製作年:2008年

2009/11/23

ロックンローラ

製作年:2008年
製作国:イギリス
監 督:ガイ・リッチー

2008年のリーマン・ショック以降、世界的な金融危機に見舞われ、経済的に大変な打撃を受ける。そうしたことを踏まえて、本作品を見ると何か感慨深いものがある。不動産バブルに沸くロンドン。東欧の資本が続々と流入し台頭してくるロシア・マフィア。不動産界を暗然と支配する裏社会。こうした世界そのものが、やがて崩壊していくのである。

ガイ・リッチー監督の出世作「ロック、ストック & トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998)を彷彿させる複雑に入り組んだ群像劇。巧みな編集と魅力的な人物造形で大いに感心させられるが、その行末は暗い。すべてを欲しがるのが“ロックンローラ”というが、彼はこの不況下でも生き残れるのだろうか。

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2009/11/22

純喫茶磯辺

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:吉田恵輔

今時の女子高生が自称小説家に憧れ、いかに作品を読んで欲しいと言われからとはいえ、二人だけの小説家の家へ上がり込んだりしないのではないか。父親と違うタイプに惹かれるというところを見せるためとはいえ、もっと警戒心があってしかるべきだと思う。

そんないかにも作りごとめいたエピソードも多いのであるが、キャラクター造形はなかなかのものである。特に凄かったのは、麻生久美子の素子。近年、日本映画に多数出演している彼女であるが、これほどイライラするような女性を演じきっているのは驚いた。計算づくではなく、本当に人の気持ちが分からず、他者との関係性を深めることできない欠落感を見事に表現していたと思う。

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2009/11/15

ジャージの二人

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中村義洋

“ワケあり父子(おやこ)の、何もしない夏休み”というセールスコピーであったが、何もしないというよりも何もできないと言った方が相応しいのではないか。北軽井沢の山荘へと避暑に来たというより、それぞれの苦悩の日々から逃げ出してきて、つかの間の休息をとっているような感じだ。父(鮎川誠)にしろ、息子(堺雅人)にしろ、それぞれに悩みを打ち明けることはしない。無表情の中で自問自答を繰り返す。買い物の後、山道で道の迷ってしまうエピソードが印象的。まさに息子の現状そのものだ。彼らの悩みは、1年経っても解決していない。だが、解決の糸口はどこかにある。ジャージは一人きりになって、それを見つけていくのだろうと思う。

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2009/11/12

マンマ・ミーア

製作年:2008年
製作国:イギリス/アメリカ
監 督:フィリダ・ロイド

本作品の妙はメリル・ストリープをキャスティングしたところにある。毎年のようにアカデミー賞にノミネートされる当代一の名女優が、単に歌って踊るというだけなく、幼女のようにベッドの上を飛び跳ねたり、勢い余って海に飛び込んだり、けばけばしいステージ衣装を着て大熱唱したりしてしまうのである。これを異質と言うべきか、怪演と呼ぶべきか、大いに迷ってしまうところである。ABBAのヒットナンバーを素直に楽しむミュージカル映画であるが、他のキャストもその歌声に感嘆するというレベルまでなく、最後までどこかズレてしまっている感じがぬぐえない。それはそれで独自の魅力となっているのだが・・・。

同じような趣向でビートルズのヒット曲で作られたミュージカル映画「アクロス・ザ・ユニバース」(2006)という作品もあるが、話のトーンはかなりシリアスだった。アーティストの特性が映画の色まで決めていくのだろう。

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2009/11/11

ベガスの恋に勝つルール

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:トム・ヴォーン

どんなにいがみ合っていようとも、最後に二人は惹かれあっていくのは最初から予想が付くし、実際そうなっていく。いかにもハリウッド映画らしいロマンティック・コメディーであり、気楽に見ることができる。定番化したドラマの中でしみじみと考えさせてくれるのは、自分の心と率直に向き合うことができる機会をいかに持てるかということである。

ジョイ(キャメロン・ディアス)にしろ、ジャック(アシュトン・カッチャー)にしろ、それまでの価値観に縛られすぎて本当に自分というものが見えなくなっている。スロットマシンで大当てした300万ドルのために、半年間の結婚生活を過ごさなければならない二人。無理に無理を重ねることで、お互いの違う一面を発見し改めて恋に落ちていくのであるが、それと同時に新しい価値観にも気付いていくのだ。再生していく道はどこから始まるか分からないのである。

