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2007年10月

2007/10/17

幸せのレシピ

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:スコット・ヒックス

人生の転機はどこで訪れてくるか分からない。肉親の事故死という痛ましい悲劇は、巡り巡って自分を大きく変えるきっかけとなった。それが本作品のヒロインである。

人生で起こることは、すべて意味のあることではないだろうか。すべていい結果になるとは限らないが、その哀しみにも何か意味があるのではないかと考え、真摯に生きていれば、別の悲劇を生むことにはならないだろう。

シェフとしては一流の腕を誇りながら、私生活のバランスを崩しているケイト(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)。亡き姉の娘と一緒に暮らすことによって、これまでの生活スタイルが根底から覆されてしまう。

そのことにより、怒りを爆発させる場面がもっとたくさんあるのではないかと予想していたが、さほどではなかった。どこか茫然としているような様子である。

常軌を逸するほど怒りを見せるのは、理不尽なクレームをつけるレストランの客にだけである。彼女は確固たる自己を持ちえているのは、料理の世界だけなのであろう。その他のことには、脆く壊れやすいため、あえて近付かないようにしている。セラピーの中で、料理のレシピを語り続ける冒頭の場面が印象的である。

そうしたアンバランスな精神世界を救ったのが、ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)とニック(アーロン・エッカート)との擬似家族関係であった。彼女には、他者との距離の取り方を学ぶ機会がなかったのではないか。やはり、セラピーの場で、幼少の頃の家族関係を尋ねられて、頑なに拒絶するところからも、何かあったのだろうと推察される。

重要なのは、そうしたトラウマも乗りこえられるということである。彼女の笑顔から感じ取れるものは多い。

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2007/10/11

プロヴァンスの贈りもの

製作年:2006年
製作国:アメリカ
監 督:リドリー・スコット

どうして疎遠になってしまったのか。毎年夏になると訪れていたヘンリーおじさん(アルバート・フィニー)のいるプロヴァンス地方なのに、いつの間にか行かないようになっていた。特に争いがあったということでもなさそうである。

成長とはそういうものなのであろうか。日々の生活が忙しくなり、昔のことを思い出す余裕もなくなっていく。振り返るのは訃報の時だけに。こうしたことは、ある種、仕方がないことかもしれない。

ロンドン金融界で豪腕トレーダーとして生きるマックス(ラッセル・クロウ)が、思い出のぶどう園を訪れたことから人生を見つめ直すという定番的なドラマである。

意外に感じたのは、ヘンリーの遺児かもしれないクリスティ(アビー・コーニッシュ)の存在。遺産相続に絡んだコメディ展開の起点でもあるが、それだけではない。マックスが無垢なる心を取り戻す起点にもなっている。

のちに恋人となるファニー(マリオン・コティヤール)との衝突からだけにしていないところに、作品の厚みを感じさせます。

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2007/10/06

それでも生きる子供たちへ

製作年:2006年
製作国:イタリア/フランス
監 督:
メディ・カレフ「タンザ」
エミール・クストリッツァ「ブルー・ジプシー」
スパイク・リー「アメリカのイエスの子ら」
カティア・ルンド「ビルーとジョアン」
ジョーダン&リドリー・スコット「ジョナサン」
ステファノ・ヴィネルッソ「チロ」
ジョン・ウー「ソンソンとシャオマオ」

ユニセフと国連世界食糧計画による、世界各国の子供たちの過酷な現実を個性派監督たちの視点で描き出したオムニバス・ドラマ。

偶然かもしれないが、第1話の「タンザ」と第7話の「ソンソンとシャオマオ」のラストシーンが学校であったことに深いメッセージを感じる。子供たちが学校へ行けるということは、当たり前のようで当たり前でない。

様々な事情によって学校に行けない子供たちが世界にはたくさんいるということ。無論、そうした事実を知らない訳ではなかったが、こうして映画の中で見せられると、改めて衝撃を受ける。

では、学校に行ける先進国の子供たちが、みな幸せなのか。そうでもないということをスパイク・リー監督は「アメリカのイエスの子ら」で描く。日本でもそうであるが、陰湿ないじめもあって、学校は子供たちの安住の地では決してないのだ。

戦争、貧困、差別。様々な国の事情によって、子供たちは苦しんでいる。それでも、彼らは生き続けようとする。その真摯な姿が胸を打ちました。

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