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2008年6月

2008/06/30

ヴィーナス

製作年:2006年
製作国:イギリス
監 督:ロジャー・ミッシェル

2002年にアカデミー賞で名誉賞を受けたピーター・オトゥール。それでも本作品で同賞の主演男優賞にノミネートとされ、まだまだ現役であることをアピールしてくれました。それが嬉しかったです。女性に執着をみせる老人の悲哀というテーマであるが、ピーター・オトゥールによって、とてもユーモラスで軽やかな映画になっている。名優の余裕を感じる。

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2008/06/29

シルク

製作年:2007年
製作国:カナダ/フランス/イタリア/イギリス/日本
監 督:フランソワ・ジラール

こんなドラマだったのか。予告編を見て抱いていた物語と全く違っていた。その意外さが一つ。恋は盲目という。ただ会いたい。そのためにはどんな危険があろうとも眼中に入らない。そんな愚かな男を静かに見守るエレーヌ(キーラ・ナイトレイ)。静謐で幻想的なヴィジュアル。やはり聞き惚れてしまう坂本龍一の音楽。

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2008/06/27

いのちの食べかた

製作年:2005年
製作国:ドイツ/オーストリア
監 督:ニコラウス・ゲイハルター

かつて観たキューブリックやタルコフスキーのSF映画のようであった。無機質な世界のように感じられるのが、本作品の傑出したところである。だが、現実にはそうであるまい。それぞれの現場には臭いがある筈だ。その臭気の中では、様々な感情が巻き起こっていることだろう。大規模な機械化。効率的な生産。管理された現場。世界的な食糧需要のために、その過程はさらに進化していくのであろう。

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2008/06/26

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:北村拓司

チェーンソー男とは一体、何者なのであろうか。何故、絵理(関めぐみ)は彼と毎晩、戦わなければならないのか。どうして、陽介(市原隼人)は、彼女たちの戦いに巻き込まれてしまったのか。その答えは全く明らかにされていない。その意味を解釈することがシネマファンの悦楽なのであろう。「今のガキは頭がいい、反抗したって変わらないことを知っている」。抜群だった板尾創路の存在感。

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2008/06/25

奇跡のシンフォニー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:カーステン・シェリダン

類い希な音楽の才能を持つのはエヴァン(フレディ・ハイモア)だけではないだろう。ウィザード(ロビン・ウィリアムズ)も、彼と同じ才能を持ち合わせていた筈だ。ライラ(ケリー・ラッセル)とルイス(ジョナサン・リス=マイヤーズ)を結びつけたきっかけ、彼の奏でるハーモニカであることからも、それがうかがえる。だが、その才能が社会的に開花することはなかった。そのことが彼を歪めてしまう。「オリバー・ツイスト」のフェイギンのような浮浪児の元締めに身をやつし、エヴァンの音楽を我が物にしようと画策する。才能があるだけでは、成功すると限らないのだ。それでも、エヴァンは願いを適えることができた。何故か。彼の宿願は金銭的成功にない純粋なものだからなのか。

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2008/06/24

西の魔女が死んだ

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:長崎俊一

人生の叡智に満ち溢れたおばあちゃん(サチ・パーカー)。学校生活に疲れ登校拒否となったまい(高橋真悠)へ魔女修行として送る言葉は、特別のものでない。ただ、自分の意志で決めること。そして、それを守ることだ。日常の時間割、家事、勉強。強要されることなく、自分で決められる自由を持てることは、非常に幸せなことだ。ありきたりな感動ドラマであれば、再生したまいが感謝と笑顔で都会に帰っていく話となっていくのであろうが、本作品は違う。おばあちゃんとまいと衝突したまま別れてしまうのだ。大切なことを知っているということと、それを伝えるということは、また別の才能が必要なのであろう。おばあちゃんとママ(りょう)の間にも、確執を解消できない何かがあり、西の魔女とはいえ、すべてがうまくいくとは限らない。そこに人の悲哀を感じる。

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2008/06/23

みなさん、さようなら

製作年:2003年
製作国:カナダ/フランス
監 督:ドゥニ・アルカン

どれだけ出会いを大切にできるか。人の生涯の幸福度は、そのことに掛かっているのではないか。末期ガンに掛かったレミ(レミー・ジラール)が家族や友人に囲まれて、いかに最期の時を過ごすかという物語である。それにしては、意外に大きな役割を占めているのが、麻薬中毒者のナタリー(マリ=ジョゼ・クローズ)である。もし、レミの鎮痛剤としてヘロインをセバスチャン(ステファン・ルソー)が探していなければ、孤独のまま生涯の幕を落としていただろう。だが、彼女はこの父子と関わりあうことにより、人生の転機を掴むことができたのだ。一度は台無しにしてしまうような失敗もするが、そこから彼女は変わっていく。本作品の主題は彼女を通して表現されている。

