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2008年12月

2008/12/29

舞妓 Haaaan

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:水田伸生

映画初主演となる阿部サダヲのハイテンションな演技が圧巻。フィルモグラフィーを眺めれば「トキワ荘の青春」(1996)のような作品もあるけれど、どこか破天荒なキャラクターの方が印象に残る俳優だ。その勢いは「パコと魔法の絵本」(2008)にも続いているところは見事である。これからの活躍も楽しみ。そして、ミュージカルシーンの楽しさと言ったらない。この歌って踊っての場面をもっと追加して欲しいくらいだった。お茶屋遊びよりも、内藤(堤真一)との意地の張り合いの方に物語が傾いていくところは、面白いといえば面白いのであるが、バランスを崩してしまっている感じも受ける。 富士子(柴咲コウ)のキャラも、いまひとつ弱い。

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2008/12/23

神童

製作年:2006年
製作国:日本
監 督:萩生田宏治

萩生田宏治監督の前作、「帰郷」(2004)を思い出す。ひょんなことから昔の恋人の連れ子とニ人だけで過ごすことになり、次第に親子のような絆を深めていく不思議な縁。本作品での、うた(成海璃子)とワオ(松山ケンイチ)との関係も、恋人でもなく兄妹でもない。例え様もない絆で結ばれている。クライマックスでの連弾が胸を打つのは、どこに縁があるか分からないほのかな希望を感じられるからであろう。物足りない点を言えば、うたがワオにレッスンをつけるディティールが不足しているところ。音楽を通して彼らがいかに結びついていったのかを知る重要なプロセスだと思うのだが。

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2008/12/22

マンデラの名もなき看守

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製作年:2007年
製作国:フランス/ドイツ/ベルギー/南アフリカ
監 督:ビレ・アウグスト

知ってしまえば同じ人間ではないか。“黒人”、“テロリスト”という負の肩書きがあれば、容易に憎悪を呼び起こさせる。人種が違う、思想が違うというひと括りで断罪されてしまうのであるが、それは間違いである。正邪を分けるのは、人種や思想ではない。その個人が起す行動からである。そんなことは自明の理である筈なのに、盲目的に異物を排除しようとするのも、人間の本能なのであろうか。

反政府運動の首謀者、ネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバート)の秘密の会話や手紙の内容をチェックすることになる白人看守ジェームズ・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)。彼にはマンデラの故郷の言葉であるコーサ語を使えるくらい黒人たちと密接に過ごした過去がある。そんなジェームズなのに、赴任当初、黒人差別を平然と支持する。マンデラに対しても強硬な姿勢でのぞむ。その後、彼がいかに変化していくかがドラマの主題となるが、社会に流されてしまう人の弱さと、社会に逆らう困難さを大いに感じた。

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2008/12/21

ミスト

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:フランク・ダラボン

留まるべきか、脱出を図るべきか。未曾有の災害に遭った際、常に突きつけられる命題であると思う。「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)の時にも大いに感じたことであるが、その判断をどこで仰げばいいのであろうか。その道のプロフェッショナルがいて、的確なアドバイスを得られるのであれば、迷うことはない。だが、そんな都合の良い状況である可能性は少ない。そうなれば、自分自身で決めるしかない。本作品の主人公デヴィッド(トーマス・ジェーン)も、果敢に自分の決断に沿って行動を続ける。それが正しいかどうか。なんとも厳しい結末が待っている映画であるが、それでもデヴィッドは間違っていないと思う。

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2008/12/17

グーグーだって猫である

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:犬童一心

いろんな要素を詰め込み過ぎて、構成がうまくまとまらず、完成度は著しく低いと思う。笑いを狙ったエピソードが、いかにも作り過ぎて上滑りしているようにも感じる。

それでも、どこか惹かれてしまうのは、徹底した小島麻子(小泉今日子)の諦観ぶりにあると思う。天才漫画家としての道を選んだために得たもの、そして、失ったもの。そのことを彼女はしっかり噛みしめて生きているように見える。表面的には彼女のもとへ新たにやって来た子猫のグーグーのドラマであるけれど、その裏側には13年も連れ添ってきた最愛の猫サバの死を乗り越えられない哀しみがある。

グーグーとの日々は、サバへの思いを追認しているようにも感じられた。

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2008/12/09

櫻の園 さくらのその

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中原俊

1990年のオリジナル版との比較において、ここが足りない、ここが物足りないという話を始めると尽きなくなるのでやめる。一つの映画として見たときに感じる不満を書く。主人公結城桃(福田沙紀)が、何故、バイオリンを止めてしまったのか、さっぱり分からない。コンクール受けする奏法に嫌気がさしたのか、バイオリンに対する情熱が冷めてしまったのか。その辺りが描かれていないため、その後の桃という少女の心情が見えてこない。封印された戯曲「櫻の園」に惹かれていくのも、自然に感じられない。それは先生側の坂野佳代(菊川怜)にしても、高山玲子(富司純子)にしても、そうだ。彼女たちの頑なな姿勢が変わっていくのも都合良すぎるのではないか。描写不足が多くドラマとして入り込むことができなかった。

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2008/12/05

ハッピーフライト

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:矢口史靖

このところ飛行機を利用する機会が増えておりますが、一回のフライトにどれだけの人が関わっているか、改めて教えられ、大いに感心いたしました。多少、誇張されているエピソードもありますが、そんなに特別作り込まれている感じはしません。一つの事故が起きてから、スタッフたちが一致団結していくところなど、「アポロ13」(1995)を彷彿させます。クレームをつける乗客と見事に対峙するベテランキャビンアテンダント、山崎麗子(寺島しのぶ)の姿は頼もしい限り。ありきたりな新米キャビンアテンダントの成長ドラマにしていないところが良かったです。

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2008/12/02

この自由な世界で

製作年:2007年
製作国:イギリス/イタリア/ドイツ/スペイン
監 督:ケン・ローチ

この世の中、継続して成功することのなんと難しいことか。上司からのセクハラをきっかけに外国人労働者を対象とする職業紹介所をクビになったアンジー(カーストン・ウェアリング)。それまでの経験を活かし、女友達ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)を誘って職業紹介所を設立する。思った以上に事業が進んでいくのは、安い労働者を求めるニーズが相当あるからであろう。しかし、そうそううまくはいかない。困難に際して、彼女の選んだ道を非難することは容易い。ただ、そういう道を選ぶからにはそれ相当の覚悟と準備が必要だ。彼女のガードは甘く、隙を突かれる。そして、二度と戻れない道を進むしかないのだ。

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2008/12/01

恋の罠

製作年:2006年
製作国:韓国
監 督:キム・デウ

世間だけでなく一族からさえ疎まれる堅物の官吏ユンソ(ハン・ソッキュ)。名文家としても知られる彼が偶然出会った官能小説。そこから湧き上がってくる創作意欲。もう止まることができず、これまでの常識をどんどん踏み越えていく。その熱は強面の義禁府都事グァンホン(イ・ボムス)さえ取り込んでしまう。深まる関係を抑制していた王妃チョンビン(キム・ミンジョン)でさえ、最後には利用してしまう恐ろしさ。そこに芸術家のエゴを見る。事が発覚してからの展開が、やや大芝居になり、少し失速するものの、幕切れの一場面が痛快だった。

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