« 2008年10月 | トップページ | 2008年12月 »

2008年11月

2008/11/23

ブラインドネス

製作年:2008年
製作国:日本/ブラジル/カナダ
監 督:フェルナンド・メイレレス

全人類が突然、目が見えなくなってしまったら、どうなるか。ひとつの寓話的設定によって導き出されるのは、本能剥き出しの野生化である。食料を求めさまよう人々は、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画を想起させるものである。こんな簡単に人は理性を失くしてしまうものなのか、慄然とする。ただ一人目が見える医者の妻(ジュリアン・ムーア)の行動。その是非には賛否両論集まるであろうが、人の行動など、すべて効率的で正しいとは限らない。迷い悩みながら、正しい道を探していくしかないであろう。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/11/21

パコと魔法の絵本

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中島哲也

“お前が私を知っているだけで腹が立つ”。傍若無人な振る舞いを繰り返す、嫌われ者の大貫(役所広司)。一日しか記憶がもたない少女パコ(アヤカ・ウィルソン)に対しても、暴力をふるう始末である。なんとも救いようのない老人に訪れた奇跡。昨日のことを覚えていられないパコが、“おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったよね”と、大貫のことだけを覚えていたのだ。それは何故か。覚えていてほしくない者と覚えることができない者という対極の接触。そこから説明もできない何かが生じたのだろうか。なんとも不思議な因縁に惹かれます。そこから、大貫は変わっていく。覚えていてもらうことがどれほど困難なことなのか、身を持って実践していくのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/11/20

光州5・18

製作年:2007年
製作国:韓国
監 督:キム・ジフン

1980年5月18日に起きた“光州事件”。民主化運動に対して武力制圧を行う軍事政権。何故、自国民に対して銃を向けなければならないのか。平時であれば考えられないことであるが、北朝鮮との軍事対決の中、敵国による転覆作戦であるとブリーフィングを受ければ、引き金を引くことも厭わなくなってしまう怖さ。かつて描くことのできなかった題材を映画化された意義は高いと思う。とは言え、映画の作り方がどうも合いません。あまりにも絶叫を繰り返す大仰な演技の前に気持ちはひいていきます。大げさな表現はドラマ性ばかり強調され、事件の深刻さが薄れてしまうようにも感じられました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/11/19

おくりびと

Okuribito

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:滝田洋二郎

本作品の真価は、“納棺師”という職種に脚光を浴びさせたことにあるだろう。私もその仕事のことを初めて知りました。本木雅弘の美しい所作に魅了され、いろんな職業があるものだと大いに感心させられました。そして、山崎務のフグの白子焼きなど、まさに名場面と呼ぶにふさわしいシークエンスも多々あります。

それでも傑作と讃えることができないのは、細かい箇所で不満も残るからだ。例えば、従順な妻、美香(広末涼子)が、大悟(本木雅弘)の仕事が納棺師と知ったときの激しい怒り。“汚らわしい”の一言は、かなりインパクトのあるものでした。そういう言葉を吐く彼女はどんな過去を持っているのか。そこが触れられておりません。それを想像力で補えばいいのかもしれませんが、ここでひとつエピソードを盛り込めば、さらに映画の完成度は高まったのだろうと思わざるを得ない。

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2008/11/18

レッドクリフ Part 1

製作年:2008年
製作国:アメリカ/中国/日本/台湾/韓国
監 督:ジョン・ウー

誰が書いた小説か忘れてしまうくらいはるか昔に「三国志」の物語を読んでおります。朧げながらも登場人物をイメージ化されていたのですが、本作品の曹操、劉備、孫権のキャストはなかなかのもの。かなりイメージに合っておりました。違っていたのは、諸葛亮役の金城武。このキャストに好意的な意見も多数目にしますが、どうも私には軽く感じてなりません。諸葛亮といえば、なんといっても“三顧の礼”という故事成語にもなったように劉備が三度も頭を下げて迎い入れた歴史上もっとも有名な軍師。それなのに、冒頭の劉備軍敗走の場面では、何も献策できず右往左往するばかり。ここで違うと思ってしまったのです。

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2008/11/16

リダクテッド 真実の価値

製作年:2007年
製作国:アメリカ/カナダ
監 督:ブライアン・デ・パルマ

映像における真実は何であろうか。イラクでの兵役に志願した19歳のサラサール(イジー・ディアス)は、ビデオ・ダイアリーの目的で真実を写したいということが繰り返し語られている。それは何のためか。帰国後、映画学校に入りたいという目的があるからだ。だから、躊躇なく仲間の兵士たちによる少女レイプ及びその一家惨殺事件を撮影する。衝撃的な映像を撮りたいという事が主目的であり、捏造とは違う形の作られた真実が感じられた。最後に並べられた写真の数々。その衝撃の強さ。タイトルの“リダクテッド”とは、残酷なシーンや不都合な情報を削除した“編集済み”の映像という意味でアメリカのメディアで使われる言葉だという。その皮肉さが、これらの写真から伝わってくる。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2008/11/14

アキレスと亀

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:北野武

自己破壊衝動。北野武の監督作品を見ていると、常にその言葉が頭をよぎる。前々作「TAKESHIS’」(2005)にしろ、前作「監督・ばんざい」(2007)にしろ、どこか自分で作品を壊していく気配が濃厚に漂い、映画作家としての一貫性が感じられる。本作品もその流れから外れない。ひとつひとつの作品で出来、不出来を論ずることも大切であるが、大きな流れの中で、北野武がどこに向かっていくのか見ていくのも興味深いと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/11/11

