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2006/05/06

村の写真集

製作年:2003年
製作国:日本 
監 督:三原光尋

いまどき珍しいと思えるような口より手が早い頑固一徹の父親。言葉で説明するコミュニケーション能力が著しく欠けている。自分の真意を巧く伝えられない苛立ちが暴力となって現れているのであろう。その横暴な態度に目を奪われ、長い間、息子は父親の真の姿に気付くことができなかった。教えられない方も分らないでいる方も、両者正しく、そして、間違っている。

「能率ってなんだ」という問い掛け。一軒、一軒歩いて訪ね回る父に息子は意見するが、こう返される。すると、息子は絶句して答えられない。ここがポイントだ。我々は能率が良いということは、無意識の内にも素晴らしいと感じる。便利になる。無駄がなくなる。たくさんの仕事が出来る。

それを追求していけば、当然ながら田舎生活はいらなくなってくる。はたしてそれが本当にいいことなのであろうか。能率では量れない大切なものが、まだまだたくさんあるのではないかと訴えてくる。

山歩きをするのにネクタイを付けた正装姿。写真を撮り終えたあとに、ありがとうございましたと頭を下げる挨拶。病気の身体を押して続ける撮影。父にとって、この写真集の仕事は命よりも大切な惜別の行為であったと思う。そして、その姿を息子にしっかりと見届けて欲しかったのだ。それを受けて、最後の写真撮影で感涙してしまう。

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コメント

TBありがとう。
青年の姿勢が、変わっていくのが、よく分かりましたね。父親も、村にばかりでなく、若いときは、東京で活躍していたんでしたよね。自分が、学んだものを、また、次の世代に残していくという姿勢ですね。
こちからも、TBさせていただきます。

投稿: kimion20002000 | 2006/05/06 11:18

この作品、私は五つ星、かつ去年一番好きな映画でした。
仕事をしていると、つい効率とか時間短縮とか要領ばかりを追求してしまい、わたしも「息子」のようになっているから、「父」の言葉にぐっと来たのでしょう。彼と同じように仕事を進めるのは現実には難しいですが、感謝の気持ちを忘れない精神だけは見習いたいと思います。

投稿: sabu | 2006/05/07 12:09

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