製作年:2007年

2009/11/25

僕の彼女はサイボーグ

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:クァク・ジェヨン

タイムトラベルが出来たとして、過去を変えることができるのか。どんな事をしたって歴史の流れを変えることはできないという虚無感を抱かせるか、細かいことなど気にせず過去の禍根を断って、明るい未来を築くことができるのか。それこそ、作者の姿勢が問わる命題だと思う。どれだけのタイムトラベラーがいるのか分からないが、それぞれが過去を干渉してしまえば、大混乱が起きるのは必至なので、歴史の流れは変えられない、変えてはならないという方が正しい道だと思うのであるが、どうであろう。

本作品も未来から来たサイボーグ(綾瀬はるか)が悲惨な事件を止めようと大活躍してしまう物語だ。正確に事件現場や発生時刻が分かっているので、常人を越える能力を発揮し、事件を未然に防いでしまう。それをいいけれど、いささか無邪気過ぎるのではないだろうか。それが映画の夢と言ってしまえばそれまでであるが、あまり感心できなかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/22

3時10分、決断のとき

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:ジェームズ・マンゴールド

ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が最初に登場するシーンが良い。アウトローというイメージにはそぐわない野生の鷹をスケッチしている。そこへ手下のチャーリー(ベン・フォスター)が迎えに現れたため、鷹は飛んで行ってしまう。それだけの場面であるが、この二人の微妙な関係が窺われ、終盤の展開の布石になっていると感じました。ベンにしろ、ダン(クリスチャン・ベイル)にしろ、白黒では割り切れない登場人物たちの性根を巧みに描いているところも良かった。正反対とも言える二人の中である共感を持ち得ていくところがドラマの醍醐味でありました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/20

モンゴル

製作年:2007年
製作国:ドイツ/カザフスタン/ロシア/モンゴル
監 督:セルゲイ・ボドロフ

これでもかというくらいテムジン(浅野忠信)が放浪や捕らわれの身になっているエピソードが続く。どんな苦難が続こうと、最後にはチンギス・ハーンになると分かっているので心配はいらぬのであるが、それでも、目を背けたくなってしまいます。それでいて、なぜあれほどの大帝国を築くことができたのか、その諸事は全く描かれていない。執拗にテムジンの人格形成の経過を追い続けていく。

モンゴルの大自然の風景描写が素晴らしく、冷徹な美しさに目を奪われます。少年時代、アンダ(盟友)の誓いを交わしたジャムカ(スン・ホンレイ)との対決が物語を盛り上げていきます。「蒼き狼 地果て海尽きるまで」(2006)を合わせ見ると興味深い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/12

コレラの時代の愛

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:マイク・ニューウェル

純愛映画というのは数え切れないくらいあるけれど、本作品はその中でも異色中の異色であろう。初恋の女性を待ち続ける男というのは珍しくないかもしれないが、フロレンティーノ(ハビエル・バルデム)は簡単に共感しえない男である。出会いからの日から51年9ヶ月4日と細かく数えているところが薄気味悪いし、いかにフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)を想い続けていたとしても、亡くなった亭主の葬儀のすぐ後で、求愛に訪れるというのは非常識も甚だしい。それでいて、彼女への純潔を誓いながら、結果的に肉体関係を持った女性のことを事細かくノートに記述しているのだ。

それだけなら陰気でつまらない男のように思えるが、関係を持った女性が622人もいるという。それも娼婦でない一般女性ばかりなのである。それだけの女性を魅了させる男が持ち続けた純愛。イメージのギャップが実にユニークな作品だったと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009/09/28

D-WARS ディー・ウォーズ

製作年:2007年
製作国:韓国
監 督:シム・ヒョンレ

90分というタイトな上映時間は好ましいとは思うけれど、これではあまりにも説明不足ではないか。脚本にはあるものの、編集でカットしたのではないかと思えるような唐突感と不自然さが、ずっと付いて回るのだ。その最たるものは、何故、500年に一度の戦いが朝鮮からロセンジェルスに移っていったのか、さっぱり分からないことだ。

勿論、巨大モンスターをアメリカの都市部で暴れさせたいという映像的意図が最優先なのは良く理解できる。それならそれで成り立つような物語を生み出せばいいことだ。古美術店の店主ジャック(ロバート・フォスター)の行動意図もさっぱり不明。サラ(アマンダ・ブルックス)を守るのであれば、イーサン(ジェイソン・ベア)に託すのではなく、自分で戦う方が早いだろうにと、思えてしまう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/21

