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2007年9月

2007/09/21

レディ・イン・ザ・ウォーター

「レディ・イン・ザ・ウォーター」★★★★
2006年アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ポール・ジアマッティ
   ブライス・ダラス・ハワード
   フレディ・ロドリゲス ジェフリー・ライト

こうして見てくるとシャマラン監督は一貫して同じ主題を作り続けていると感じさせる。この世の中は見た目どおりではなく、真実が隠されているということ。常にどんでん返しを注目されるが、主人公の真実の気付きを強調するものであろう。

大切なのは、その事によって、辛い事件の痛手から立ち直れなかった主人公が救済されていくことになるのだ。清々しい気分が残るのはそのためである。

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2007/09/18

あしたの私のつくり方

製作年:2007年
製作年:日本
監 督:市川準

自分の望む生活を過ごせないときに、役柄を演じているだけと思い込めば、乗り切ることができる。これも、生きていく上での、一つのテクニックかもしれない。

これは本当の自分ではない、本当の自分はこんな生活を過ごすはずはないと思う。だが、そう思うことで乗り越えていけるは、短い間だけである。

長い時間を偽りの自分で過ごしてしまえば、否が応でも、それが本当の自分になってしまう。では、どうすればいいか。否定的感情を持たなければいいのである。

両親の離婚も、いじめに合う恐怖心も、目立たないよう周りに同調してしまうことも、決してマイナスポイントではない。そう感じて当たり前なのである。そうした感情に真っ直ぐに向き合い、そこからスタートする。そうすれば、また別の道が見えてくるのではないか。

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2007/09/17

ミス・ポター

製作年:2006年
製作国:イギリス/アメリカ
監 督:クリス・ヌーナン

本作品は、どういう視点で見るかによって評価が分かれるだろうと思う。無論、ピーターラビットを生んだ女流作家ビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガー)の半生を描いた伝記映画であることは変わりない。

だが、そうしたドラマを期待していると、あまりに平坦な出来栄えである。また、20世紀初頭の時代、女性の自立ドラマの側面もあるのであるが、結婚を迫る母との対立もあるとはいえ、さほど大きな障害となっていない。

どうも、淡々と物語が進んでいき、ある種の不満を感じる。見方を変えれば、本作品の主題がそうしたところにないからではないか。

ビアトリクスの生涯を見て感じ取るのは、自分の生きる場所を自分で選ぶということの大切さである。彼女にとって、それはロンドンではなく湖水地方であった。その景観を守るために、自分の財産を惜しみなく使っていく。

環境保全という大儀もあるだろうが、それよりも自分のためということが大きいだろう。彼女が清々しく見えるのはそのためだと思う。

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2007/09/12

紙屋悦子の青春

「紙屋悦子の青春」★★★★★
2006年日本
監督:黒木和雄
原作:松田正隆
出演:原田知世 永瀬正敏 松岡俊介
   本上まなみ 小林薫

同じ戯曲が原作であった黒木監督の前作「父と暮せば」(2004)よりもさらに、舞台と登場人物を限定し、濃密な世界となっている。

それでいて、息苦しく感じられないのは、台詞のやりとりが柔らかくて微笑ましく、それでいてテンポ良く進められているからだろう。

対照的にオープングから何度も挿入されている病院の屋上の場面は、粗雑物を省き、この世のものでない空間を感じさせる。まるで彼岸へ渡るまでの休憩所であるようだった。

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2007/09/11

魔笛

製作年:2006年
製作国:イギリス
監 督:ケネス・ブラナー

恋がうまく行かず、その絶望のあまりにロープで縊死しようとする場面が、パミーナ(エイミー・カーソン)とパパゲーノ(ベンジャミン・ジェイ・デイヴィス)の二人によって反復されている。それが、本作品の隠された主題に繋がっているのではないだろうか。

夜の魔女(リューボフ・ペトロヴァ)とザラストロ(ルネ・パーペ)の戦いに巻き込まれた主人公タミーノ(ジョセフ・カイザー)であるが、それは希望と絶望との戦いであるようにも取れる。彼に課せられた試練は、誰の心の内にある絶望をいかにして乗り越えていくためのものである。

