。
どうみても重たいところなのに、それをコミカルに軽く作っているところが素晴らしい。
出てくる現地の女優さんたちみんな超キレイだし。
地名とか聞いたこともないし覚えられないんだけど、そこの1地域だけがシリアの占領下で分断されているらしいです。
だからと言ってみんなが苦しんでいるわけでもなく、明るく暮らしているのは不思... [続きを読む]
受信: 2009/03/14 23:30
» *『シリアの花嫁』* ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2004年:イスラエル+フランス+ドイツ合作映画、エラン・リクリス監督&脚本、ヒアム・アッバス主演。 [続きを読む]
受信: 2009/03/21 09:51
» シリアの花嫁 [LOVE Cinemas 調布]
ハリウッドで製作される中東を舞台にした作品はよくありますが、これは今最も注目を集めている国・イスラエルが占領し続けているゴラン高原に住むとある家族の物語です。主演ヒアム・アッバス、監督はエラン・リクルスという一般的な日本人には無名な2人。2004年のモントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品です。
... [続きを読む]
受信: 2009/03/22 03:07
» 「シリアの花嫁」:四ノ橋バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/hiyo_en2/}ここがイラン大使館。
{/kaeru_en4/}フセインがいた国だな。
{/hiyo_en2/}いいえ、それはイラク。
{/kaeru_en4/}ああ、鮭の卵か。
{/hiyo_en2/}いいえ、それはイクラ。
{/kaeru_en4/}ああ、上野の近くにある町か。
{/hiyo_en2/}それは、イリヤ。
{/kaeru_en4/}確か、中近東にある国だったっけ?
{/hiyo_en2/}それは、シリア。
{/kaeru_en4/}・・・で合っているんだろ、エラン・リクリ... [続きを読む]
受信: 2009/03/22 16:13
» シリアの花嫁◇The Surian Bride [銅版画制作の日々]
もう二度と帰れない。 それでも私はこの境界を越える。
3月27日、上映最終日に京都シネマへ・・・・。ようやく鑑賞できました。「キャラメル」同様、この作品も中東のお話。地図を見ると、レバノンのベイルートは本当に近いです。
←ゴラン高原の場所はシリアとイスラエルの国境に位置する。クリックすると大きくなります。
物語
イスラエル占領下のゴラン高原、マジュダルシャムス村。今日は村の娘モナが、親戚にあたるシリアの人気俳優タレルに嫁いで行く日。モナは純白のドレスを手に、結... [続きを読む]
受信: 2009/03/29 11:04
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