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2008/06/22

ラスト、コーション

製作年:2007年
製作国:中国/アメリカ
監 督:アン・リー

人生は自分自身で選ぶものというが、果たしてこんなことがあるのであろうか。本作品のヒロイン、チアチー(タン・ウェイ)が女スパイになっていくまでの展開に唖然とする。まさか、こんな生涯を送るとは、本人も予想していなかったであろう。そして、出会ってしまった最愛の人。彼女がイー(トニー・レオン)に告げる一言が最高の名場面。深く心に焼き付く。

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2008/06/21

ラスベガスをぶっつぶせ

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・ルケティック

“カード・カウンティング”という手法を駆使してラスベガスのカジノで荒稼ぎを続けるベン(ジム・スタージェス)。事の是非はひとまず置いておくとして、一つの成功が人間の幅をいかに広げるものかと、大いに感心させられる場面があった。彼は以前からの仲間たちと飲み屋に行っても、話すことも、行動も、どこかずれてしまっている。そのずれた分だけ、彼は飛躍しているのだ。そして、仲間の視線も気にすることなく、ジル(ケイト・ボスワース)へ声をかけ、飲みに誘ってしまう。それまでのベンであったら、そんなことは考えもしなかったし、行動に移すこともしなかったであろう。かつての見えない壁も、成功の自信を持って簡単に乗り越えてしまうのだ。やがて、その自信が自らの墓穴を掘ってしまう事態となり、彼を窮地に追いやる。そこからの諸行動には様々な不確定要因があり、疑問を残る展開になるのであるが、それもひとまず置いておく。成功も失敗も表裏一体であり、どこでバランスが傾くか分からないということだ。何事にも退きどきがある。

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2008/06/20

JUNO ジュノ

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジェイソン・ライトマン

ジュノ(エレン・ペイジ)に語った父マック(J・K・シモンズ)の言葉がしみじみと残り続ける。「永遠の愛が欲しいなら、あるがままの自分を愛してくれる相手を見つけることだ」。いい時も悪い時も、自分のことを理解して愛してくれるのなら、どんな試練も乗り越えられる。16歳の予期せぬ妊娠という事態は、大変な試練である。彼女は自分の意志で問題を解決していこうとするが、大きな壁にぶつかる。そんな時に受ける父の言葉の重み。ジュノはスタイリッシュな側面ばかり人生に求めていたことに気付くのだ。ポーリー(マイケル・セラ)、義理の母ブレン(アリソン・ジャネイ)、里親のヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)とは新たな関係を構築していくのは、彼女の大きな成長だと思う。

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2008/06/18

酒井家のしあわせ

製作年:2006年
製作国:日本
監 督:呉美保

普通ならそんな決断しないであろう。酒井正和(ユースケ・サンタマリア)の家を出た理由が明らかになると、唖然としてしまう。無論、こんな非常識な男はいないだろうと、断然してしまうのは簡単だ。しかし、人の考え方というのは、それぞれの価値観と経験から生まれるものである。ここで、思い出されるのは妻、照美(友近)の実家に行ったときの逸話である。親子喧嘩が激しくなった時、正和は突然、笑い転げてしまうのである。そこには、早く両親を亡くした彼の屈折した哀しさがうかがえるけれど、こんな反応をする男は珍しい。そういう人が、真剣に悩み、家族のためだと自分で下した判断だ。批判するのは容易いが、心動かされるものがある。

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2008/06/17

ザ・マジックアワー

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:三谷幸喜

映画愛に包まれた作品である。映画という虚構の世界を作るために、どれだけのスタッフが携わっているのか。エンドロールの流れる巨大セットの設営風景が静かに胸を打ちます。実際の建築物とは違い、いつか取り壊されてしまうことが宿命の美術セット。これこそ、虚構の象徴であると思う。早送り映像の中、スタッフの労苦が大いに感じ取れます。そもそも、命を助けてもらう代償に無名の俳優を幻の殺し屋に仕立て上げようとするギャングの手下という本作品の粗筋からして、相当に虚構性の強い設定である。その不自然さを忘れ、面白おかしく見させてしまうのは、細部が充実しているからであろう。たかが映画と思わず、真剣に映画を愛する者たちの手で丁寧に作り上げられたと感じさせます。偽の映画撮影に熱演する村田大樹(佐藤浩市)がいい。確かに売れない役者であるということを納得させつつ、 映画愛を大いに体現している。彼のもとへ映画スタッフたちが馳せ参じるところ。それが本作品のクライマックスであると思う。

