河童のクゥと夏休み
製作年:2007年
製作国:日本
監 督:原恵一
井上陽水は「限りないもの、それは欲望」と歌っていたが、本作品を観た後に浮かんできたのは、そのフレーズだった。河童のクゥが現代社会に甦り、様々な事柄に驚いていくのであるが、その時の呟きが痛烈な批評となって見るものの胸に突き刺さる。
クゥの住んでいた時代とは、面影もないほどに変貌を遂げてきた日本。果たしてそれは本当に必要なことだったのであろうか。衣食住という最小限に欠かさせないもの以上に、我々は欲することを止めることができなかった。
その一例が、クゥの存在を知り、暴力としか思えないような好奇の目をクゥに浴びせかける人々。クゥの写真を撮ることが、本当に必要なことなのであろうか。次に珍奇な存在が現れれば、忘れ去れてしまうものなのに。
クゥを助けることになる上原家のみんなも、クゥの苦しみを知らなければ、他の家で同じようなことがあると、好奇心を隠せないでいただろう。そう、こうした欲望は善悪という概念からは外れた根源的なものなのでる。
欲したいという思いは、本当に必要であるかどうかとは関係なく、沸き起こってくるものである。忘れていけないのは、その欲望を叶えることにより、自分以外の何者かを傷つけてしまうということだ。
だから、他者を傷つけてまで本当に必要なものなのか、チェックする機会を持ちたいものである。本作品の中で、クゥや康一が気付いていくものは、それぞれの成長の糧にもなっているが、観る者にも大切なものは何か確認させてくれる。
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