アクロス・ザ・ユニバース

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジュリー・テイモア

全編をビートルズの楽曲で描いたミュージカル青春ストーリー。登場人物たちも、ヒットナンバーにちなんだ名前が使用されており、どの場面でどの曲が使用されるのか、予想しながら見るのも楽しい。そこで、スムーズに感じられるか、強引に感じるかは、その人の感性によって分かれるだろう。舞台を60年代のニューヨークにしたのも的確だ。ビートルズの真摯なメッセージがよりストレートに伝わってくる。サントラ盤が欲しくなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/11/07

デトロイト・メタル・シティ

329493_01_02_02

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:李闘士男

本作品の不満は、オシャレな渋谷系ミュージシャンを目指していた根岸崇一(松山ケンイチ)が、デスレコーズ社長(松雪泰子)と出会ったことにより、悪魔系デスメタルバンドのヴォーカリスト、ヨハネ・クラウザー二世になっていったか、その過程が全く省略されていたことだ。実はそのくだりをもっと楽しみにしていただけに、余計失望感が募った。結果的に根岸はカリスマ的人気を納めていくのであるが、本人の望みもしない資質をいかに社長が見出していったのか。そこが本作品の胆であると思うのだが。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008/11/06

ウォンテッド

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ティムール・ベクマンベトフ

単にスゴ腕の暗殺集団ではない。超人的な能力を有する異質の組織である。“運命の意志”を織り込む謎の機織り機に導かれた長い歴史の暗殺集団が、何故、仲間割れを起こしていたのか。その事が最初から気になっていたが、あまり触れられず、ただ裏切り者の一言だけである。その意味は後々に明らかになるが、戦争というものの欺瞞性を大いに感じてしまう。物事には表と裏があることを忘れてはならない。負け犬的精神から特異の暗殺者へ変わっていくウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)のくだりが面白かったが、後半はやや失速気味か。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2008/11/05

ゲット スマート

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ピーター・シーガル

自分のやりたい仕事と、自らの才能をいかんなく発揮できる仕事が一緒であれば、こんな幸せなことはない。大概の場合、違うことの方が多いだろう。どこで折り合いを付けるべきか。アメリカの極秘諜報機関“コントロール”に所属する敏腕分析官マックスウェル・スマート(スティーヴ・カレル)。何十種類もの言語を巧みに操り、些細な重要情報を見逃さない脅威の分析能力を有している。それなのに、表舞台のエージェントに憧れを禁じえず、昇進試験を受け続ける。その本部が国際犯罪組織“カオス”の襲撃を受けるという異常事態のため、ついにエージャント業務に就くという話である。そこからのドタバタ劇は予想通りのものであるが、様々な失態を乗り越えて成功を遂げてしまうドラマは、夢があるように感じられる、だが、果たして、そうだろうか。どうも違うような気がしてならない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/11/04

その土曜日、7時58分

製作年:2007年
製作国:アメリカ/イギリス
監 督:シドニー・ルメット

絶対に超えてはならない一線がある。絶対に確実な犯罪などある筈がない。周到に計算されているようなアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)の強盗計画であるが、傍から見ていれば杜撰極まりないものである。いいように使われてしまう弟のハンク(イーサン・ホーク)も不甲斐ない。彼らは何を守ろうとしていたのか。例え、強盗が成功していたとしても、一線を越えてしまった彼らは破綻の道しか残されていない気がする。気になるのはラスト・シーン。何故、チャールズ(アルバート・フィニー)は光に包まれて退場していくのか。同じ一線を越えたとしても息子たちとは違うことを意味しているのだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/11/02

ブタがいた教室

F0039934_23282330

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:前田哲

食事の前に行う“いただきます”という挨拶。何気なく無意識の内に使っているが、“命を頂きます”という意味であることを改めて感じさせてくれる映画でありました。一年間、世話を続けていれば情愛が湧いてくるのは、自然の道理。食べる、食べないという激しい論争の中から、子供とは思えないはっとさせられる発言が続く。

豚であるから食べられるのが当然という訳でない。極限の飢餓状態になれば、人が人を食べるという事例も起こり得ることなのだ。別の形で食品とは何か考えさせられた「いのちの食べかた」(2005)を思い浮かべる。

新米教師の星(妻夫木聡)を優しく見守る校長先生役の原田美枝子が素晴らしかった。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2008/11/01

ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ

製作年:1993年
製作国:イギリス
監 督:ニック・パーク

“ウォレスとグルミット”シリーズの旧作、「チーズ・ホリデー」(1989)、「危機一髪」(1996)、「おすすめ生活」(2002)をまとめて見たが、一番気に入ったのは「ペンギンに気をつけろ」でありました。珍妙な発明を続けていながら、どこか少し抜けている英国紳士ウォレス。家計の助けになればと、部屋を間貸しすることになるが、下宿人はなんとペンギン。この登場シーンが名場面。何故、ペンギンが下宿を申し込むのか。不思議でならないが、グルミットのキャラクターもそうであるように、リアルであって、どこかリアルでない不思議なパラレルワールドを実感する。そこからの展開は、クレイ・アニメであることを忘れてしまうくらい物語に引き付けられてしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年10月 | トップページ | 2008年12月 »