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2006/06/01

カナリア

製作年:2004年
製作国:日本
監 督:塩田明彦

捨てられた子供たち。「誰も知らない」(2004)、「疾走」(2005)と、近年、そんな子供たちを主人公とした映画が作られ続けている。映画は現実を反映しているからだろうが、悲痛な思いで一杯となる。

本作品で特徴的なのは、捨てられたのは子供たちだけでなく、伊沢(西島秀俊)や岩瀬道子(甲田益也子)など、親の世代もそうであるということである。迷走する親世代とは違い、捨てられた子供たちは力強く生きていく。

何度も挿入されている光一(石田法嗣)と由希(谷村美月)の疾走。そして、手をつなぎゆっくりと歩いていくラスト・シーン。この対比が絶妙である。

その疾走と合わせて光一のいらついた心の象徴となっているのがドライバーであろう。何度も先を研いでいるシーンが印象深い。そして、クライマックスでのドライバーの使い方にも注目。なかなかうまい。

教団の教義を表面的になぞっていただったのに、この旅を通して光一は宗教的信義を身につけていく。注目なのは中盤で彼らを助けるレズのカップル達。子供を置いて死出の旅に出ようとしている咲樹(りょう)。迷いの生じている彼女の肩に手を置く少年は、彼女に罪の許しを与えているようであった。

ここがクライマックスに繋がる伏線であったと思います。

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コメント

TBありがとうございます。わたしはなんとなく見てしまったので、この記事を読ませていただいて、いろいろ気付かされ、参考になりました。

投稿: みのり(楽蜻庵別館) | 2006/06/05 08:15

TBありがとう。
ああ、そうか、レズのカップルは死出の道行ですか。そうかもしれませんね。僕は、前半だったから、いろんな価値観があるぞということを少年達に暗示する存在として登場したという解釈です。
ニルバーナから現実の市民社会までの、階梯に、接木としてあのレズの人生観を挿入したと理解しました。

投稿: kimion20002000 | 2006/06/11 01:07

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