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2008年8月

2008/08/30

涙そうそう

製作年:2006年
製作国:日本
監 督:土井裕泰

死に際の母の言葉を守り、血の繋がらない妹カオル(長澤まさみ)の面倒を見る洋太郎(妻夫木聡)。自分の飲食店を持ちたいという夢もかなえるために、必死に働き続ける。だが、余裕の無さからか、詐欺にあったり、病に倒れたりと、不運が襲い続ける。生真面目に真っ直ぐ生きることは、確かに美談になるし、感動するし、人々の共感を呼ぶだろう。だが、それで命を縮めてしまって、本当に良いのだろうか。ここで鮮明に浮かび上がってくるのは、洋太郎たち家族を捨ててジャズ演奏の生活を選んだカオルの実父(中村達也)の存在だ。彼は確かに非難されて仕方ない生き方を選んだが、自分を決して卑下していない。そこにある種の清々しさを感じる。

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2008/08/29

歩いても 歩いても

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:是枝裕和

傑出した脚本である。何気ない会話のやり取りを通して、横山家に何があり、何が起きつつあるか分かる構成である。微妙な間やさりげない眼差しによって、登場人物たちの感情が生々しく伝わってくる。ここが評価の分かれ目かもしれないが、この一日を通して、誰が成長したり、ぎくしゃくしている家族関係が劇的に変化したりする訳でないのである。それが映画として物足りないということになるかもしれないが、私はそうとらない。様々な問題が観る者には明らかとなるが、登場人物たち全員が知っているわけではないのである。それぞれの問題を胸に秘めたまま明日へ進んでいく。それだけに、よりリアルな感情を共有できるのだと思う。ぞっとするような悪意のある言葉を穏やかに語る母親役の樹木希林が素晴らしい。「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007)の時にも感心したが、このところ重量感のある芝居を見せてくれる。「いつも、ちょっとだけ間に合わない」という台詞も蕭然と心に残る。

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2008/08/28

ぐるりのこと

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:橋口亮輔

人が生きているということは、喜びや楽しさと共に辛く悲しい出来事も共存しているのではないか。カナオ(リリー・フランキー)と翔子(木村多江)の夫妻に起こる子どもの死、そして、うつ病の発症がドラマの基本線となっているが、映画に一場面しか登場しない人々にも、それぞれの苦悩が浮かび上がり、重いトーンで統一されている。最もそう感じさせるのは、凶悪事件の被害に合った家族たちである。社会性を欠いた犯人を見つめる裁判所の傍聴席。体の震え、手元、涙。わずかなカットで、その思いが伝わってくる。カナオと翔子は長い苦痛の時間を経て、再生の道へ進む。だが、すべてがそうそううまくいくわけでない。安田(柄本明)や波子(倍賞美津子)のように一人になってしまう人たちもいる。その差は何か。カナオのどこか傍観者のような心のありようではないだろうか。法廷画家という職業が、絶妙に象徴している。どんな凶事が起きても、絵という一つの結論を下し、やり過ごしていく。どこにでもいそうでなかなかいない、ユニークな人物像であったと思う。

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2008/08/27

百万円と苦虫女

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:タナダユキ

誰も自分のことは常識があるように思っているけれど、実際の行動を検分してみれば非常識なことをしていることが多いのではないか。特に、経験の薄い若者たちには、その差が激しいと思う。年齢と共に失敗を積み重ね、なんとか常識と非常識の差を縮めていくのであろう。鈴子(蒼井優)と、その弟拓也(齋藤隆成)は、理不尽な行為に対して、果敢な反撃を試みる。だが、結果はさらに悪い方向に進んでしまう。勇気を持って反攻するという意気は良いのであるが、その行動が非常識であったということだ。もう独り、中島亮平(森山未來)もそうである。鈴子を想う気持ちと、そのために起す行為には、相当の距離がある。そのために誤解が生じるのだ。見知らぬ町に移り住み、生活をリセットしていくという閃きはいいけれど、それを実行するのは簡単でない。