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2009/11/04

あの日、欲望の大地で

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ギジェルモ・アリアガ

マリアーナ(ジェニファー・ローレンス)の事を責めることはできない。無論、自業自得と突き放すこともできるのであるが、愛を拒絶して、自らを罰するように生きる姿は実に痛々しい。いかにもギジェルモ・アリアガ監督の脚本らしい時制を交錯させた巧みな語り口で炙り出されていくのは、彼女の原罪だ。

シルヴィア(シャーリーズ・セロン)と名前を変え、高級レストランのマネージャーとして社会的成功を収めていても、自傷行為を繰り返す。決して消し去ることのできない罪の意識。だが、自分の娘マリア(テッサ・イア)が訪ねてきて、彼女の転機が訪れる。果たして、幸福への道を歩むことができるのかどうか分からない。それでも、一歩前に踏み出したのである。何か変わっていくのは間違いない。

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2009/10/27

キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ダーネル・マーティン

何気なくブルースのコンピレーション・アルバムで聴いていたマディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、ハウリン・ウルフ。彼らが一つのレーベルに活躍し、互いに影響を与えあっていたとは、本作品を見るまで知らなかったです。シカゴの伝説的ブルース・レーベル“チェス・レコード”の盛衰を描く本作品は、アメリカ音楽史に関心があれば実に興味深いドラマでありました。

しかし、個々のエピソードはただ事実をなぞっているような羅列であり、登場人物たちの心情が深く描ききれなかったのが惜しまれる。やはり、レーベルを始めたレナード(エイドリアン・ブロディ)の生涯をしっかりと中心に据え、個々のミュージシャンとの交流やエタ・ジェイムズ(ビヨンセ・ノウルズ)との恋愛感情を重点的に描くべきではなかったかと思う。

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2009/10/15

縞模様のパジャマの少年

製作年:2008年
製作国:イギリス/アメリカ
監 督:マーク・ハーマン

あぁ、なんという結末だろうか。強制収容所のフェンス越しに友情を築いていく二人の少年。ナチス将校を父に持つブルーノ(エイサ・バターフィールド)と縞模様の“パジャマ”を着たシュムエル(ジャック・スキャンロン)。この二人の友情に明るい未来などないことは自明である。だが、その悲劇的な道程をすっかり見誤っていた。てっきり、別の話を予想していたのである。終盤に入るくだりで、その結末は読めてくるので、意外性に驚くことはない。その悲劇を止められないもどかしさで、心がかき乱されるのである。タイトルが深く心に突き刺さるのであった。

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2009/10/11

ココ・シャネル

製作年:2008年
製作国:アメリカ/イタリア/フランス
監 督:クリスチャン・デュゲイ

「このぐらいの挫折には負けない。私の人生は失意の連続だったんだから」。15年ぶりの新作ファッションショーが酷評され、時代遅れの烙印を押されてしまうココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)。周囲から引退を勧められるが、彼女は、もう一度チャレンジする。その不撓不屈の精神は、様々な愛の挫折を乗り越えてきた彼女の人生から生み出されるのである。伝記映画としてココ・シャネルの生涯がどこまで忠実に反映されているか分からないけれど、波乱万丈の人生を歩んできた凄みをシャーリー・マクレーンが絶妙に体現していると思いました。

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2009/10/01

愛のむきだし

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:園子温

本作品の主人公となるとなる若い三人の男女。ユウ(西島隆弘)、ヨーコ(満島ひかり)、コイケ(安藤サクラ)。彼らに共通しているのは、親からの愛がほぼ完全に欠如しており、歪な形でしか精神形成をなされてこなかったことである。それが引き起こす異常行為の数々。暴力行為を用いてまで、相手を手に入れようとするユウとヨーコは、直情的で分かりやすいと言ってもよい。

問題はコイケである。新興宗教の幹部として、ある種の地位を得たとしても、心を解放させることはできず、ユウとヨーコの関係を破壊させていくだけでなく、自らも滅んでいく道を選ぶ。そんな彼女がずっと手放さなかった小鳥。彼女の求めてやまない愛の象徴だったのか。

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