恋は五・七・五
製作年:2004年
製作国:日本
監 督:荻上直子
文系の甲子園ものと言えば「ロボコン」(2003)を思い浮かべる。同じような話の構図となっているが、本作品はリアリズムというよりも誇張した人物設定となっており、コメディー色が強められている。そこは観客の嗜好によって評価の分れるポイントだと思う。映画製作者は意識的にそんな選択をしているので、現実味がないと批判しても仕方がないであろう。
笑いを狙った台詞や行動はそれだけ取り上げると非常にありふれたものであり、正直笑えないものも多々ある。だが、特徴的なのは、それらが2度、3度と繰り返し登場してくることだ。この反復が微妙な味わいを生んでおり、後半になるとすっかりその世界に取り込まれてしまう。
主人公高山治子(関めぐみ)は武道の達人で物事に動じない性格のように一見感じられる。帰国子女として周囲に馴染めず、超然としているのだが、自分に自信が持てないでいる。強制的に俳句部に入部させられ、嫌々ながらも部活動を続けていたのは、自分の中で確固たるものが存在していなかった。それは彼女だけでなく、他の部員4人も同じ事であった。俳句甲子園を通して、確かな何かを見つけていき、活き活きとした人生を歩み始める。
それに呼応する形で、猫を探し続ける認知症気味の老人(柄本明)が配置されているのではないだろうか。
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