魔笛
製作年:2006年
製作国:イギリス
監 督:ケネス・ブラナー
恋がうまく行かず、その絶望のあまりにロープで縊死しようとする場面が、パミーナ(エイミー・カーソン)とパパゲーノ(ベンジャミン・ジェイ・デイヴィス)の二人によって反復されている。それが、本作品の隠された主題に繋がっているのではないだろうか。
夜の魔女(リューボフ・ペトロヴァ)とザラストロ(ルネ・パーペ)の戦いに巻き込まれた主人公タミーノ(ジョセフ・カイザー)であるが、それは希望と絶望との戦いであるようにも取れる。彼に課せられた試練は、誰の心の内にある絶望をいかにして乗り越えていくためのものである。
希望と絶望は表裏一体のもので、それぞれの心の中での攻防は、微妙なバランスの上で戦っている。希望が勝利するより、些細なことで絶望が勝ってしまうことが多い。その例をパパミーナたちが示しているように感じる。
だが、いかに絶望が優位に立とうとも、完全に希望を打ち砕くことはできない。問題は、絶望に覆われた心の中から、わずかな希望をいかにして見付け出すことができるかである。誰にでもできるようで、なかなか難しい。しかし、心の鍛錬によって身に付けることも容易なのである。そのための試練であったと思う。
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