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2008/08/23

デイジー

製作年:2006年
製作国:韓国
監 督:アンドリュー・ラウ

殺し屋という非情な世界に生きる男に残されていた人を慈しむ気持ち。その稼業ゆえに正面だってヘヨン(チョン・ジヒョン)に会うことをしないパクウィ(チョン・ウソン)。彼の想いは、影に回って彼女を助け、デイジーの花を贈りつづける。だが、それだけで収まる筈はない。彼はついにヘヨンの前に立つのだ。本作品のマイナスポイントしてあげるのは、その一線を越えることという重大な場面を軽く流してしまうことだ。それはパクウィの人生を一変させる出来事である。その逡巡がきめ細やかに描写されていないので、ドラマに乗ることが出来なかった。

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2008/08/21

ククーシュカ ラップランドの妖精

製作年:2002年
製作国:ロシア
監 督:アレクサンドル・ロゴシュキン

登場人物の規模こそ違え、主題的は韓国映画「トンマッコルへようこそ」(2005)に通じているものを感じる。敵同士が思わぬ形で共同生活を送ることになり、敵対心から共感へ少しずつ傾いていく。知ってしまえば、同じ人間なのである。知らないから戦えるのだ。言葉が三人とも通じない中でも、意思疎通は通じていく。一人の未亡人と二人の兵士たちが織り成す微妙な心情描写がユーモラスで心に残る。

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2008/08/20

トゥヤーの結婚

製作年:2006年
製作国:中国
監 督:ワン・チュアンアン

本作品で最も印象に残るのは、吹雪の中、羊の放牧に出たまま家に戻らなかった息子を探しに出たトゥヤー(ユー・ナン)が、首尾よく息子を見つけた場面である。なんと羊を捨ておき、息子だけを抱きかかえて戻ってくるのだ。放牧民にとって、羊は生活の糧として何よりも大切なものである。それでも、トゥヤーは迷うことなく、息子を選んだ。ここに彼女の生き様が集約されていると思う。半身不随になった夫。毎日、何度も往復しなければならない水くみ。過酷な労働に蝕まれていく身体。その厳しい生活環境の中から逃げ出す選択肢は他にあったはずだ。だが、彼女は家族と一緒であることを最優先し、ぶれることがない。そのことである。それでも、現実の厳しさにつぶれそうにもなる。クライマックスの涙は、それを意味しているのではないか。だが、その涙は誰にも見せない。そして、トゥヤーは何度でも立ち上がるのだろう。そこに彼女の強さを感じる。

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2008/08/19

14歳

製作年:2006年
製作国:日本
監 督:廣末哲万

どうして、ここまで傷付け合うのだろうか。本作品に登場する14歳たちは、内面の苛立ちに対応できず、他者へ精神的、肉体的、または両方へ攻撃を加えようとする。それは、もはやいじめというレベルではない。暗い瞳の輝きに身震いをする思いだった。現実的に同種の事件が多発しているので、これは決して絵空事ではないのだ。彼らを指導する立場にいる大人たち。深津稜(並木愛枝)、 杉野浩一(廣末哲万)、小林真(香川照之)。それぞれ、どこか欺瞞を抱えている。生徒のためという建前を通り越した無関心さが、言葉の端々から浮かび上がってくるのだ。それが、14歳たちの暗部に火を注ぐことになる。だから、彼らが悪者だという結論ではない。彼らは本作品を見ている我々である。自分も同じだという負い目を感じる。答えが見つからない分、切実な問題として胸に迫ってくる。

