製作年:2008年

2008/07/04

アフタースクール

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:内田けんじ

神野(大泉洋)が北沢(佐々木蔵之介)に語る台詞に感銘を受ける。「自分独りだけ何もかも分かった風にして、学校なんかつまらいという。でも、つまないのはお前自身なんだ」。優れた探偵能力を有しているけれど、見事なくらい次々と裏切りに遭う北沢。事の発端は彼のギャンブル癖にあるにしても、どこか世の中を拗ねたように見ていることも遠因にあるのではないか。北沢と対極にあるのが、神野や木村(堺雅人)たちの友情である。学校で得ることのできる最大の恵みは友人だと思う。勉学など極端な話、過ぎてしまえば何も残らないが、友人関係は大切に築いていけば、延々と残っていく。「アフタースクール」というタイトルがなかなか巧いと思う。

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2008/06/24

西の魔女が死んだ

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:長崎俊一

人生の叡智に満ち溢れたおばあちゃん(サチ・パーカー)。学校生活に疲れ登校拒否となったまい(高橋真悠)へ魔女修行として送る言葉は、特別のものでない。ただ、自分の意志で決めること。そして、それを守ることだ。日常の時間割、家事、勉強。強要されることなく、自分で決められる自由を持てることは、非常に幸せなことだ。ありきたりな感動ドラマであれば、再生したまいが感謝と笑顔で都会に帰っていく話となっていくのであろうが、本作品は違う。おばあちゃんとまいと衝突したまま別れてしまうのだ。大切なことを知っているということと、それを伝えるということは、また別の才能が必要なのであろう。おばあちゃんとママ(りょう)の間にも、確執を解消できない何かがあり、西の魔女とはいえ、すべてがうまくいくとは限らない。そこに人の悲哀を感じる。

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2008/06/21

ラスベガスをぶっつぶせ

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・ルケティック

“カード・カウンティング”という手法を駆使してラスベガスのカジノで荒稼ぎを続けるベン(ジム・スタージェス)。事の是非はひとまず置いておくとして、一つの成功が人間の幅をいかに広げるものかと、大いに感心させられる場面があった。彼は以前からの仲間たちと飲み屋に行っても、話すことも、行動も、どこかずれてしまっている。そのずれた分だけ、彼は飛躍しているのだ。そして、仲間の視線も気にすることなく、ジル(ケイト・ボスワース)へ声をかけ、飲みに誘ってしまう。それまでのベンであったら、そんなことは考えもしなかったし、行動に移すこともしなかったであろう。かつての見えない壁も、成功の自信を持って簡単に乗り越えてしまうのだ。やがて、その自信が自らの墓穴を掘ってしまう事態となり、彼を窮地に追いやる。そこからの諸行動には様々な不確定要因があり、疑問を残る展開になるのであるが、それもひとまず置いておく。成功も失敗も表裏一体であり、どこでバランスが傾くか分からないということだ。何事にも退きどきがある。

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2008/06/17

ザ・マジックアワー

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:三谷幸喜

映画愛に包まれた作品である。映画という虚構の世界を作るために、どれだけのスタッフが携わっているのか。エンドロールの流れる巨大セットの設営風景が静かに胸を打ちます。実際の建築物とは違い、いつか取り壊されてしまうことが宿命の美術セット。これこそ、虚構の象徴であると思う。早送り映像の中、スタッフの労苦が大いに感じ取れます。そもそも、命を助けてもらう代償に無名の俳優を幻の殺し屋に仕立て上げようとするギャングの手下という本作品の粗筋からして、相当に虚構性の強い設定である。その不自然さを忘れ、面白おかしく見させてしまうのは、細部が充実しているからであろう。たかが映画と思わず、真剣に映画を愛する者たちの手で丁寧に作り上げられたと感じさせます。偽の映画撮影に熱演する村田大樹(佐藤浩市)がいい。確かに売れない役者であるということを納得させつつ、 映画愛を大いに体現している。彼のもとへ映画スタッフたちが馳せ参じるところ。それが本作品のクライマックスであると思う。

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2008/06/16

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:アンドリュー・アダムソン

何事にも見合う時期がある。アスラン(声:リーアム・ニーソン)がペベンシー4兄妹へ語るこの言葉に、本作品の主題を読み取ることができる。何故、ナルニア国はテルマール人に侵略されてしまったのか。何故、アスランはそれを止めることができなかったのか。何故、ナルニア国に戻った4兄妹の前に、アスランは姿を現せないのか。物語が進むなか、数々の疑問が浮かび上がってくるが、その言葉に答えが隠されている。もう一つ、「同じ事はニ度も起きない」という台詞もニ場面でアスランから語られて、強調されている。アスランはナルニア国を司る全能の神のような存在であるが、その力を自在に使えるという訳ではないようだ。無限の力を使用するにも相応しい時期があり、そのタイミングを静かに見極めることが肝心なのだろう。

