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2008/08/28

ぐるりのこと

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:橋口亮輔

人が生きているということは、喜びや楽しさと共に辛く悲しい出来事も共存しているのではないか。カナオ(リリー・フランキー)と翔子(木村多江)の夫妻に起こる子どもの死、そして、うつ病の発症がドラマの基本線となっているが、映画に一場面しか登場しない人々にも、それぞれの苦悩が浮かび上がり、重いトーンで統一されている。最もそう感じさせるのは、凶悪事件の被害に合った家族たちである。社会性を欠いた犯人を見つめる裁判所の傍聴席。体の震え、手元、涙。わずかなカットで、その思いが伝わってくる。カナオと翔子は長い苦痛の時間を経て、再生の道へ進む。だが、すべてがそうそううまくいくわけでない。安田(柄本明)や波子(倍賞美津子)のように一人になってしまう人たちもいる。その差は何か。カナオのどこか傍観者のような心のありようではないだろうか。法廷画家という職業が、絶妙に象徴している。どんな凶事が起きても、絵という一つの結論を下し、やり過ごしていく。どこにでもいそうでなかなかいない、ユニークな人物像であったと思う。

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