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2006/11/05

蝉しぐれ

製作年:2005年
製作国:日本
監 督:黒土三男

文四郎とまきの間には必ず凶事が起る。冒頭での蛇に噛まれたまきを介抱する文四郎のエピソードが象徴的だ。二人が気持ちを近付けようとすると、喧嘩や斬り合いに巻き込まれてしまう。結ばれない宿命の二人であることを示唆する。

丹念に四季折々の風景を撮影し、エピソードの切り替え時に挿入されている。人物描写もズームアップしたカットと遠景でとらえたショットを巧みに使い分けている。

映像の構図も、絵画のようにしっかりとしたものだ。その場の勢いではなく、細かな計画に基づく撮影であることが推察される。

問題は、クライマックスの文四郎(市川染五郎)とふく(木村佳乃)の対面の場。これほどまで映像へこだわってきたのに、それぞれの心情をどうしてあそこまで台詞で語らせてしまうのか。

確かに観客に分かり易く演出することは大切であるが、二人の回想シーンを見せるだけでも充分過ぎる筈だ。言葉にすることで詩情が削がれ、半減されしまう余韻。大いに惜しまれる。

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