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2008年1月

2008/01/29

ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジョン・タートルトーブ

そそぎたい先祖の汚名。後世に残したい家名。ベン(ニコラス・ケイジ)にしろ、ウィルキンソン(エド・ハリス)にしろ、自分の私利私欲でリンカーン大統領暗殺事件の真相を追究していない点が興味深い。そのために、爽やかな余韻を残すのであろう。

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2008/01/24

マリと子犬の物語

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:猪股隆一

物語のプロットは「南極物語」(1983)をベースに作っているだろうと思っていたが、まさにその通り。最初から最後まで、こうなるだろうと予想していたとおりの展開で映画は進んでいく。

何も驚きはないのだけれど、久々に号泣してしまった。つまり、感動というものは普遍的なものであり、新しいとか古いとかを超越し、その物語が心の襞に触れてしまうかどうかによって決まるものなのであろう。

例えば、船越英一郎、宇津井健、高嶋政伸という俳優たちが、いかにも芝居をしているという仰々しい演技を全開していて、普通であればもっとも苦手とする映画のはずである。だが、小細工なしでストレートに感動の物語を提示されているので、気にならなくなってしまう。

冒頭に映った美しい山古志村の空撮や、久石譲の音楽など秀逸ポイントも多い。何より犬たちの演技は得難いものであるし、「マリぃぃぃぃ!」と叫ぶ子役の佐々木麻緒に胸を付かれた。その声に緩んでしまった涙腺。

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2008/01/21

魍魎の匣

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:原田眞人

脚本も自分で書いている原田眞人監督の妙技を味わった。一見バラバラに見える不可解な3つの事件といっても、映画が進んでいくとなんと言うことのない謎で肩透かしを食う。ドラマとしての深みは足りないのに面白く見せてしまうのは、テンポのよい編集と軽妙な会話劇のためだろう。中堅男優たちの佇まいもよい。

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2008/01/18

アイ・アム・レジェンド

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:フランシス・ローレンス

神のご意思。そう言ってしまえば、不条理な出来事が起ったとしても、何か意味性を見つけることができる。

例えば、癌治療を目的としてウィルスを遺伝子操作して開発された新薬が、人間の根源から変えてしまいダーク・シーカーズの誕生を生んでしまった本作品のような事態。

そもそも癌という病気が神の意思であり、遺伝子操作という行為が神の怒りをかったのではないか。新薬開発が神の意思であり、ダーク・シーカーズ自体が新人類として選ばれたのではないか。

ロバート・ネビル(ウィル・スミス)が、孤独の中でニューヨークに留まり、人類再生の道を探ろうとするのも、神の意思でないか。ダーク・シーカーズが、ロバートの狩り方法を真似して、知的進化を遂げていこうとするのも、神の意思でないか。

人それぞれに感じるところは違うと思うし、それを神のご意思という言葉で統一することはできない。それぞれの神のご意思を見つけていくしかないのである。M・ナイト・シャマラン監督の「サイン」(2002)に通じる主題を持った作品であった。

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2008/01/17

椿三十郎(森田芳光)

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:森田芳光

黒澤明監督作品のオリジナル脚本を使用した今回のリメイク版。あの日本映画史上の残る有名な決闘シーンをどう撮るのか。当初から私は注目しておりましたが、果たして森田芳光監督は全く変えてきました。

それまでカット割りから台詞廻しまで、かなり忠実に黒澤版を再現させていただけに、この場面へ込められた森田監督の強い意志を感じさせます。

椿三十郎(織田裕二)と室戸半兵衛(豊川悦司)の二人。森田監督はインタビューで二人は太陽と月だと言っておりました。両者を隔てる壁の高さを感じつつも、「いい子だ」という台詞を両者に使わせるなど拭い難い類似性を感じます。

