« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月

2008/04/30

大いなる陰謀

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・レッドフォード

今だ対テロ戦争が終結していない2008年に見ると、評価が難しい作品であると感じる。様々な問題提起がされているものの、答えが明確にされていないからだ。その答えは、今後の国際情勢によって明らかにされていくのであろう。それなら、この時点で映画が製作されたのは、何故か。ロバート・レッドフォード監督のメッセージは、明確だ。戦争に倦みつかれて、無関心になってはいけないということ。確かに、一個人としてできることは限られている。だが、イラクやアフガニスタンで兵士たちは、何のために命を落としていくのか、知ることは重要である。様々な思惑で行われている情報操作。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/04/29

シュレック 3

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:クリス・ミラー

物語には表と裏がある。おとぎ話も一皮むけば、決して、めでたし、めでたし、では終われない。そうしたシニカルな視点が面白かったシュレック・シリーズ。それでも三作目となれば、そのパロディ精神も予定調和になってしまうのが、逆の意味で皮肉的だ。皮肉と言えば、王位を望み反乱を起こすチャーミング王子(ルパート・エヴェレット)と、王位を譲りたくて王位継承者を探す旅に出るシュレック(マイク・マイヤーズ)の関係である。両者の欲しいものと、欲しくないものが一致しているのに、かみ合わないもどかしさ。うまく調整できれば争わないで収まるのに、対立を続ける。何か社会を象徴していると感じる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/28

燃えよ ピンポン

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・ベン・ガラント

脚本を書いているロバート・ベン・ガラントとトーマス・レノンは、調べてみると共に1970年生まれのようである。彼らが、多感な頃に聴いていたのが、デフ・レパードなのであろうか。本作品には、このバンドをネタにしたギャクが満載であるが、どこかリスペクトが感じられ、悪い気分にはならない。私自身はこのバンドをしっかり聴いたことがないのでもう一つピンとこないが、ファンの人にはきっと堪らないものであろう。クリストファー・ウォーケンが楽しげに悪役を演じていて良かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/26

Sweet Rain 死神の精度

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:筧昌也

特別なものではないけれど、とても大切なもの。ほとんどの人が歩んでいく生涯とは、ドラマチックに幸運が巡ってきたり、押しつぶされてしまうほどの悲劇に見舞われるものではないだろう。どこかで聞いたことのあるような逸話の積み重ねで日々を過ごしていく。それをつまらないものと感じるか、充実した日常として過ごすことができるか。いかにして大切なものを日々の暮らしの中から見つけることにかかっていく。そうすれば、青空、ひとつとってみても、見方が変わってくるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/25

野いちご

製作年:1957年
製作国:スウェーデン
監 督:イングマール・ベルイマン

例え、いくつになろうとも、自分の生涯を振り返る機会が持てることは幸いである。本作品の主人公イサク(ヴィクトル・シェーストレム)は、幸せな人生を過ごしてきた訳でない。青年時代の婚約者サラ(ビビ・アンデショーン)を弟に奪われてしまってから、苦悩と空疎の時間を生きてきた。そのために、自分の内面だけを見つめ、新たな人間関係を築くことができなかった。だが、それも変えることができるのだ。自分の死を自覚することで、過去に決別することができた。幸福は過去になく、未来で見つけるものである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/23

マイ・ブルーベリー・ナイツ

製作年:2007年
製作国:香港/中国/フランス
監 督:ウォン・カーウァイ

ブルーベリーパイが売れ残るのは、ただブルーベリーパイだからというだけのことで、理由がないとジェレミー(ジュード・ロウ)は言う。だから、愛の失った理由を探しても意味がないとエリザベス(ノラ・ジョーンズ)を励ます。だが、やっぱり理由があると思う。それは愛する想いばかりが肥大化し、相手を縛ろうとする執着心にある。メンフィス、ラスベガスと旅の途中で出会う人々も、その反復である。言ってみれば、自分の願う幸福だけしか見ておらず、相手の願う幸福に気付けないでいる。そうした関係は、どこかで破綻するしかないのであろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/22

人が人を愛することのどうしようもなさ

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:石井隆

虚実わたり。その行き来をする手段として、化粧が用いられているのが興味深い。娼婦メイクを過剰に施せば施すほどに、現実の自分とは遠くなっていく。夫・土屋(永島敏行)の浮気に悩む名美(喜多嶋舞)が娼婦として街に立つことで、見失った心の行き場を見つけていくというプロットはいささか図式的かもしれない。だが、圧倒的な存在感で迫ってくる喜多嶋舞の前には声も出ない。演じる役と私生活が混同していくというとデヴィッド・リンチ監督の「インランド・エンパイア」(2006)を思い出すが、あれほど難解ではなく、最後は収まりよく終わる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/21

