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2006年8月

2006/08/30

ブロークバック・マウンテン

「ブロークバック・マウンテン」★★★★★
(盛岡フォーラム1)年アメリカ
監督:アン・リー
原作:アニー・プルー
脚本:ラリー・マクマートリー ダイアナ・オサナ
出演:ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール
   ミシェル・ウィリアムズ アン・ハサウェイ

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ブロークバック・マウンテン@映画生活

ジャック(ジェイク・ギレンホール)が亡くなった時の様子をイニス(ヒース・レジャー)がラリーン(アン・ハサウェイ)から電話で聞いている場面。唐突にリンチされているシーンが挿入されてくる。これは一体なんであろうか。ラリーンが言っていることが嘘なのか本当なのか、微妙に揺れてしまう。

そして、イニスがジャックの実家へ弔いに訪れたとき、父親から聞かされたジャックの計画。そこでは、イニスから別の男の名前に変わっていたこと。それが、彼の死因とかかわりあっているのではないかと感じさせる。

イニスの選択した生き方に間違いはなかった。ジャックの望むままに、二人で生活していたとしても破滅が待っていたことだろう。しかし、同時にそれは不遇の生涯を選んだことでもあった。

相応しくない場所で相応しくない相手を愛してしまった悲劇。それが重々しく心に残り続ける。

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2006/08/19

タブロイド

製作年:2004年
製作国:メキシコ/エクアドル
監 督:セバスチャン・コルデロ

ファースト・シーンでのビニシオ(ダミアン・アルカザール)の異様な行動。真犯人なのかどうかを探るミステリー劇なら、ここまで映し出さないだろう。仮にこの1場を設けるにしても、顔を映さなければ済むことである。

ということで、本作品の製作者はミステリー的要素より、マスメディアの功罪を主題としていることが分ってくる。

報道番組の言うことがすべて正しいということは在り得ない。なぜなら、取材編集しているのは、主観を持った人間だからである。何を正しいとするかは人それぞれだ。

それにしても、交通事故を起してから火あぶりのリンチが行われるまでのシークエンスが凄い。唖然としてしまう。確かに子供を失った怒りや哀しみは理解できるにしても、油をかけて火を付けるという行動は我々日本人からはなかなか出てこないものであろう。

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2006/08/06

ダブリン上等

製作年:2003年
製作国:アイルランド/イギリス
監 督:ジョン・クローリー

ジョン(キリアン・マーフィ)は自分から言い出してデイドラ(ケリー・マクドナルド)と別居してしまうが、彼女に新しい恋人ができたと知ると自分を見失うほど激怒する。なんと愚かなことをしてしているのか。

客観的に見れば、自業自得でしかないが、当人にとっては理不尽な出来事なのである。彼女の気持ちを試すという自分にとっては正しい論理かもしれないが、周囲には彼の起こした行動がすべてである。そのギャップがおかしく、興味深い。後になって自分の心情を述べたとしても、理解を得ることは難しい。

本作品の面白さは複雑に結びついていく人間関係と、そこから運命が狂わされていく事件の連続性にある。登場人物たちも個性あふれるものばかり。こんなチンピラ役が、アレキサンダーやジョン・スミスよりも、最もよく似合うコリン・ファレル。

しかし、ブラウンソースを入れた紅茶って、本当に美味しいのであろうか。一度、試してみたくなる。

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2006/08/04

シークレット ウインドウ

製作年:2004年
製作国:アメリカ
監 督:デヴィッド・コープ

ファースト・シーンのモート(ジョニー・デップ)の表情が凄まじい。このカットだけで本作品の全てを表していると言ってもいいのではないか。ここをしっかり見ていれば、クライマックスの真相も決して意外なものではない。

気になるのは、なぜモートが喫煙にこだわっていたのかということだ。妻と別れ、湖畔に建つ別荘で一人暮らしを続けているのに、家政婦の目を気にするように煙草を吸う必要はないはずではないか。だが、未成年の少年のような態度を取り続け異様に感じる。罪の意識の表れであるのか。

とすれば、冒頭のモーテル急襲後に何がしかの犯罪行為が在り、本編の出来事はすべて執筆中の小説と考える解釈も成り立つのではないか。

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カーサ・エスペランサ 赤ちゃんたちの家

製作年:2003年
製作国:アメリカ/メキシコ
監 督:ジョン・セイルズ

個性溢れる6人の女性たちの群像ドラマに限定しても、充分に面白いドラマへ仕上がったことであろう。だが、南米某国からも様々な登場人物が配されている。

しかし、彼らが6人の女性たちと僅かな接点があるだけで、綿密にドラマに絡んでくるわけでない。中途半端と言ってしまえばそれまでであるが、そこに製作者の隠された意図があるのではないか。

つまり、彼らの人生をコラージュして見せることにより、人の営みの悲喜交々を次々と浮かび上がらせる趣向だと感じる。

興味深いのは、アメリカ人が自国でなく他国に出掛けて養子を求めていることである。以前、何かの機会で韓国からの養子の受け入れ先の1位がアメリカであるとのことを知り、あれって思ったことがある。

