力道山
製作年:2004年
製作国:韓国/日本
監 督:ソン・ヘソン
なぜ、力道山(ソル・ギョング)は負けることができなかったのか。ここがポイントだ。彼には成功して心から笑いたいという願望があった。
だが、紛れもない日本の英雄となり、これ以上はないという成功を収めても、心休まる時は訪れなかった。彼は自分が笑うということよりも、他人から笑われたくないということの方が強かったのではないだろうか。
その強迫観念が乗り越えられず、恩人も家族も友人も遠ざけてしまうことになる。
もうひとつ、アメリカから帰国して綾(中谷美紀)と住んでいた家に入らなかったエピソードが強く心に焼き付く。この家は力道山の祖国・朝鮮の暗喩ではないだろうか。
終盤にもう一度、この家が登場して、彼は家に入れてもらえなかった。このエピソードに祖国を捨て、捨てられた者の哀しみが溢れている。
力道山と綾の記念写真の使い方も絶妙であった。この撮影したときのエピソードを最後に持ってきた構成も巧い。
それまで劇中にさりなげなく何度も登場してきたが、最後になってその重みが分り実に効果的であった。
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