春が来れば
製作年:2004年
製作国:韓国
監 督:リュ・ジャンハ
まずポイントなのはコンクールの結果をはっきり映さないことであろう。ここでありがちな感動ドラマと一線を画することになる。そのことで製作者のテーマがより鮮明に浮かび上がってくる。
ヒョヌ(チェ・ミンシク)が生徒たちに語る音楽は結果ではなく楽しめという言葉。それは、彼が悩み続けていた答えでもある。音楽家としての本分は何かということも考えさせられる。
音楽活動で生活できるかどうかが基準ではないであろう。自分の作曲した音楽が、自分の恋人や教え子へ伝わり、そのことで新たな共鳴を呼び起していく。これに勝る喜びはないのではないか。ヒョヌは自分で卑下するような音楽家では決してないのだ。
いい場面は、坑道から出てくる炭鉱労働者たちのために土砂降りの雨の中、子供達が演奏するシーン。あんなに雨で濡れてしまったら全員風邪を引いてしまうとか、楽器も駄目になってしまうだろうとか、現実的にはありえないことかもしれない。
だが、現実を越えた映画表現の妙味が遺憾なく発揮されていると私は感じる。クラブ活動を反対する父と音楽を愛する息子の思いが雨の中で通じ合い、詩情あふれるエピソードとなっている。
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コメント
TBありがとうございました。
こちらからもTBしますね。
さりげない清々しい感動を味わえました。
投稿: ケント | 2006/07/19 21:01