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2006/05/24

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

製作年:2005年
製作国:アメリカ
監 督:ジョン・マッデン

自分のアイデンティティーを確立できないと、記憶すら曖昧になってしまうものなのか。亡くなった父ロバート(アンソニー・ホプキンス)と対話するキャサリン(グウィネス・パルトロウ)のファースト・シーンで、彼女が妄想と現実の境目がなくなっていることを強く印象付ける。

自分が精神病かもしれないという恐れで、自分の記憶すら自信が持てずにいる。キャサリンが攻撃的な発言を繰り返すのも、自分というものが確立していないからだ。そのことで自分自身も傷つくことになるのだが、止めることができない。そこが実に痛々しい。

証明を書いたノートを父の引き出しに入れ鍵をかけるキャサリンの行為が興味深い。父親の業績にしたいという思いと自分が成し遂げたいと言いたい気持ちが入り混じり、答えを出せずにいる。

その鍵をハル(ジェイク・ギレンホール)に与えたということは、ひとつの決断であった筈なのに、父の業績だと断定されると自分が書いたものだと言わずにはおれない。このノートが彼女のアイデンティティーの象徴となっている。机に隠されたり、ジェイクの手に渡ったり、彼女の元に戻されたりする。この所在の不安定さが彼女そのものであると感じる。

その状態から逃げるように、姉クレア(ホープ・デイヴィス)に連れられてシカゴからニューヨークへ移住することに同意するが、その出発の直前で彼女は気付く。他者に依存して生きることは間違いだと。そして、もう一度、自分自信が決断して生きることを選ぶ。

再び失敗するかもしれないが問題ではない。駄目なら、うまくいくよう計算し直せばいいのだ。

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コメント

お久しぶりです!

今ごろですが、やっと観ました。
難解な定理=彼女自身という記事にすごくなっとくしました。

そうですね、あのノートは彼女自身で、ラストに彼女は自分の足で歩き出したんですね。。

投稿: D | 2006/09/26 08:30

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