ヤング@ハート

製作年:2007年
製作国:イギリス
監 督:スティーヴン・ウォーカー

平均年齢80歳のコーラス隊“ヤング@ハート”の歌声に魅了される。決してうまいわけではない。素人芸と言ってしまえばそれまでであるが、パフォーマンスとは演者の技能レベルだけで評価されるものではないことに気付かされる。まず、取り合わせの妙がある。老人たちが、ロック・ミュージックを歌う。それも、ビートルズのような大スタンダード・ナンバーでない。クッラシュやラモーンズといったパンク・バンドの楽曲を歌うのである。

若者の不平不満を爆発させた歌詞と老人では、どうしたってイメージが合わない。だが、実際、演じてみると、どうであろう。奥深い、味わい深いとしか表現できない仕上がりぶりである。最大の聴きどころは、Coldplayの“Fix You”だ。公演間際に亡くなった友への鎮魂歌をして、しみじみと心の中へ響き渡っていく。こういう形でオリジナル・ナンバーを超えることもできるのだ。彼らをまとめる、厳しくも暖かい指揮者ボブ・シルマンの選曲が素晴らしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/12

湖のほとりで

製作年:2007年
製作国:イタリア
監 督:アンドレア・モライヨーリ

確かに、殺人事件の捜査を通して、村人一人ひとりが隠し持っていた悩みや葛藤が浮かび上がる様子を丁寧に静謐な映像で描き出したアンドレア・モライヨーリ監督の手腕は素晴らしいと思う。だがその一方で、美しい少女アンナ(アレッシア・ピオヴァン)が何故、全裸で殺されなければならなかったのか、その意味が掴みとれないでいる。

一応、事件の真相は明らかにされるのであるけれど、アンナの真意は、復讐なのか、それとも、告発なのか。いずれにしてもどこか狂気じみた様子が浮かんでくるのである。だが、そのイメージと、眠るように死んでいたという冒頭の一場が噛み合わない。どこかで読み間違えてしまったのではないかという気がしてならない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/05

敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生

製作年:2007年
製作国:フランス
監 督:ケヴィン・マクドナルド

何故、元ナチスの親衛隊員だった男が戦犯として裁かれることなく、生き延びることができたのか。その理由は本作品をみるとよく分かることになるが、戦勝国の勝手な論理ということもあるであろう。だが、それだけではなく、この世の中には正義の戦争というものはなく、単に利害関係の対立が原因で戦争が起こるということも明らかになってくる。クラウス・バルビーはドイツ占領下のリヨンで卓越した手腕を発揮し、次々とユダヤ人を強制収容所へ送り込んだ。戦後、糾弾されてしかるべきであるのに、その腕を買われて、ソ連と敵対することになるアメリカ合衆国の戦力となっていくのだ。この矛盾こそ国際政治の真骨頂だと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/08/31

人生に乾杯

製作年:2007年
製作国:ハンガリー
監 督:ガーボル・ロホニ

年金だけでは生活できず、借金の取り立てに追われる老後を過ごす81歳となったエミル(エミル・ケレシュ)と70歳のヘディ(テリ・フェルディ)の老夫婦。ついに、出会いのきっかけになったダイヤのイヤリングも借金のカタに取られてしまう事態に。怒ったエミルは強盗を繰り返すようになるという話になっていくのであるが、どこか設定に無理がある。

「俺たちに明日はない」(1967)の設定を老人と現代のハンガリーでよみがえさせるアイディアは秀逸であると思う。だが、思いつきで起こした強盗がそうそう巧くゆく筈はないし、それを成り立たせるには主人公の造形をもっと作りこまなければならない。ただの政府高官の運転手にできることではないのである。コメディーとして楽しい場面も多々あるが、ドラマ的には必然性を欠けているように感じられた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/08/23

扉をたたく人

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:トム・マッカーシー

何故、ウォルター(リチャード・ジェンキンス)はマンハッタンの別宅で不法に暮らしていた見知らぬ若いカップル、タレク(ハーズ・スレイマン)とゼイナブ(ダナイ・グリラ)に対して温情を掛けたのであろうか。冒頭からの二場面を見れば、とてもそんな情けをかけるような男には思えないのである。ポイントは、アパートの扉を開けると、すぐ目につくところに飾ってあった花ではなかったかと思う。

実は彼らも詐欺に遭っていたのだが、それでも部屋を乱雑に使っていれば、助けようとする気も起きなかったであろう。頑迷なまでに自己を閉ざしてきたウォルターに欠けていたのは、美しい花を飾ろうとするような潤いの心だったのではないか。この花瓶のアイテムは、タレクの母親モーナ(ヒアム・アッバス)が滞在する時も、繰り返されている。ジャンベ(アフリンカン・ドラム)に魅了されていくのも、溶け始めた心にその響きが沁み入ったからである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