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2008/08/18

雪に願うこと

製作年:2005年
製作国:日本
監 督:根岸吉太郎

学(伊勢谷友介)は何を獲得しようとしていたのか。都市生活への憧れ。自分だけは違うというエリート意識。ジリジリと焼けるような焦燥感。兄、威夫(佐藤浩市)には決して理解できないその思いは、例え東京での事業に失敗しても、兄の元には戻りたくなかった筈だ。それでも帰ってきたのは、母から無心できるかもしれないという甘い期待からであるが、それも外れてしまう。そして、兄に元で働くという屈辱的な道を選ぶしかなくなる。だが、その生活というのは、学が敵対視するようなものだったのだろうか。学の誤りは、自分以外の価値観を認めず、否定することにあった。ウンリュウの世話を通して、他の価値観に気付いていくのである。彼が東京で再起できるかどうか分からないが、これまでとは違う事業の進め方をするであろう。

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2008/08/17

ウィンター・ソング
製作年:2005年
製作国:香港
監 督:ピーター・チャン

虚実入り混じる魅惑的な映像世界の結末が、こんな形となるとは。ピーター・チャン監督と言えば、まず「ラヴソング」(1996)を思い浮かべる。最後に涙が止まらなくなる傑出したメロドラマを生み出した監督だ。本作品にもその期待がある。しかし、大きく外れてしまう。虚しさしか残らない辛い物語であった。リン(金城武)は、10年前のあの部屋でスン(ジョウ・シュン)への愛を諦めなければならなかった。捨てられない想いは悲劇を生むしかない。

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2008/08/16

子猫をお願い

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:チョン・ジェウン

高校時代、なんの屈託もなく笑いあった仲間たち。卒業後、何度も集まってみるが、どこか笑顔がぎこちない。虚栄。見栄。嫉妬。様々なマイナス感情が笑顔を隠してしまう。彼女たちは、まだ自分の居場所を見つけられずにいるのだ。高校時代には学校があった。将来への夢も漠然と見ていた筈だ。だが、実際にその夢のスタートラインについたとしても、次に進む道を探せないでいる。その苛立ちを友人たちにぶつけているのだろう。映画のラストで、彼女たちは新たな旅に出る。その先に、彼女達の居場所があるかどうかは分からない。しかし、そうした旅を重ねながら、屈託のない笑顔を取り戻すと信じたい。

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2008/08/15

ミリキタニの猫

製作年:2006年
製作国:アメリカ
監 督:リンダ・ハッテンドーフ

本作品を見ていて、「ニキフォル 知られざる天才画家の肖像」(2004)を思い出す。路上で絵を描き続ける画家。いつの間にか彼の世話を焼くことになる善意の第三者。そして、再評価を受ける栄光の瞬間。似たような話があるものだと大いに感心した。たかがホームレスだと頭から馬鹿にしていれば見えてこないものがある。ジミー・ツトム・ミリキタニに秘められた壮絶な過去。そして、たぎるような怒りに圧倒される。日系人強制収容所。広島被爆。9.11同時多発テロ。繰り返される歴史に異議申し立てを続けているのだ。リンダ・ハッテンドーフ監督との軽妙なやり取りも微笑ましかった。

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2008/08/14

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:押井守

ショーとしての戦争のため、思春期のまま成長を止め、戦闘機戦で死なない限り生き続けるキルドレ。その宿命から逃れたものがいる。前線基地、兎離洲(ウリス)の女性指揮官、草薙水素(草薙水素)だ。新たに配属となった戦闘機パイロット、函南優一(加瀬亮)を中心に映画は進んでいくが、本作品の主人公は彼女だと思う。次々と送り込まれるキレドレたちを見守るのは、どれほど複雑な思いがこみ上げるものなのか。冒頭から続く、そっけなさや苛立ちは、自分の感情と巧く折り合うことができないからだと思う。君は生きろ。何かを変えられるまで。この名台詞を受けて、エンディングの笑顔に繋がっていく。何かを捨て去り、彼女は新たな道を歩む。

