そして、ひと粒のひかり
製作年:2004年
製作国:アメリカ-コロンビア
監 督:ジョシュア・マーストン
恋人との抱擁の中、見上げる空。彼女の家に行こうと誘う彼に対して、建物の屋上に一人登っていくマリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)。この場面が象徴的だ。彼女は現状に甘んじることなく、強い上昇志向を持っている。
だが、マリアの希望を叶える手段など、この村にはない。母や姉との価値観の相違。望まぬ妊娠。バラ農園での上司との軋轢。未来のない村を離れるために、麻薬の運び屋の仕事を選んでしまう。
その克明なディティールの描写が凄まじい。あまりの過酷さに言葉を失う。見ているだけで、心の内面が傷つけられているようだ。
その後のマリアが選択した行動。理性的というよりは直感的に行動を続ける。その行動の末には不幸な出来事が待ち受けているのかもしれない。だが、産婦人科の検査でお腹にいる子供を見たときの輝くばかりの笑顔。それが一つの希望になっていると感じる。
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コメント
TBありがとう。
マリアの選択は、一種の「棄国」ですね。
でも、少女にとって、コロンビアという国は、あまりに閉塞的な状況で、そこに希望は見出せないんですね。
投稿: kimion20002000 | 2006/11/17 20:33