同じ技量や同じ思考法を持ちながら、並び立つことはなかった。出会う場所が違えば、友人として楽しく酒を飲む機会もあったかもしれない。それでも斬り合いをしなければならない哀しみ。椿は室戸を斬りながら、同時に自分自身をも斬っていたのではないか。そう感じさせる決闘シーンでありました。

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2008/01/12

マイティ・ハート 愛と絆

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:マイケル・ウィンターボトム

マイケル・ウィンターボトム監督と言えば、これまで「イン・ディス・ワールド」(2002)や「グアンタナモ、僕達が見た真実」(2006)など、中東諸国側からの視点で見つめてきた作品を撮ってきている。本作品は、それらと反対の立場から作られていて、非常に興味深い。

こうして両側から見ていくと、善悪という概念はいかに相対的なものか分かってくる。9.11事件以降、イスラム教徒がすべてテロリストであるような恐ろしい風潮が生まれてしまった。その一方で、中東諸国のアメリカ離れも急速に進行している。ひとつのイメージに支配されることが、いかに危ういことか。

そうした憎悪の対立のなかで、夫を誘拐・殺害されてしまったマリアンヌ・パール(アンジェリーナ・ジョリー)。彼女はパキスタンを声高に非難しないが、無神経なTVキャスターの質問には憮然と拒絶する。この世で起こる無慈悲で非情な犯罪事件は、民族や国ではなく一人一人の人間が生み出すものである。

そうした数々の悲劇をジャーナリストという仕事柄、たくさん知っているのかもしれないが、彼女の言動に深い感銘を受ける。

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2008/01/10

めがね

製作年:2007年
製作年:日本
監 督:荻上直子

賛否両論出ているようであるが、断然、私は支持したいと思う。荻上直子監督の表現方法は、前作の「かもめ食堂」(2005)より、さらに粗雑物を取り除き、一段と洗練されてきていると感じる。台詞や小道具を巧みに反復することで強調させ、具体性のある情報は盛り込まれていない。そのため、リアリズムを越えて寓話性が高められている。

普通に考えればおかしな描写もたくさんある。例を挙げていくと、あんな接客態度で宿ハマダの営業が成り立つのであるか。あまり交通の便も良さそうでない離島なのに、サクラさん(もたいまさこ)のメルシィ体操へどうしてあれだけの子供たちが集まってくるのか。地元に住んでいるハルナ(市川実日子)が他のホテルや空港への道を分からないでいるか。それらをおかしいと言って糾弾するのは容易い。だが、そうしたことは百も承知で、荻上監督は、こうしたエピソードを取り入れているように思える。

このハマダを中心とした世界は、現実にはありえないひとつの異界となっているのだ。そこでの生活を通して、心身疲労の都市生活者たちが、豊かな自然のある地方に行っても癒されとは限らないというテーマが鮮明に浮かび上がってくる。

都市生活へつながるしがらみを、いかに絶つことができるかということである。その象徴としてトランクが絶妙に使われている。「かもめ食堂」でも印象深く使用されていたが、トランクを置いていくことで、タエコ(小林聡美)は大きな転機を向えたのであった。

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2008/01/09

ボーン・アルティメイタム

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ポール・グリーングラス

「ザ・シューター 極大射程」(2007)を見たときにも感じたことがある。愛国心に満ち溢れた若者が当局に裏切られ、孤独な戦いを続けるという物語が、9・11以降のテロ戦争が続くこの時代に製作されるということに、何か隠された意図があるような気がしてならない。

勿論、敵は外になくなく、味方の中にあるというプロットは、これまでのアメリカ映画で繰り返し描かれてきているものである。目新しさはないかもしれない。が、イラク戦争の根拠自体が、まったく誤認であったことが明らかになった今、こうした国家当局への怒りをぶつけるような映画が多作されていることに何か意味があると思えてならない。

アメリカは自由を標榜する民主主義国家という表の顔がある一方で、意にそぐわない存在には暗殺や謀略を使って排除しようとする強権国家という裏の顔もある。そうした裏の勢力を果敢に批判するべく、自国の腐敗をテーマに映画を製作しているということもあるだろうが、それだけだろうか。

