ファイヤーウォール
製作年:2006年
製作国:アメリカ
監 督:リチャード・ロンクレイン
個人情報がいかに暴かれていくのか。タイトル・クレジットで映されるモノクロ映像が生々しく迫る。確固たる悪意の前にプライバシーの防御策など、いかに脆いものであるか考えさせられる。
知的サスペンスを期待したのにアクション映画になってしまったことでは不満を問わない。クライマックスの殴り合いはスピーディーなカット割りで迫力溢れる映像になっていた。それはいい。
問題は、その後の展開を予感させるネタ振りが未消化のまま放置されてしまったことだ。
例えば、ベス(ヴァージニア・マドセン)が仲間割れを誘うような言動を繰り返し、そのことで気弱な犯人の一人が迷いを生じているところまで見せていた。それなのに、クライマックスで全く繋がってこないのだ。
もう一つ、攻守逆転されたビル(ポール・ベタニー)がどう反撃するのか固唾を飲んで見つめていたが、ひたすら湖畔の小屋へ向かうだけなのだ。パニックとなり正常な判断力を失ったということも現実にはあるだろうが、それでは娯楽作としての興趣に欠けてしまうだろう。
ゲイリー(ロバート・パトリック)との確執を終盤でもっと活かしきれなかったのも惜しまれる。こういう中途半端な扱いなら最初から削ってしまい、1時間30分くらいにまとめれば快作になったであろう。
ポール・ベタニーはなかなかの存在感を見せていた。微細な表情の動きが、さりげなく観る者の心を捉える。照明の当て方も陰影深くなっており実にクールであった。
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コメント
こんにちは♪
いつもお世話になっています!
ハリソン・フォードの十八番ということで流れも結末も簡単に予想がつく作品でしたが、悪役に魅力が無かったのが残念です。
仲間割れしそうだったのも中途半端、主犯格もあまり考えなしでしたね。
なんだか残念です。
投稿: ミチ | 2006/06/24 09:29
TB有難う御座いました♪
知的サスペンスを期待していたので普通のアクション映画になってしまってて大いに不満でした(^^ゞ
アナログな人達が無理して作ったのかなぁ~なんて思ったり・・・
色んな面でツッコミどころ満載ですよね^^;
ではでは~、これからもよろしくお願いします。
投稿: Aki. | 2006/06/25 05:09