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2008/08/13

ダークナイト

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:クリストファー・ノーラン

ジョーカー(ヒース・レジャー)は、自分の命を剥き出しにして、平然とバットマン(クリスチャン・ベイル)へ向かいあう。その戦いの過程で、何度もジョーカーを仕留める機会がありながら、バットマンは殺害という道を選ばなかった。ここに本作品のテーマを見出す。ジョーカーの巧緻極まる策略は、登場人物たちに究極の選択を迫る。それにまんまと乗せられてしまう者もいる。それとて、自分だけでなく、家族のため、愛する人のためという理由もあるのだ。簡単に正義と悪を分けることはできない。しかし、選べないものを選ぶということは、どんな結果となろうとも、禍根を残すことになる。選んではいけないこともあるのではないか。コイントスが象徴的に何度も登場してくる。何かを選ぶということの重さを大いに感じさせる作品だった。

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2008/08/12

オフサイド・ガールズ

製作年:2006年
製作国:イラン
監 督:ジャファル・パナヒ

一つのコミュニティーの伝統を守るということは大切なことだと思う。だが、それを法律という形で強要すると、どこかで歪みが生じる。伝統が悪しきものへ変質していくのだ。女性が男性のスポーツを公共の場で観戦することが禁じられたイラン。素直に従えず、なんとか競技場に忍び込もうとする女性たち。取り締まる兵士たちも、何故、禁止されているか、話すことができない。明らかな矛盾をユーモラスに描いているところに惹かれました。「ペルセポリス」(2007)にも描かれているとおり、イランに暮らす若者たちは、我々となんら変わることがない。ただ、暮らしている社会制度が違っているだけなのだ。

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2008/08/09

ライフ・イズ・コメディ ピーター・セラーズの愛し方

製作年:2004年
製作国:アメリカ/イギリス
監 督:スティーヴン・ホプキンス

本作品で特徴的なのは、ピーター・セラーズ(ジェフリー・ラッシュ)の奇行とも言える行為が二度、三度と繰り返され、強調されているところである。怒りを爆発させ、息子の模型や家具装飾品を粉々に破壊する異常性。他の女性への想いを何のてらいもなく妻アン(エミリー・ワトソン)に報告する愚直さ。ラジオ番組から映画界へ順調にキャリアを伸ばすのと反比例するように、異常な行動が増えていく。それは、いくつになっても大人になりきれない幼児性を表していると思う。何かを欲すれば何かを諦めなけばならない。その摂理を理解しなければ、幸福はやってこない。

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2008/08/08

トンマッコルへようこそ

製作年:2005年
製作国:韓国
監 督:パク・クァンヒョン

知り合ってみれば、同じ人間ではないか。何のために敵同士となり、銃を向け合う必要があるのか。トンマッコル村にたどりついた3カ国の兵士たちは当初いがみ合うが、様々な村での活動を通して、兄弟のような関係を築いていく。こうした展開は「戦場のアリア」(2005)に通じるものを感じる。そして、戦いとは、他者を攻撃するものではなく、大切な者を守るために必要であることを強く印象付けるラスト・シーンであった。雪のように舞い落ちるポップコーンのシーンなど幻想的な美しさを持つ映像も素晴らしかった。

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2008/08/07

うつせみ

製作年:2004年
製作国:韓国/日本
監 督:キム・ギドク

鏡を覗きこんでいる自分の顔は、向こうの世界の同じ顔を持つ誰かではないか。ふと、そう思うときがある。鏡に映っている風景は、我々の世界と併存する異次元の世界のもの。そうしたパラレル・ワールドはSFドラマでお馴染みであるが、留守宅に侵入し、転々と放浪生活を続ける本作品の主人公、テソク(ジェヒ)は、向こう側の人間ではなかったのかと解釈すると、妙に納得できる話となる。

言葉を喋らないのも、向こう側では話す習慣を持たないからではないか。浮遊感のあるふわったとした存在感は、気ままにこちら側と向こう側を行き来する軽やかさからくるものではないか。