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2008/06/16

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛

製作年:2008年
製作国:アメリカ
監 督:アンドリュー・アダムソン

何事にも見合う時期がある。アスラン(声:リーアム・ニーソン)がペベンシー4兄妹へ語るこの言葉に、本作品の主題を読み取ることができる。何故、ナルニア国はテルマール人に侵略されてしまったのか。何故、アスランはそれを止めることができなかったのか。何故、ナルニア国に戻った4兄妹の前に、アスランは姿を現せないのか。物語が進むなか、数々の疑問が浮かび上がってくるが、その言葉に答えが隠されている。もう一つ、「同じ事はニ度も起きない」という台詞もニ場面でアスランから語られて、強調されている。アスランはナルニア国を司る全能の神のような存在であるが、その力を自在に使えるという訳ではないようだ。無限の力を使用するにも相応しい時期があり、そのタイミングを静かに見極めることが肝心なのだろう。

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2008/06/14

母べえ

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製作年:2007年
製作国:日本
監 督:山田洋次

本音と建前。反戦を唱え投獄されてしまった父べえ(坂東三津五郎)。苦境の中、幼い二人の娘を抱えて、必死に生きていく母べえ(吉永小百合)。夫の生き方を支持しながら、生活のために本音を隠さなくてはならなくなる。ある時、彼女の元に訪れた型破りな叔父・仙吉(笑福亭鶴瓶)。本音丸出しの言動に、長女の初べえ(志田未来)は忌み嫌う。そんな彼女へ、叔父への気持ちを語りかける母べえの台詞が良かった。この仙吉は寅さんと容易にイメージが重なり、本音と建前の中で生きていかねばならない我々の清涼剤と言える存在である。

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2008/06/12

アメリカン・ギャングスター

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:リドリー・スコット

本作品の中で最も好きな場面は、リッチー(ラッセル・クロウ)が元妻と養育権で争う裁判所のところ。妻から痛烈な批判を浴びてしまうが、この台詞によって汚職を拒み潔癖な仕事を貫く彼の人生の矛盾点がクローズアップされる。フランク(デンゼル・ワシントン)にしても、清濁併せ持つ複雑な人物造形となっている。それが本作品の美点であると感じる。

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2008/06/11

つぐない

製作年:2007年
製作国:イギリス
監 督:ジョー・ライト

不幸な事実の積み重ね。ブライオニー(シアーシャ・ローナン)は、悪意を持って嘘の告発をしたのではない。なるほど、悲劇とはこうして起こるのだろうと思わせるほど、複数の要因が一本の道を作り、逃れる術もなくなってしまう。もし、一つでも違っていれば、こんな事態にはならなかったであろう。その思いが、余計に胸を締め付ける。リズミカルなタイプライターの効果音と、時制を巻き戻す複雑な構成が、何を意味するのか。最後になって明らかになる。自分が起した悲劇を元に戻すことはできない。それでも、何か償おうとするのであれば、自分のできることで行うしかない。その思いに深い感銘を受けるのだ。

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2008/06/10

ノーカントリー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン

一体、この国はどうなってしまったのか。そうした嘆き、絶望感が、老保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)を通してひしひしと伝わってくる。「NO COUNTRY FOR OLD MEN」という原題が、重く響きながら。通り魔殺人のような理解を超えた犯罪の多発からベル保安官の苦悩は増し、態度をシニカルにさせる。それでも、アントン・シガー(ハビエル・バルデム)に追われたルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)を救おうとするのだ。大金を奪い逃走するモスの運命は、言わば自業自得のようなものである。何故、助けようとするのか。彼の保安官という職種に対する誇りであろう。しかし、保安官はモスを救うことができない。深い無力感と厭世観に覆われて映画は幕を引く。

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2008/06/09

赤い文化住宅の初子

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製作年:2007年
製作国:日本
監 督:タナダユキ

「誰かに助けられことを期待するな」。とても教師には見えないルーズな田尻(坂井真紀)が異彩を放つのは、この台詞を初子にぶつける場面である。父親は蒸発、母親は死去、高校を退学し就職した兄と二人暮しの初子の生活は困窮を極めている。その状況を生き抜くためには、様々な夢を断念しなければならないのであるが、初子にはその覚悟ができていない。

それを求めるのは酷なことではあるが、その逡巡が彼女の表情を暗くしている。それは兄も同様である。労り合わなければならない二人なのに、刺々しい関係が続く。それを乗り越える機会はさらなる災いによってであった。他者を期待する心は、こうして消散していく。