人種の違いは気にならないのであろうかという疑問。「親子」という感覚に違いがあるのだろうか。

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2006/08/03

小さき勇者たち~ガメラ~

「小さき勇者たち~ガメラ~」★★★
(名劇1)2006年日本
監督:田崎竜太
脚本:龍居由佳里
出演:富岡涼 夏帆 津田寛治 寺島進

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小さき勇者たち~ガメラ~@映画生活

父親(津田寛治)に止められながらも戦闘中のガメラの元へ駆け寄ろうとする少年透(富岡涼)。その場面が何度も繰り返される。

近くに行ったとしても何もできないではないか。思慮の足りない愚かな行為であるとするのは容易い。だが、そうせざるを得ない心情というものもあるであろう。ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」(2005)で、どこまでもコングを追い駆けていくアンの姿を思い出す。

ガメラへ赤く輝く謎の鉱石を届けようとする子供たちのリレー。そして、ガメラを守ろうとする子供たちのバリケード。それはそれで感動的なシークエンスになっているが、どうも曖昧な印象を持つ。

何故、子供たちがそこまでしてガメラと共鳴しているのか。それはガメラの立ち位置にも関連する。何故、人間たちを守って、巨大生物と対峙するのか、終始分らない。

ガメラを安易に子供のヒーローとしてしまうことが物語を弱くしている。

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2006/08/02

Vフォー・ヴェンデッタ

製作年:2005年
製作国:イギリス/ドイツ

本作品では明らかにされていないが、気になるのはV(ヒューゴ・ウィーヴィング)とゴードン(スティーヴン・フライ)の関係だ。数々の類似性が示されている。

禁止された美術品の収集、トーストの焼き方、芝居がかった台詞。そもそもVとイヴィー(ナタリー・ポートマン)の出会いも偶然とは言いがたいものがある。何故、ゴードンへ会いに行くイヴィーを助けることができたのか。

そして、アダム・サトラー議長(ジョン・ハート)を笑いものにするゴードンのテレビ番組。いかにVの活動により、規制が揺れているとはいえ、あそこまで行なえば、身に危険が及ぶのは明らかな筈だ。それを平然と部屋で待ち受けていたのは何故か。すべてを偶然と片付けることはできない。

同一人物ではないかと最初は考えたが、それを否定するような映画的事実もある(例えば、腕の火傷など)。ここで気になってくるのはゴードンの隠し部屋にあった写真である。

この二人には何か繋がりがあり、同志関係となって計画を練ってきたのではないか。この二人の関係を見極めるためにも、もう一度見直してみたい。

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ビューティフル・ボーイ

製作年:2003年
製作国:タイ
監 督:エカチャイ・ウアクロンタム

自分が何になりたいのか、知ることが大切である。その言葉が深く心に残る。本作品は性同一障害という特殊な設定になっているが、そのメッセージは観る者すべてに届くものである。

試合に勝つことで、本来の自分をさらけ出せるようになっていく。一つの自信が排除される恐怖に打ち勝っていく。そして、女性的な美しさを追及する一方で、格闘技のセンスも抜群である点が興味深い。

才能の萌芽は一列ではないのだ。ムエタイの技の中に美しさを見出したとき、トゥム(アッサニー・スワン)は大きく飛躍する。

本作品の共感は、自分という者と共に家族を大切に思っていくことにある。ただ自分の思いを叶えるため闇雲に突き進んでいないところもいい。手術の承諾書に父親がサインする場面が重々しく胸を打つ。

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2006/08/01

ニュー・ワールド

「ニュー・ワールド」★★★★
(名劇2)2005年アメリカ
監督:テレンス・マリック
脚本:テレンス・マリック
出演:コリン・ファレル クオリアンカ・キルヒャー
   クリスチャン・ベイル クリストファー・プラマー

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ニュー・ワールド@映画生活

タイトルの“ニュー・ワールド”という言葉が重く響くのは、イギリス人が新大陸を発見したことで新世界を知るという話だけでなく、ポカホンタス(クオリアンカ・キルヒャー)たち現地人にとってもイギリス人たちとの接触は新世界の始まりであることを描いているからである。

もう一つ、ポカホンタスとジョン・スミス(コリン・ファレル)との恋愛話だけかと思えば、ジョン・ロルフ(クリスチャン・ベイル)との結婚、出産に至る展開となり、とても意外だった。ポカホンタスの変貌が、もう一つの“ニュー・ワールド”を示唆する。

陽光で風景をとらえた「天国の日々」(1978)の映像美に魅せられて以来、待ち望んでいるテレンス・マリック監督の新作。前作「シン・レッド・ライン」(1998)を撮るまで20年かかったことを考えれば、7年間というのは短い方であろう。

使用される映像、音楽、効果音と期待に違わぬ出来栄えであった。独特のボイス・オーバーも、絶妙な効果を上げている。ひとつの完成された美しさに酔いしれる。

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