チャプター27

製作年:2007年
製作国:カナダ/アメリカ
監 督:J・P・シェファー

自分の存在理由を要人暗殺という形で示そうとする男。「タクシードライバー」(1976)を想起させる内容でありますが、継続性のない思考の流れに見ていて辛いものを感じる。「ライ麦畑でつかまえて」、「オズの魔法使い」、「ジョン・レノン」という三題噺がいかに繋がっていくのか、私の文化的素養では理解に及ばず、結果として、何故ジョン・レノンが殺害されなければいけなかったか、さっぱり分からなかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/20

ラッシュアワー 3

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ブレット・ラトナー

いかにコメディとはいえ、犯罪捜査ものとしては、場当たり的で都合の良過ぎる展開が続き、集中力が途切れがちになってしまう。そんな中、おっと思い目を引き付けられてしまうのは、意外にも出演俳優が豪華であるからだ。マックス・フォン・シドー、イヴァン・アタル。そして、どうしてここにいるのか、ロマン・ポランスキー監督。突然、フランス警察レビ警視役で現れ、びっくりしてしまう。一方、工藤夕貴は、トホホと思わせる殺し屋役で可哀想なくらいであった。やはり本作品の最大の見所は、ジャッキー・チェンと真田広之の夢の対決であろう。この二人の戦いをハリウッド映画で見られるということ。実に感慨深い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/19

フィクサー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:トニー・ギルロイ

冒頭のシーン。マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)が、もみ消し屋=フィクサーとして腕を振るうだろうと思わせるシークエンスだ。だが、何か微妙に違う。顧客を怒らせてしまうなど、どうも様子が変だ。そして、乗用車爆破に繋がり、一体、この男に何が起きたのか、最初から惹きつけられてしまう。シドニー・ルメット監督の「評決」(1982)を想起させる内容。失意の日々を送る弁護士が、ある訴訟をきっかけに再び真実と正義を取り戻していく再生ドラマである。彼の命を救ったのは、ありのままの自然を美しいと思う心だった。トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントン、シドニー・ポラックと俳優陣も見ごたえある演技を発揮し、風格ある作品になっている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/18

やわらかい手

製作年:2007年
製作国:ベルギー/ルクセンブルグ/イギリス/ドイツ/フランス
監 督:サム・ガルバルスキ

本作品が胸打つのは、初老の女性マギー(マリアンヌ・フェイスフル)が孫の手術代を稼ぐため、飛び込んだ性風俗店で思わぬ成功を収めたからではない。それはあくまで入り口だ。一つの成功から、それまでの人生を振り捨てて、新たな道を歩み出すところにある。その意味で、孫の手術に同行しなかったのは、実に象徴的だった。

「フル・モンティ」(1997)、「キンキー・ブーツ」(2005)など、一つの因習を打ち破り、新たな飛躍を遂げていく映画が、イギリスを舞台に次々に生み出されている。ドラマに似合う風土というものがあるのだろうか。

お店のオーナー、ミキはどこかで見た顔だと思っていたら、エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」(1995)で主人公マルコを演じていたミキ・マノイロヴィッチ。とぼけた中に哀感を漂わせる存在感は健在だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/17

王妃の紋章

製作年:2006年
製作国:中国/香港
監 督:チャン・イーモウ

いまどき、これほどの絢爛豪華な美術セットとモブシーンを撮れるのは、世界広しと言えどもチャン・イーモウ監督ぐらいしかいないであろう。この迫力はやはり映画館で見てこそ。大いに胸揺さぶられる。その一方で、王家の愛憎関係が、今ひとつ理解できず、陰謀と裏切りの物語に入り込むことができなかった。どうしてこれほどまでに、王妃(コン・リー)は国王(チョウ・ユンファ)を憎むのか。二人の確執が激しいだけに、その出発点が分からず、戸惑ってしまう。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/04/16

うた魂(たま)

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:田中誠

どうもいまいち乗り切れないのは、脇筋のエピソードが巧く機能していないからだ。例えば、瀬沼先生(薬師丸ひろ子)が行う朝礼の挨拶。いくら臨時教師とはいえ、立ちくらみをしたり、巧く話せなかったりするのは、一体、何故なのか。単に笑いを呼ぶものであれば、全く面白くないし、後に明らかになる意外な素顔と全く繋がっていかない。これなら、無いほうがすっきりする。彼女のキャラクターが曖昧なままなので、「仲間と一緒に歌う時間を大切にしなさい」という心暖まるメッセージも、効果的でなくなってしまう。

自意識過剰だったかすみ(夏帆)が合唱の真の魅力に目覚めていく主題は、定番的とはいえ、やはり胸打つものだ。それだけに構成の甘さが惜しまれる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/15

ニキフォル 知られざる天才画家の肖像

製作年:2004年
製作国:ポーランド
監 督:クシシュトフ・クラウゼ

あまり前情報に触れる機会もなく、てっきり、ドキュメンタリー映画かと思って見始めたら、伝記ドラマだったのでビックリした。さらに、小柄な老人画家の主人公ニキフォルを演じたのが、クリスティーナ・フェルドマンという女優さんだと知って、さらに驚いてしまう。偏屈な老人にしか見えない秀逸な演技力だった。