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2008/06/07

歓喜の歌

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:松岡錠司

安田成美の清楚な好演の光る映画ではあるが、小林薫の造形が最後まで馴染めない。冒頭のいいかげんな生き方から、いかに再生していくかが本作品の眼目である。だが、変わってからの行動や言動も、心を捉えることができない。例えば、クレーム対応のために合唱に出られない藤田弓子のところまで駆けつけるのはいいにしても、その後が全くいけない。あれでは、二次クレームを引き起こしてしまうだろう。どうもそうしたところが気になって、素直に感動できなかった。

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2008/06/06

ペルセポリス

製作年:2007年
製作国:フランス
監 督:マルジャン・サトラピ

イラン革命の内側で若者たちがいかに生きていたのか。その内容がとても興味深い。こうしたドラマをイランで撮影するのは、とても困難であるだろう。アニメーションだからこそ構築できる世界は、ファンタジーだけではないことを実感する。マルジへ切々と伝えるおばあちゃんの言葉が切々と胸に響く。

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2008/06/05

L Change The World

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製作年:2008年
製作国:日本
監 督:中田秀夫

最悪のスピンオフである。「デスノート」シリーズで夜神月と緊迫の頭脳戦を繰り広げたの魅力を、これほど台無しにしてしまっていいのか。安楽椅子探偵として得難い存在感を見せたであったはずなのに、下手なアクションや緊張感のない逃亡劇をダラダラと続け、肝心の頭脳が全く生かされていないのだ。

それに輪をかけて白けてしまうのは、敵役の工藤夕貴や高嶋政伸の思慮のなさ。彼らは何をやろうとしているのか。行き当りばったりの行為の連続に、首を傾げるばかりである。最期の23日間を無駄に消費しているような気がしてならない。

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2008/06/04

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ポール・トーマス・アンダーソン

「欲望と言う名の黒い血が彼を怪物に変えていく」という宣伝コピーもあることだし、主人公ダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)について、欲に目のない冷徹で計算高い人物像を予想して見始めたが、どうも違うようだ。確かに、そうした面も持ち合わせているが、そればかりではないと思う。かえって損してしまうような矛盾した行動を取り続けるのだ。どうして、イーライ・サンデー(ポール・ダノ)に対して、意地悪とも言える仕打ちを繰り返すのか。大手石油会社の交渉相手がH.W.(ディロン・フレイジャー)の処遇を話題にしたからと言って、何故、常軌を逸するほどの怒りを見せるのか(二回もその場面が挿入され強調されている)。そもそも、土地買収交渉が有利になるからといって、乳児を一人で育てることができるだろうか。ただお金儲けを目的とするのであれば、マイナスと思えるものばかりだ。その不可解な行為の数々が、ダニエルという男に深い陰影を与えている。そうしなければならないことが、彼の過去に何かあったということを想像させる。ダニエルには、反発よりも哀感を覚えずにはいられない。

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2008/06/03

迷子の警察音楽隊

製作年:2007年
製作国:イスラエル/フランス
監 督:エラン・コリリン

イスラエルに招かれたエジプトの警察音楽隊の団長トゥフィーク(サッソン・ガーベイ)は、トラブルに対して、ますます深みに入るような間違った判断を繰り返す。それでも頑な姿勢を崩せず、すべての事柄に対して、否定的態度を続ける。それは過去の不幸な出来事に誘因されていることが後々明らかになるが、誤りを誤りとして認めなければ、不幸を止めることはできない。食堂の美しい女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)の計らいで生じた一夜は、トゥフィークに否定ではなく肯定することの大切さを教えてくれた。思えば、戦争というものも、敵国を否定することから始まる。肯定すれば、おのずと相互理解の道が開けてくるのだ。そうした思いを込めて奏でられたクライマックスの演奏は、より深みを増して聴こえてくる。

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2008/06/02

エリザベス ゴールデン・エイジ

製作年:2007年
製作国:イギリス/フランス
監 督:シェカール・カプール

アカデミー賞主演女優賞ノミネートも納得のケイト・ブランシェットの貫禄。重厚な演技によって、女王の揺れ動く感情を見事に表現していると思う。惜しまれるのはスペイン艦隊と雌雄を決するアルマダの海戦に深みがないところ。事実として、イギリスに優位となる気象状況があったとしても、神頼みのような精神性ばかりが強調され、興に乗れない。偶然ではなく必然の勝利の演出が足りない。そのために、前作と比べウォルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)の存在感も薄いのであろう。

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