トゥモロー・ワールド
製作年:2006年
製作国:アメリカ/イギリス
監 督:アルフォンソ・キュアロン
セオ(クライヴ・オーウェン)が犬や猫などの動物達に好かれている場面が反復されている。子供を亡くした痛手から、生気をなくしてしまったように生活を送っているセオであるが、彼の心の中には弱者から慕われるような義侠心が秘められているのであろう。
別れた妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)から秘密裏に渡航証明書を入手して欲しいとの依頼することも、キーが妊娠していることを率先して打ち明けることも、同様な理由からではないか。セオは弱者を守る守護神を宿命づけられていたのだろう。
セオはそんなことを自覚していない。ジュリアンの依頼を受けるにしても、お金のためという表向きの理由が用意されていたので、迷惑である振りをしても容易に実行することができたのだ。そこには、崩壊してしまったジュリアンとの生活を取り戻したいという想いが込められていた。
だが、そんな甘い夢想は無残にも打ち砕かれてしまう。果たして、「ヒューマン・プロジェクト」という団体が希望を託するものに値するかどうか、本作品の中でははっきりと描かれていない。
そこに希望がある限り、暗澹する世界にも未来があると信じてセオはキーの守護神として逃避行を続ける。
テロ。不法移民。貧富の格差。今の時代の進行形がここにある。
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