さらに、さらに驚いたは、いくら天才的な絵画に魅了されたとはいえ、身内でもできないような親身な世話を家族を捨ててまで行っていたという男性の存在。このマリアン(ロマン・ガナルチック)こそ、本作品のなかでもっとも興味深い。どうして、ここまで打ち込むことができたのか。私には分からない。ただ、天才画家として、こうして映画まで作られるほどの名前を残すことができたのは、マリアンのような人々の支えがあってのことだろうと思うだけだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/14

潜水服は蝶の夢を見る

328168_01_04_02

製作年:2007年
製作国:フランス/アメリカ
監 督:ジュリアン・シュナーベル

「自分を憐れむのは、もうやめた」。ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)が、そう心に決めた時、左目の瞬きだけで自伝を書くという奇跡が始まった。名編集長として謳歌していた人生。突然の脳梗塞。身体の自由が奪われたロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)。どれほどの絶望を感じたのか。だが、それでも人生は続いていく。自己憐憫を止めるということは、自分の現実を受け入れるということ。ボビーの左目から映したショットも、臨場感溢れ、大いに惹きつけられました。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2008/04/12

僕のピアノコンチェルト

製作年:2006年
製作国:スイス
監 督:フレディ・M・ムーラー

「迷ったら、大事なものを手放してみる」。こんな風に人生の道を示唆する祖父(ブルーノ・ガンツ)が素晴らしい。天賦の才能に目を奪わせてしまった母。その過剰な期待に息が詰まりそうになる天才少年ヴィトス。その孤独を受け止める祖父がいてくれることが、どれだけ少年の救いになったことだろう。そして、少年が選んだ一つの決断。そこからの展開が出来すぎという感じもしないではないが、飛行機とヴィトスの成長を結びつけたところはなかなか秀逸だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/10

ファンタスティック・フォー 銀河の危機

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ティム・ストーリー

人は自分の持ち得ないものを果てしなく望む。特殊な能力を身につけてスーパーヒーローとなったスーザン(ジェシカ・アルバ)だが、<普通の生活>を求め、リード(ヨアン・グリフィズ)との結婚に不安を感じる。だが、彼女たちが特殊な能力を有している限り、<普通の生活>を送れるはずもない。どこでそれを認めるか。本作品では、その辺りの心境変化がうまく描かれておらず物足りなかったが、人の不平不満は絶えることのないことを改めて知る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/09

君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956

製作年:2006年
製作国:ハンガリー
監 督:クリスティナ・ゴダ

独立を求め蜂起する者たちと、武力を用いて鎮圧しようとする者たち。2008年3月のチベット騒乱のように、今なお独立運動の流血は終わらない。弾圧すれば全世界から批判を受けることが分かっていても、当局が銃を向けるのは何故か。経済的支配を失うわけにいかないからである。利権が絡むからこそ、争いは続く。こうしたことを、ヴィキ(カタ・ドボー)たち大学生たちはどれだけ分かっていたのであろうか。ただデモをすれば、ただ自由を叫べば、手に入るほど独立は甘いものではない。ハンガリーが共産党独裁から抜け出せるのは、この動乱から30年以上もかかるのだ。若者たちはナイーヴであったと感じてやまない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/05

転々

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:三木聡

相変わらず小ネタ満載の三木聡監督作品であるが、前作の「図鑑に載ってない虫」(2007)から短い期間で見たので、それが絶妙の味わいとして感じられる。何より、この二人のように東京の街を歩いてみたくなる。そんな気分にさせてくれただけでも、この映画は秀作であると思う。もう一つ、印象深いのは麻紀子(小泉今日子)である。偽の夫婦写真を飾っているところに、彼女の寂しさが浮かび上がってくる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/02

ONCE ダブリンの街角で

製作年:2006年
製作国:アイルランド
監 督:ジョン・カーニー

極寒の冬には、さすがに少ないが、盛岡の街角でも、ギターを持って熱唱している若者たちがいる。彼らにも、様々なドラマが秘められていのだろうなぁと、本作品を見ていて思う。優れた映画というものは、ファースト・シーンとラスト・シーンに力強い描写を残すものであるが、この映画もそうだ。小銭泥棒を追いかける男の(グレン・ハンサード)の躍動感。ピアノを弾きながら窓の外を見つめる女(マルケタ・イルグロヴァ)の余韻残る瞳。劇中の歌曲も素晴らしく、サントラ盤が欲しくなります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/01

プライベート・ライアン

製作年:1998年
製作国:アメリカ
監 督:スティーヴン・スピルバーグ

戦争というものは、本当に残酷なものだと思う。何のために殺し合わなければならないのか。ライアン二等兵を探すというメイン・プロットは外れるが、途中の戦闘で捕虜となったドイツ兵とアプム伍長(ジェレミー・デイヴィス)の逸話が心に残る。この二人の関係は本当に皮肉なものであるし、生き残った者に深い傷を残すものだ。戦争が続く限り、こうした悲劇は繰り返される。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »