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2007年12月

2007/12/25

ヘアスプレー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:アダム・シャンクマン

1962年という時代性。公民権法の成立される1964年までの意識の変化がダンスを通して描かれている。人気テレビ番組のダンサーを目指す太めの女子高生の天真爛漫な姿を描いているだけでない構成が、なかなか秀逸であった。

人種差別を行う側の根底には、既得権を侵害される恐怖心である。自分の番組にマイノリティーが増えてくることを、徹底して排除しようとするプロデューサーのベルマ(ミシェル・ファイファー)が、そのシンボルだ。自分の築いてきた世界を守ろうとすればするほど、上滑りするような醜態を見せる。

変わっていくものを拒絶しようとしても、拒絶できないのが時代というものであろう。一つの価値観に縛られない心の豊かさ。一連の騒動からトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)が学び取ったことは、それであろう。クライマックスで見せる彼女のヘアスタイルが、ひとつの象徴である。

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グッド・シェパード

製作年:2006年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・デ・ニーロ

やはり3時間近い上映時間に対して、長過ぎるとの批判を様々なレビューで見受けられる。だが、私は全くそう感じなかった。息の詰まるような緊迫感。秀逸な人物造形。抑制の効いた感情表現。久々に風格ある大作を満喫した思いである。

製作総指揮にフランシス・フォード・コッポラの名前があるのが関係あるかないか分からないが、「ゴッドファーザー」を想起させるドラマであった。純真な青年が謀略の裏社会に飲み込まれ、幾度の危機を乗り越えながら、その世界の頂点に上り詰める。家族とも疎遠となっていき、身近な人間から裏切りを受ける。その苦しさや痛みを心に裏側に隠し、冷徹に仕事を片付けていく。

望んだ人生ではけっしてないのだが、元に戻せるすべもなく、哀しみと共に前に進んでいくしかない。そうした主人公のエドワードをマット・デイモンが期待以上の好演。マイケル・ガンボン、ウィリアム・ハート、ジョン・タートゥーロら豪華な脇役陣も見応えがあった。

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サウスバウンド

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:森田芳光

元過激派の父親一郎(豊川悦司)の破天荒な言動に反発して、一人暮らしを始める洋子(北川景子)。その時の引っ越しシーンが短いながらも印象深い。

同棲相手らしい男性がトラックから軽い荷物から降ろさず、洋子が重たいバックを弱々しく運んでいく場面。このバックが沖縄の西表島に向かった時にまた使われている。その時は、島の巡査(松山ケンイチ)が軽々しく持ち運んでいく。自分自身にしか目を向けない都市と周囲に気配りする余裕のある田舎。この対比がなかなか絶妙であった。

さて、彼女は、何故、家族の元に戻ってきたのか。家族にとっては問題を引き起こす迷惑この上ないと思わせる父親であるが、その基本姿勢は間違っていない。常識外れではあるが、決して間違ったことを言っていないのだ。おかしいと思ったことを、声高に意義をとなえれば、周囲に軋轢を呼ぶ。

だが、父親の内面が物語の進行と共に明らかになり、どんどん好感を増していく。決め台詞の「ナンセンス!」も、魅力的に聞こえるようにもなるのだ。彼女の帰還は見る者と父親の関係が変化していく一つの象徴である。

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