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2006/05/16

亀も空を飛ぶ

「亀も空を飛ぶ」★★★★
(盛岡フォーラム3) 2004年イラク
監督:バフマン・ゴバディ
脚本:バフマン・ゴバディ
出演:ソラン・エブラヒム
   ヒラシュ・ファシル・ラーマン
   アワズ・ラティフ アブドルラーマン・キャリム

詳しくはこちらで・・・
亀も空を飛ぶ@映画生活

イラク辺境の地の不毛な風景が切々と胸に刻み込まれる。朽ち果てた戦車の残骸が転がっている土地。そこで生活する老人と子供たち。成人した大人があまりに少なく、ひとつの社会としては異質さが際立っている。ニュース映像では知りえないイラクの現実がここにある。

その情景が当たり前であるという自然な感じで、子供たちはたくましく生きている。失ってしまったものを嘆いたりせず、生活のために真面目に働いている。その中心にいるサテライト(ソラン・エブラヒム)が颯爽としている。彼の名前が英語名であるのがポイント。彼には確固たる夢と信念を胸に秘め、その社会をまとめあげている。

だが、難民の3人と出会ってから彼の心に影がよぎる。両腕をなくした兄。視力をなくした乳児。笑いをなくした妹。自分達よりも深い戦禍を被った彼らに衝撃を受ける。いつしかサテライトは彼らを救いたいと感じるが、とうとう守ることができなかった。その深い挫折が嗚咽となって現れる。

同時に、アメリカへの幻想も打ち破れ、彼は立ち尽くすしかない。哀切感が残り続けるラスト・シーンでありました。

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「★★★★作品」カテゴリの記事

コメント

こんにちは♪
かぎりなくドキュメンタリーに近い映画を見ると、どのように評価してよいのか分からなくなります。
子供達の現実から目をそらすことが出来ませんでした。
子供が子供らしく活きることが出来る世の中が来ることを祈るしかありません。

投稿: ミチ | 2006/05/16 14:11

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