日本沈没
製作年:2006年
製作国:日本
監 督:樋口真嗣
小松左京の原作も読んだこともなく、1973年のオリジナル版も見ていない。樋口真嗣監督が何を残し、何を変えて、何を削ったかという点も興味深いのだが、キネ旬などを読んで補完するしかない。
映画のリアリティーという点ではいくつか首をかしげるところがある。玲子(柴咲コウ)や珠江(吉田日出子)などに会いにいくのに小野寺(草なぎ剛)はどのような移動手段を使ったのかとか、田所教授(豊川悦司)が政府関係者を前に暴力まで振るうのかとか、玲子がどうして旅立つ小野寺や被災した家族の所にたどり着けるのかなど、あれって思ってしまう。
だが、そうしたところに気にならないくらい、様々な問題提示がなされて、深く心に響く。
なぜ、ひとつの命を賭けてまで何かを守ろうとするのか。なぜ、自分だけ幸福になることができないとして渡航する道を拒絶するのか。なぜ、他国で生きることなく日本の国土と共に滅ぶ道を選ぶのだろうか。
未曾有の危機に対して、登場人物それぞれの価値観が浮き彫りにされ、何かを捨てて決断する過酷さを感じる。
だが、最後のツバメが再生の希望を象徴し、明るい余韻を残して映画は終わっていく。
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