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2007/01/03

2006年度ベストテン

    外国映画
 1位 硫黄島からの手紙
 2位 父親たちの星条旗
 3位 ユナイテッド93
 4位 シリアナ
 5位 ナイロビの蜂
 6位 ホテル・ルワンダ
 7位 戦場のアリア
 8位 ミュンヘン
 9位 SPIRIT
10位 クラッシュ

日本映画
 1位 武士の一分
 2位 花よりもなほ
 3位 ゆれる
 4位 フラガール
 5位 手紙
 6位 かもめ食堂
 7位 間宮兄弟
 8位 シムソンズ
 9位 博士の愛した数式
10位 嫌われ松子の一生

    裏ベストテン(娯楽性を重視した作品)
 1位 007/カジノ・ロワイヤル
 2位 トゥモロー・ワールド
 3位 16ブロック
 4位 トランスポーター2
 5位 Vフォー・ヴェンデッタ
 6位 デスノート the Last name
 7位 ダ・ヴィンチ・コード
 8位 GOAL
 9位 カサノバ
10位 RENT/レント

「お前は敵を知っているのか」

「硫黄島からの手紙」の中で西中佐が部下に問い掛ける。奇しくも「出口のない海」でも戦争に向かう息子へ父親がそう語りかける場面があった。

戦争とは何か、何故、戦わなくてはいけないのか。2006年はその事を考えさせてくれる秀作が多く、それらを中心にベストテンを選びました。

ひとつの価値観に縛られて盲目的に敵を憎むことの愚かしさ。戦う前に「自分は敵を知っているのか」のかと自問することで、どれだけの悲劇を防げたのであろうか。

クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作は、日米双方の視点から硫黄島の戦いを描くという画期的な試みによって、どちらか一方が善であり、どちらか一方が悪であるというような単純な線引きをすることなどできないことを鮮明にしました。そうしたことを知らずに、双方が多大な犠牲を払ってしまったことを忘れないでいたい。

なぜ、敵の姿を憎しみで隠そうとするのか。その方が体制側には都合の良いことなのだ。戦争とは善悪の戦いではなく経済的側面の方が強い。戦えば得をするから。戦わなければ損をするから。それだけのことである。それは国家権力の損得勘定であり、戦場に駆り出される一般庶民には何の関係もないことだ。それをごまかすために、様々な誤魔化しが行われる。

「ホテル・ルワンダ」では、敵を人と思わず害虫であると見なしたとき、恐ろしい虐殺が起きてしまうことを教えてくれた。

「戦場のアリア」では、徹底的に敵を憎むように子供たちを洗脳していく冒頭シーンが恐ろしい。憎むべき敵であろうとも、クリスマス休日を一緒に過ごしてみれば、同じ人間でしかないことに気付いてしまう。それからは、敵とは見なさず仲間になってしまうのだ。

しかし、時に人は戦わなければならない状況に置かれる。人としての尊厳を守るため、相手の横暴に屈しないため、大切なものを残そうとするために、戦いを選ばなければならない。

「ユナイテッド93」では、自らの運命を知ってもなお、ハイジャック犯に屈せず戦い続ける乗客たちの姿が感銘深い。

「シリアナ」では、何故自爆テロが起こってしまうのか、その克明なディティールに圧倒された。自国の利益確保のために実施される陰謀が、巡り巡って我が身に跳ね返ってしまう。

だが、その戦いが復讐の目的であれば、不毛なことでしかない。殺戮は殺戮しか生まないのだ。それらを「ミュンヘン」、「SPIRIT」、「花よりもなほ」等から学ぶ。

「知らない方が良かっただろうか。いや、そうではない」

この台詞に深い感銘を受けた「武士の一分」。事実を知れば悩み苦しむことになるかもしれない。だが、知らないでいる事は、より大きな悲劇を生む要因ともなるし、克服すべき手腕を鍛錬する機会を奪うことにもなるのだ。心して、物事に当たろう。

2006年は12月に「マルチプレックスシアター盛岡フォーラム」が開館されたことで記念的な一年となった。旧盛岡フォーラムで最後に観た「武士の一分」を邦画の1位に、新盛岡フォーラムで最初に観た「硫黄島からの手紙」を外国映画の1位に選出したのも、その感傷的想いによるものである。

2006年は劇場で160本、DVD、GyaO等で89本の鑑賞となりました。映画館で観る本数が増えた分、DVDが落ちてしまいました。来年も盛岡フォーラムでの公開本数が増える見込みのですので、頑張って追い掛けていきたいと思います。

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コメント

今年も「ブロガーが選ぶ映画ベスト10」を調べました。よろしければご覧ください。

投稿: aq99 | 2007/01/08 22:02

TBに感謝!
私のワーストの2本が、ベストだったんですね。
ごめんなさい。

投稿: マダムクニコ | 2007/01/13 16:54

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