ある愛の風景
製作年:2004年
製作国:デンマーク
監 督:スザンネ・ビア
人は変わっていく。例えば、戦争という異常な状況に置かれたとき、人は思いもかけない自分の姿を見出して驚愕することになる。その過去といかに折り合いを付けるか。映画の中でも、何度も繰り返し描かれてきた主題であるが、決して古びることはない。現実に、戦争は繰り返されているからだ。デンマークという戦地から遠く離れた国でも、その苦悩と無縁でないことを示したのが本作品である。
エリート兵士のミカエル(ウルリク・トムセン)は、誰もが羨むような理想的な家庭人であった。だが、戦争捕虜における過酷な経験が彼を別人に変えていく。逆に、問題児であった弟のヤニック(ニコライ・リー・コス)は、失意の兄家族を見て、頼りがいのある暖かな人となっていく。この皮肉な対照。スザンネ・ビア監督が用意した一つの回答は、ラスト・シーンからうかがえる。苦しみを一人で抱えるものではないということ。例え、過去を変えることはできないにしても、赤裸々な心を明らかにすれば、何かが変わっていくかもしれない。
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