本作品にしろ「ザ・シューター」にしろ、陰謀勢力が呆気なく主人公たちに敗れ去られていくのは、あまりに安易すぎる。勧善懲悪という分かりやすいドラマに仕立て、観客の目に見えない不平不満を、ある種、ガス抜きしているのではないだろうか。そのために真に批判を受けなければいけない勢力の隠蔽に、こうしたアクション映画は利用されているような気がする。CIAのような諜報機関を悪者にしておけば、誰もが納得する。それでいいのだろうか。

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2008/01/05

ALWAYS 続・三丁目の夕日

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:山崎貴

典型的な人情ドラマであるが、情に流れ過ぎないのは、主人公たちと対立する人物を配置しているからだ。それは淳之介(須賀健太)の実父である川渕(小日向文世)であり、ヒロミ(小雪)の先輩踊り子(手塚理美)である。

彼らは、茶川(吉岡秀隆)やヒロミのセンチメンタルな思いに現実という冷や水を浴びかける。彼らの言葉に意地悪にも聞こえるが、そうなる可能性が高いことに間違いはない。そうではあるけれど、100%正しいという訳でもないのだ。現実という壁を乗り越えるだけの意欲と熱意がそれぞれにあれば、道は広がっていく。二人の再会に胸を打つのはそのためだ。

前作に引き続き、変わりゆく東京の姿をVFX技術によって再現されている。そこには希望があり失望もある。現代から振り返ってみれば、何を得て何を無くしてしまったか、ノスタルジックに実感できるであろう。

だが、希望と失望を同時に抱えているのは、今も変わらない。失望を恐れずに、夕日を綺麗だと実感できること大切にしたい。そう思わせるラストシーンであった。

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2008/01/01

2007年ベストテン

2007年を総括したときに、今年もドキュメンタリー映画の秀作が多く公開されたことが目を引きます。こうした作品が当たり前のように映画館で上映されることをまず喜びたいと思います。

その映画を見て初めて知る事実も多々あり、自分の視野の狭さを痛感することの繰り返しでありました。ベスト10の選出にあたり、一時はこうしたドキュメタリー映画をずらりと並べるようなランキングも考えました。

しかし、あえて外す事にしました。驚愕の事実は事実として、それらを物語に昇華させていく中で、映画製作者の力量が問われていると思います。そうしたフィクションの力を私は評価することにしたのです。

さて、個々のベスト10を選んだポイントですが、「その時、何を選択したか」という人生の岐路を描いた映画を集めてみました。人は生きていくなかで、意識的にしろ無意識的にしろ様々な岐路に立たされます。その選択の中で、幸福になるか不幸なるかが決まっていきます。

運命は選びとるものであると感じさせてくれた20作品です。

●外国映画
01 グッド・シェパード
エドワードは耳の不自由な女性ローラとの別れを選び、諜報活動の闇に堕ちていく。久々に風格を感じさせる大作でした。167分の上映時間、固唾を飲んで展開を見つめました。

02 ツォツィ
ツォツィは強奪した自動車の中に赤ん坊を見つけたとき、人間的な感情を取り戻していく。これまで見たことのない南アフリカのスラム街の描写が圧巻でした。

03 善き人のためのソナタ
ヴィースラーは芸術家の監視を続けながら、監視国家の欺瞞に気付いていく。ソナタはひとつのきっかけでしかない。人の心は日々の生活の中から定まっていくのである。

04 約束の旅路
シュロモはエチオピアの内紛から逃れるためユダヤ人になりすましイスラエルに向かう。生きるとは衣食住が足りているだけでは満たされない。自分のアイデンティティを求めるシェロモが悲しい。

05 サン・ジャックへの道
母親の遺産相続のため聖地巡礼の旅に渋々向かった仲の悪い三兄弟。彼らが旅のなかで見つけたものは。生きていると、無意識の内に様々な荷物を背負い込んで身動きできなくなることもある。

