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2007年7月

2007/07/31

選挙

2006年日本 アメリカ
監督:想田和弘
出演:山内和彦

先日、参議院選挙立候補者の個人演説会に行く機会がありました。仕事の上でのお付き合いというやつで、どうしても顔を出してくれと頼まれたのです。そういうものに出席をしたのは始めてのことでありますが、その直前に本作品を観ていたので、候補者や応援者に発言や行動の意図が本当によく分かりました。

本作品の山内和彦候補者自身がこれまで政治に携ったことがなく、初めての立候補ということで、候補者自身の感じる驚きや疑念、戸惑いが、見る者のそれを重なるところに、まず惹きつけられてしまいます。そして、このような選挙の取組み方は、我々の理想とするイメージとは遥かにかけ離れていると思い、苦笑を浮かべてしまうかもしれない。

だが、果たしてこれが間違いなのであろうか。各立候補者の演説会へ積極的に出かけるまでして、誰に投票するか真剣に考える有権者がどれほどいるのであろうか。確固たる誰かを見出せない以上、投票を左右するのは馴染みのある名前であるかどうかにかかっている。誰が聞いてか分からない状況であっても、ひたすら自分の名前を連呼する姿は、やはり正しい選挙手法であるのであろう。

今まで知っているようで知らなかった選挙の実態が鮮明に浮かび上がり、実に興味深いドキュメンタリーでした。

ちなみに個人演説会の候補者は無事に当選いたしました。

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2007/07/27

西遊記

2007年日本
監督:澤田鎌作
出演:香取慎吾 内村光良 伊藤淳史 深津絵里

冒頭のシーン。砂漠を横断している三蔵法師一行。過酷な気象状態に歩くことを止めてしまった孫悟空(香取慎吾)。「無理、無理、無理」っと、駄々をこねる。この場面が印象的である。何か困難な状況を迎えた時、その改善策を思考するのではなく、簡単に諦めてしまう。そんな今の社会状況を風刺しているようであった。

では、本当に無理なのかと言えばそんなことはなく、少しの工夫で何とかなるものである。本作品では、その工夫を仲間(悟空的に言えば、なまか)の存在としている。仲間がいることで、困難に立ち向かう勇気を得ることができるのである。仲間を作るにはどうすればいいのか。本作品の答えは、約束を守ることであるとした。こうした流れにいささか教条主義的なものを感じないわけではない。あまりに短絡的であろう。

王女、玲美(多部未華子)のキャラクターなど、もっと陰影があれば、より作品に深みがでただろうなどと、細部については、様々な注文は残る。ではあるけれど、大仰なリアクションで笑いを狙う底の浅いコメディと思わせておいて、三蔵(深津絵里)の「戦いなさい」という演説のような胸に響く場面も用意されていて、少しだけ意表を付かれた。

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パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド

2007年アメリカ
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ジョニー・デップ オーランド・ブルーム
   キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ

次から次へと裏切りが横行する話である。ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)、ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)、エリザベス(キーラ・ナイトレイ)という主要登場人物3人が、代わる代わる仲間を見捨てるような行動と取っていくのだ。それは何故だろう。

本作品の本質は迷いにあるのではないか。ジャックの分身が登場するシーンが多用されているのも、そのためであろう。彼らは誰にも壊すことのできないような信義を見つけ出せないでいる。秩序の保たれた法治国家を舞台にしているのではない。無法状態の海賊船であるだけに、信義を見つけるのは容易なことでない。

父親のためなのか、恋人のためなのか、あるいは権力のためなのだろうか。それぞれが手にしたいと思うもののために戦うのである。だが、それが本当に大切なものなのか、彼らには確信が持てないでいる。だから、彼らは常に揺れているのだ。その小さなためらいや誤解が、大きな裏切りという悪循環へ導いてしまう。

この3人はシリーズ通して一緒に戦っているように見えるが、それぞれが自分の思惑の中にいるので、決して仲間ではないのだ。その迷いの果てに、彼らが何を選び取ったのか。そして、何を捨てていったのか。その気付きが真の仲間をもたらすことになる。

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2007/07/10

憑神 つきがみ

2007年日本
監督:降旗康男
原作:浅田次郎
出演:妻夫木聡 西田敏行 赤井英和 森迫永依

不遇の境遇とは、本人の心に持ちようで変わるのではないか。酔った勢いで間違った稲荷に拝んでしまい、災いの神様たちに取り付かれてしまった彦四郎(妻夫木聡)。不運の極地に陥ったようである。だが、そのことで、彼は不幸になったのか。

いや、そうとは言えないであろう。最初こそ、その不運を振り払おうと慌てふためく。だが、不運と向き合ううちに、自分にとって大切なものは何かを掴んでいくのだ。つまり、不運であるから、不幸になるとは限らないのである。不運は人生の意義を見つける機会であるかもしれないのだ。

映画としては、頑なな態度を取っていた疫病神(赤井英和)が彦四郎に同情する心情の変化に説得力がないことや、最後に彦四郎の決めた行動を肯定できないなど、留保点は残る。

だが、死神を演じた森迫永依の存在が秀逸だった。死神とは対極にあるような幼女の姿が意表を付くし、彦四郎に死の罠を仕掛けた時の笑顔が鮮明に心に残る。

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2007/07/02

ダイ・ハード4.0

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:レン・ワイズマン

ある困難な事態が発生したとき、解決のため出動する警察や消防士、兵隊たちの行動も尊いものであると思う。だが、彼らはその為に訓練を受けたプロフェッショナルである。行動することは必然と言ってもよい。

一方、本来の職責を離れて、大切な何かを守るため行動することを選ぶものもいる。それが真の英雄と呼べるものであろう。

さて、ヒーローとは望んでなるものか、仕方なくなるものなのか。本シリーズのジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、明らかに後者に属する。

彼が魅力的なのは本能的に英雄的行動してしまい、困った状態に落ち込んだことを愚痴りながらも、再び困難な事態に巡りあえば英雄の道を選択するからである。そのことにより称賛を浴びるだろうが、失うものも多いのである。

数年ぶりに登場した彼は、家族にも職種にも恵まれているとは言えない状態である。たが、同じブルース・ウィルスが主演した「16ブロック」の刑事のような、すさんだ様子は見せない。

その違いは、後悔があるかないかであろう。確かに、自分の夢描いた生活を得ることはできなかった。だが、間違った道を選んだとは決して思っていない。その佇まいが、疲れた表情を浮かべていても清々しく感じるのである。

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