そんな彼を繋ぎとめる重石となったのが、夫から虐待を受けているソナ(イ・スンヨン)の存在。一人であるはずが二人となったため、彼はこちら側の人間に捕えられてしまう。留置所での訓練は、二人の重さに耐えられるようにするものだ。浮遊の技に進化を遂げたテソクは、夫がいる、いないに関わらず、ソナと生活を共にすることができるようになる。

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2008/08/06

虹の女神 Rainbow Song

製作年:2006年
製作国:日本
監 督:熊澤尚人

本作品で印象深いのは森川千鶴(相田翔子)の存在である。年齢も経歴も詐称し、結婚へ向かってがむしゃらに突き進んでいく姿は鬼気迫るものがある。夢に向かってひたむきに努力することは、大概において誉められるものであるが、それに当てはまらない例もあるということだ。問題は何か。彼女は嘘をついてまで自分の願望を最優先させた。それは彼女一人の幸福であり、周囲に喜びを与えるものは何もないのである。千鶴は自分自身の姿を正しく見ていないといっても良い。それは、智也(市原隼人)とあおい(上野樹里)の二人にも共通している。何かにとらわれ、何かを求め、本当に大切な何かを失っていく。鑑賞後、苦い思いが胸一杯に広がる。

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2008/08/05

アメリカン・スプレンダー

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ

社会的常識をわきまえず周囲に迷惑をかけるような生活は、許されるものでない。だが、社会通念に縛られることなく、自分の個性を大切に生きていくということは、とても大切なことではないか。自分の日常をコミックにするというアイディアが浮かんだとき、そんなものはつまらないとすぐに打ち消してしまうか、面白いものになると積極的に行動するかである。そこでの判断基準は、世間一般ではなく、自分がどう感じるかである。無論、行動に起こせば、すべて成功するというほど甘いものではない。自分の価値感が世間のそれとあまりに乖離していれば、誰も共感してくれないであろう。だが、本作品の主人公ハーヴィー・ピーカーのように、その結果は行動してみないと分からないものだ。彼のひらめきは、コミックからこうして映画にもなり、遠く日本に住む自分のところまで届くくらい、彼のドラマを波のように広がる起点となったのだ。実に興味深い。

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2008/08/04

崖の上のポニョ

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:宮崎駿

フジモト(所ジョージ)は、何の研究をしていたのだろうか。彼はどうして人間をやめて海の住人になったのか。グランマンマーレ(天海祐希)とは、どのように結ばれたのか。ポニョ(奈良柚莉愛)には、どうして、あんなにたくさんの妹たちがいるのか。古代魚が当たり前のように泳いでいるのは何故か。リサ(山口智子)とグランマンマーレは何を話していたのだろうか。

海の世界にまつわる謎が次から次へと沸いてくるが、本作品の中で説明されることがない。ポニョと宗介(土井洋輝)のドラマは明快であるだけに、この不明瞭な部分が際立って見える。それを不親切とも、完成度が高くないとも、捕らえることもできるが、そこにこそ監督の意図があるように感じられる。

描かれていない部分に思いを巡らすと、物語は限りなく深みを増していく。フジモトとグランマンマーレの話だけでも、一本の映画ができそうである。

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2008/08/01

隠された記憶

製作年:2005年
製作国:フランス/オーストリア/ドイツ/イタリア
監 督:ミヒャエル・ハネケ

衝撃のラスト・シーンという評判を聞いていたので、どんなものだろうかと待ち構えていたが、あっけに取られる。何が凄いのか、さっぱり分からず、映画は終わってしまう。DVDなので、何回も繰り返して見るが、やっぱり分からない。ということで、鑑賞後に色々なレビューを読んでみて、何が衝撃なのかは分かりました。しかし、それが何を意味しているかは、観る者の判断に委ね様々な解釈をさせるようであります。一体、ビデオテープを送った者は誰だったのか。それは何のためであったのか。これも明確な答えが用意されていないのだが、それもこのラスト・シーンに結び付いていると考えるのが、順当であろう。罪を犯した世代から罪を贖う世代への時代の推移ということではないだろうか。

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