製作年:2008年

2011/04/12

三国志

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製作年:2008年
製作国:中国
監 督:ダニエル・リー

戦乱の続く日々に武将として名を挙げるべき野心に燃える一人の男。やがてめぐり合う志を同じくする主君や仲間たち。最後まで戦い続ける英雄の雄姿。

ちょうど北方謙三版の『三国志』を読み終えたばかりの時に見る機会があったので観賞。『レッドクリフ』(2008)など三国志関係の映画が続いているが、本作はアンディ・ラウが演じる趙雲を主人公にした物語。

劉備、関羽、張飛、孔明、曹操というおなじみの傑物たちは、わずかな時間しか登場しない。代わりに曹操の孫娘というオリジナル設定でマギー・Qが演じる曹嬰と老いた趙雲との戦いがクライマックスに据えられている。

そうしたところが面白いとも言えるが、全体に大河ドラマをダイジェスト編集されたようで満足度は低い。

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2010/12/30

ルイーサ

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製作年:2008年
製作国:アルゼンチン/スペイン
監 督:ゴンサロ・カルサーダ

ブエノスアイレスに暮らす孤独な女性。規則正しい生活を過ごす毎日。愛猫が亡くなった日に2つの仕事も失ってしまう最悪の事態。

ルイーサ(レオノール・マンソ)は何も語らないが、マンションの管理任ホセ(マルセロ・セレ)が過剰な程に彼女の世話を焼くのは、かつて、彼女の身の上に大変な災厄が襲ってことを知っているからに違いない。それは、夫と娘を同時に亡くした事件(もしくは事故)であろう。あろうことか、またもルイーサに危機が襲いかかる。

そこからの彼女の行動には、素直に肯定できないものもあるけれど、決まり切った日常を打破することで、過去の悲劇を乗り越えていくことになる。哀しみは時間が経っても消えないこともある。

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2010/12/21

アイガー北壁

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製作年:2008年
製作国:ドイツ/オーストリア/スイス
監 督:フィリップ・シュテルツェル

1930年代、欧州最後の難所と呼ばれ、何人もの一流登山家を拒んできたアイガー北壁。ナチス国家の期待を背負い挑戦を続ける若き登山家たち。牙を剥いて襲ってくる前人未踏の絶壁。

時代性もあるのだろうが、国家的プロジェクトにしては、あまりにも杜撰というか、登山家まかせの登山計画であり、見ていてヒヤヒヤする。案の定、防げたかもしれない事故が起こってしまうのだ。

才能ある二人、トニー・クルツ(ベンノ・フユルマン)やアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ルーカス)に、もっとしっかりした支援があればと思わざるを得ない。

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2010/10/27

バーダー・マインホフ 理想の果てに

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製作年:2008年
製作国:ドイツ/フランス/チェコ
監 督:ウーリー・エデル

世界中の学生たちの間へ急速に広まった反戦主義。純粋な思想の中からドイツに生まれた反権力組織。過激化する闘争の中で、やがて崩壊していく哀しい末路。

彼ら若者たちの革命思想が何故、成功しなかったのだろうか。世界史の中で成功してきた革命との違いに思いを馳せれば、革命運動を支援する資本組織がなかったからではないか。彼らがどんな正論を吐こうともアメリカ資本主義を乗り越えることはできず、武装化していく内に本来の目的を見失っていく。

日本でも同時期に若松孝二監督によって「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(2007)が製作されている。実に興味深い。この二本を続けて見れば、精神的に参ってしまうと思うが、感ずるものも多いだろう。

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2010/09/30

ジャック・メスリーヌ Part 2 ルージュ編

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製作年:2008年
製作国:フランス
監 督:ジャン=フランソワ・リシェ

カナダからパリへ何度も繰り返される犯罪と脱獄の日々。ただの犯罪者でなくアンチヒーローとして大衆に認知して欲しい願望。矛盾した感情が次々に露わとなる多面性。

銀行強盗を繰り返し逮捕されるのだが、いとも簡単に脱獄してしまうメスリーヌ。そんな彼の暗殺計画を練る警察組織。

日本では考えられない展開を描く後編には、メスリーヌの陽気さと残虐性が複雑に絡み合い、目を奪われる。刹那的に生きる彼に未来など待っていない。

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ジャック・メスリーヌ Part 1 ノワール編

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製作年:2008年
製作国:フランス
監 督:ジャン=フランソワ・リシェ