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2008/06/05

L Change The World

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中田秀夫

最悪のスピンオフである。「デスノート」シリーズで夜神月と緊迫の頭脳戦を繰り広げたの魅力を、これほど台無しにしてしまっていいのか。安楽椅子探偵として得難い存在感を見せたであったはずなのに、下手なアクションや緊張感のない逃亡劇をダラダラと続け、肝心の頭脳が全く生かされていないのだ。それに輪をかけて白けてしまうのは、敵役の工藤夕貴や高嶋政伸の思慮のなさ。彼らは何をやろうとしているのか。行き当りばったりの行為の連続に、首を傾げるばかりである。最期の23日間を無駄に消費しているような気がしてならない。

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2008/05/17

砂時計

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:佐藤信介

いかにして心の傷から立ち直ることができるのか。時間が解決するというのは嘘だ。本作品のヒロイン、杏(松下奈緒)は、12年経っても傷を塞げなかった。彼女を見守る家族や恋人には辛く切ないことではあるが、いかに救いの手を差し伸べようとも、本当に再生するには、自分自身で決着させなければならない。結婚を控えた杏は、大悟(井坂俊哉)との再会から心傷が露になり、どん底まで落ちる。そこで何を見つけたのか。それが正しいのか、間違っているか、誰に分からない。だが、その答えを得たことが再生の一歩となる。

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2008/05/13

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:樋口真嗣

雪姫(長澤まさみ)が受け止める様々な視線。射抜こうとする敵兵の怯えた眼。身を呈して助けた筈なのに町民から受ける身も凍るような眼。苦難の末に再会する旧領民の暖かな眼。それらの眼を鏡のように使って、彼女は自分の姿を知る。それがひとつの成長だと思う。黒澤明監督のリメイク元作は、ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」に影響を与え、本作品では、ダース・ベイダーの意趣を鷹山刑部(椎名桔平)の人物造形に取り入れられている。武蔵(松本潤)と雪姫のロマンスも、ハン・ソロとレイア姫を想起させるものだ。文化の継承はこうしてなされていくのだと感慨深かった。

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2008/05/10

バンテージ・ポイント

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ピート・トラヴィス

確かに、あれって思うところも残る。説明不足の人物関係もあるだろう。完成度は高くないけれど、小気味良い複眼サスペンス映画であった。1人の視点で感じる違和感が、別の人物の視点で解明されていく感嘆。そして、クライマックスに収斂していく見事な展開。形は違うけれど、内田けんじ監督の「運命じゃない人」(2004)を思い出しました。

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2008/05/08

チーム・バチスタの栄光

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中村義洋

「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007)で名を挙げた中村義洋監督。同じくミステリー小説を映画化した本作品でも、見事な手腕を発揮している。主人公の田口を男性から女性に変えたという表面的なことだけでなく、原作にはない何気ないシーンに重大な意味を持たせていて、なかなかやるなぁと感心する。原作を先に読んでいるので、事件の真相も分かっている。それでも面白く見られたのは、細部の描写が充実しているだろう。愚痴外来の由来など原作を読んでいないと説明不足のところもあるが、肝心のバチスタ手術など映画を見て理解が深まった。

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2008/05/02

クローバーフィールド HAKAISHA

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:マット・リーヴス

本作品のポイントは、ロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)とベス(オデット・ユーストマン)の幸せだった頃のビデオ映像が何度もフラッシュバックされているところであろう。未曾有の大惨事をひたすら追いかける選択もあったはずだ。映像で記録するということの意味が、二重、三重になって伝わってくる。車酔いするような映像という前評判を聞いていたからか、それほどには感じられなかった。

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2008/04/16

うた魂(たま)

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:田中誠

どうもいまいち乗り切れないのは、脇筋のエピソードが巧く機能していないからだ。例えば、瀬沼先生(薬師丸ひろ子)が行う朝礼の挨拶。いくら臨時教師とはいえ、立ちくらみをしたり、巧く話せなかったりするのは、一体、何故なのか。単に笑いを呼ぶものであれば、全く面白くないし、後に明らかになる意外な素顔と全く繋がっていかない。これなら、無いほうがすっきりする。彼女のキャラクターが曖昧なままなので、「仲間と一緒に歌う時間を大切にしなさい」という心暖まるメッセージも、効果的でなくなってしまう。

自意識過剰だったかすみ(夏帆)が合唱の真の魅力に目覚めていく主題は、定番的とはいえ、やはり胸打つものだ。それだけに構成の甘さが惜しまれる。

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2008/03/02

陰日向に咲く

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:平川雄一朗

台風の夜、全く関係のないような男女の人生が、不思議な縁によって交錯していく群像ドラマ。この種の映画は大好きなのでそれなりに良かったとは思う。だが、惜しまれてならないのは、シンヤ(岡田准一)や寿子(宮崎あおい)たちとみゃーこ(平山あや)とゆうすけ(塚本高史)たちのエピソードが最後まで平行線のままであったこと。様々なレビューを読んでみると同様の指摘が多々あった。誰もが感じることなのに、なんとかならなかったのか。脚本をもう少し練ってから製作して欲しかった。

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