うつせみ
製作年:2004年
製作国:韓国/日本
監 督:キム・ギドク
鏡を覗きこんでいる自分の顔は、向こうの世界の同じ顔を持つ誰かではないか。ふと、そう思うときがある。鏡に映っている風景は、我々の世界と併存する異次元の世界のもの。そうしたパラレル・ワールドはSFドラマでお馴染みであるが、留守宅に侵入し、転々と放浪生活を続ける本作品の主人公、テソク(ジェヒ)は、向こう側の人間ではなかったのかと解釈すると、妙に納得できる話となる。
言葉を喋らないのも、向こう側では話す習慣を持たないからではないか。浮遊感のあるふわったとした存在感は、気ままにこちら側と向こう側を行き来する軽やかさからくるものではないか。
そんな彼を繋ぎとめる重石となったのが、夫から虐待を受けているソナ(イ・スンヨン)の存在。一人であるはずが二人となったため、彼はこちら側の人間に捕えられてしまう。留置所での訓練は、二人の重さに耐えられるようにするものだ。浮遊の技に進化を遂げたテソクは、夫がいる、いないに関わらず、ソナと生活を共にすることができるようになる。
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