フランスの暗い影を残すアルジェリア戦争。“社会の敵No.1”と呼ばれた伝説のギャングの壮絶な人生。エスカレートしていく刹那的人生。

全編合わせると4時間を超える大作だが、実在したフランスの犯罪王ジャック・メスリーヌの半生を描いて見飽きることがない。様々な側面を描くことで、彼の抱える複雑さ、矛盾した感情がよく表現されていて、そこに物語としての面白さがあった。

スペイン女性ソフィア(エレナ・アナヤ)と恋に落ちたメスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)。彼にも更生しようとした時期もあったが、長続きしない。妻を殴り飛ばして悪の道に戻っていく場面が印象深い。

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2010/07/04

息もできない

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製作年:2008年
製作国:韓国
監 督:ヤン・イクチュン

圧倒的な好評を受けて見始めるが、その評判に偽りなし。傑作を観たという虚脱感にひたる。情け容赦ない暴力を振るサンフン(ヤン・イクチュン)。気の強い女子高生ヨニ(キム・コッピ)に対しても、手加減することなく鉄拳を振るう。

そんな二人であるのに、何故かウマが合い、奇妙な交流を続けるから面白い。そのままラブ・ストーリーへ移行するかと思えば、さにあらず。なんという因縁が続くのかという、痛烈なドラマが待ちうけている。暴力の連鎖は、どこで始まり、どこで終焉するのだろうか。深く考えさせられる作品だった。

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2010/05/27

容疑者Xの献身

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:西谷弘

東野圭吾の原作小説を先に読んでいるので、何故、石神(堤真一)が花岡靖子(松雪泰子)、美里(金澤美穂)母子を助けようとしたのか、そのために何をしたのか最初から分かっている。全体的に巧く映画化されていると思うが、彼が泰子に恋しているという気持ちだけでは片手落ちだと思う。

石神は母子二人の醸し出す温かい空気によって心が浄化されたのではないか。泰子は富樫(長塚圭史)の代わりに自分を支配する存在として石神を避けるようになるが、美里はそんな母に批判的になる。彼と美里の間には何がしかの交流があり、最後にその触りが少しだけ描かれていたけれど、ここが強調されないと石神の真意がうまく伝わらないと感じる。

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2010/04/29

プライド

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:金子修介

境遇も性格も対照的な二人、有名オペラ歌手の忘れ形見で名門音大に通うお嬢様育ちの史緒(ステファニー)。粗暴な母と二人暮らしでバイトを掛け持ちして二流音大の学費を工面する萌(満島ひかり)。萌は貪欲に成功を求め、史緒は鷹揚と成功を待ち望む。もし、何もなければ、二人の人生は平行線のままであっただろう。

だが、そこはドラマの面白さ、史緒の父、麻見総一郎(ジョン・カビラ)が事業に失敗し、金銭的支援を受けられなくなってしまったのだ。境遇が一緒になることで、二人の生き方の違いが鮮明に浮かび上がる。史緒はプライドを捨てることはできず、萌は文字通り人を殺してでもチャンスをつかもうとする。

二人は忌み嫌うようになるのであるが、またも運命の皮肉さ。デュエットしてみれば、二人の声質は絶妙に合ってしまうのだ。憎みあう二人から最高の音楽が生み出される。こうしたところに芸術の不思議さを感じてしまう。

金子修介監督は、こんなドロドロの愛憎劇をケレン味たっぷりに描き、大いに盛り上げる。やはり巧いものだ。

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2010/04/28

色即ぜねれいしょん

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:田口トモロヲ

“格好悪いことが、格好良いことなんだ”という感慨を抱く乾純(渡辺大知)。見た目の格好など所詮、付け焼き刃でしかない。生身の姿をさらし出す覚悟があれば、どんなプレッシャーも乗り越えられる。失敗してもいいのだ。おんなの子に振られても構わない。そうした姿は、やがて他者を惹きつける魅力になる。“音楽は武器なんだ”というヒッピー(岸田繁)の言葉もあった。武器として使えるのは、そんな心境を悟った者だけなのだろう。

彼がクライマックスの文化祭で歌う“エロチシズム・ブルース”が圧巻。それまでの悩みなど吹き飛ばすような迫力があった。ここで映画の様相は大きく変わっていく。

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