06 バベル
モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本。見えないところで繋がっていく運命の不思議さ。孤独な魂が生み出す悲劇と喜び。菊地凛子のアカデミー賞ノミネートは快挙でした。

07 ストリングス 愛と絆の旅路
ハル王子は父の仇を探す旅のなかで、復讐と愛の意味を見つけていく。いくつもの糸で操られたマリオネットの世界。その舞台設定が秀逸でした。

08 ミルコのひかり
両目の視力を失ったミルコは全寮制の盲学校で古いテープレコーダーを見つけ、新たな物語を作り出していく。視力を失ったことは悲劇である。だが、別な何かを始める出発点でもあった。

09 世界最速のインディアン
バート・マンローは62歳でニュージーランドからはるばるアメリカへ渡り世界最速記録を打ち立てた。夢を追い続けたことも素晴しいが、その実現は多くの人たちの善意と援助に寄るものだ。

10 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ハリーはヴォルデモート卿の陰謀により窮地に立たされるが、自らの意志力で乗り越えていこうとする。シリーズ5作目にして、もっとも感銘を受けた。

●日本映画
01 それでもボクはやってない
徹平は身に覚えのない痴漢容疑で逮捕され、長期にわたる裁判の道を選んでいく。えぇ、日本の司法制度はこんな状況なのという驚愕を覚えた衝撃作。周防正行監督はやはり凄い。

02 河童のクゥと夏休み
康一は学校帰りに不思議な石を拾うが、なんと河童の子供であった。クゥと名付けられ河童のため、康一とその家族は様々な試練に立ち向かっていく。もっとも評価されて欲しいアニメ作品。

03 めがね
タエコはかたくなに拒んでいたサクラの氷あずきを食べて、世界を一新させる。たそがれの世界は、微妙な距離感で成り立っていた。来るも、去るのも自由であるが、永遠には居られない。

04 夕凪の街 桜の国
父の行動を不審に思って後をつけた七波は、そのまま広島までやって来てしまう。原爆の悲劇は、今尚続いていることを実感する。けっして、仕方ないでは済まされない。

05 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
オトンに愛想を尽かしたオカンは幼いボクを連れ、小倉から筑豊の実家に戻る。オカンの生き方は簡単なようでいて、なかなか真似できないものである。だから、胸を打たれる。

06 アヒルと鴨のコインロッカー
大学入学のため引っ越してきた椎名は隣人の河崎という不思議な青年に声を掛けられる。伊坂幸太郎の原作も読んでみましたが、見事に脚色しております。ラストシーンなど映画版の方が素晴しい。

07 魂萌え!
急死した夫が長年浮気していたことを知り驚愕する敏子。身勝手な長男の振る舞いにも怒り、家を飛び出してしまうが。自分の人生を見つめてやり直すのは、いつからでも始められる。

08 幸福な食卓
佐和子は家族崩壊危機の中でも朝の食卓だけは大切にしていたが、ボーイフレンドの大浦の事故死に心を塞いでしまう。悩み傷つきながらも成長していくことを象徴したラストシーンが素晴しい。

09 天然コケッコー
中学2年の右田そよは都会から来た転校生の大沢広海に心波立つが。もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう。この台詞が良かったです。

10 あしたの私のつくり方
高校生になった寿梨はいじめにあっていた小学校時代の同級生日南子に携帯メールを送るようになる。自分自身を肯定することがいかに難しいか。本当の自分を求めて揺れ動くさまを静かに描写。

●エンターテインメント度を重視した裏ベスト
01 アポカリプト
02 ボーン・アルティメイタム
03 ダイ・ハード4.0
04 ドリームガールズ
05 ヘアスプレー
06 ハッピー フィート
07 デス・プルーフ in グラインドハウス
08 キサラギ
09 スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ
10 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

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