エレジー
製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:イザベル・コイシェ
奔放な恋愛遍歴を重ねてきた男が思いもかけず30歳年下の恋人に溺れてしまう葛藤。これまでの生涯で味わったことのない嫉妬心と独占欲。二人の関係を進めることができない切ない想いのすれ違い。この種の物語では、若い恋人に振り回され破滅的な結末を迎えるのが一つのパターンであると思う。
だが、本作品は違う。デヴィッド(ベン・キングズレー)が惹かれていくコンスエラ(ペネロペ・クルス)は、悪女的要素もなく従順に愛を深めていこうとするのだ。彼女を失うことを恐れながら、一方でそれに応える勇気が見いだせないデヴィッド。一線を越えられないもどかしさ。この辺りは、「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」(1982)の寅さんを思い出させます。普通であればそのまま終わってしまうであろう二人に見舞われた人生の悲劇。新たな絆が生まれるラスト・シーンは深い余韻を残します。繊細な心情を高めていくピアノの響きも素晴らしかったです。
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