希望と絶望は表裏一体のもので、それぞれの心の中での攻防は、微妙なバランスの上で戦っている。希望が勝利するより、些細なことで絶望が勝ってしまうことが多い。その例をパパミーナたちが示しているように感じる。

だが、いかに絶望が優位に立とうとも、完全に希望を打ち砕くことはできない。問題は、絶望に覆われた心の中から、わずかな希望をいかにして見付け出すことができるかである。誰にでもできるようで、なかなか難しい。しかし、心の鍛錬によって身に付けることも容易なのである。そのための試練であったと思う。

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2007/09/10

玲玲(リンリン)の電影日記

「玲玲(リンリン)の電影日記」★★★
2004年中国
監督:シャオ・チアン
脚本:シャオ・チアン チェン・チンソン
出演:シア・ユイ チアン・イーホン
   クアン・シャオトン リー・ハイビン

どうしても気になることがある。家を出た玲玲が一体どのように生きてきて、あの若さであんな高層マンションに古い映画の資料を揃えることができたのか。そのことである。それらをきちんと描けば、もう1本映画ができるくらいの時間が必要になることは分かる。

だが、それらを全く省いてしまっては、ドラマのリアリティが成り立たない。ノスタルジィーより、彼女の身勝手さばかり目に付いてしまう。

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2007/09/09

墨攻

「墨攻」★★★★
2006年中国/日本/香港/韓国
監督:ジェィコブ・チャン
出演:アンディ・ラウ アン・ソンギ
   ワン・チーウェン ファン・ビンビン

10万の敵に囲まれた落城寸前の小国の城を一人の頭脳明敏な男によって救われたという戦争ドラマだと思って見れば、大いに失望するであろう。なにしろ、徹底した守備戦術で敵の大軍勢に対抗していく攻防戦は前半で終了してしまうのだ。

本作品は、アンディ・ラウ扮する主人公革離(かくり)が、悲惨な戦争悲劇を目の当たりにして、戦術家から宗教者へ変貌していく過程を克明に描いた映画ではないだろうか。そうした宗教ドラマであると思えば、収まりよく感じる。

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2007/09/03

トランスフォーマー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:マイケル・ベイ

コミカルな味付けのしてある変身ロボット映画であるが、物語自体は、ファンタジードラマの定型によって作られている。

周囲からいじめに合う気弱な主人公が、ある時、異常な出来事に遭遇し、事態が一変する。世界を救うための戦いを宿命づけられ、異能な従者を引き連れて、悪者と死闘を繰り広げる。苦悩する主人公は戦いの中から様々なことを学び、立派な若者へと成長していく。

本作品のサム(シャイア・ラブーフ)は、そうした設定に符合しているではないか。私心を捨てて、戦いを選び取るところが清々しい。迫力あるロボットたちの戦いに目を奪われながら、しっかりと映画に惹きつけられてしまうのは、そのためだと思う。

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2007/09/01

ローズ・イン・タイドランド

「ローズ・イン・タイドランド」★★★★
2005年イギリス/カナダ
監督:テリー・ギリアム
原作:ミッチ・カリン「タイドランド」
脚本:テリー・ギリアム トニー・グリゾーニ
出演:ジョデル・フェルランド ジェフ・ブリッジス
   ジェニファー・ティリー ジャネット・マクティア

空想力を持つことの甘美と残酷さ。父も母も麻薬中毒で亡くして、一人ぼっちで廃屋になりかけている荒野の一軒家に暮らすローズ(ジョデル・フェルランド)。悲惨極まりない状況である。

だが、彼女にはイマジネーション豊かに世界を見る能力があった。その力を使って、ローズは新しい発見と冒険の日々の中で生きている。それは幸福なことかもしれないが、現実の世界と向き合うことができなくなった逃避の日々でもあるのだ。

彼女の一人ぼっちの冒険はやがて終わりを迎えるが、それは決してハッピーエンドではない。

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