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2006/04/01

タッチ・オブ・スパイス

製作年:2003年
製作国:ギリシャ 
監 督:タソス・ブルメティス

1959年、トルコのイスタンブール。ファニス少年はスパイス店を営む祖父ヴァシリスからスパイスの様々な効能と人生のすべてを学び、幸せな毎日を過ごしていた。しかし、トルコとギリシャの間で紛争が起り、ギリシャ系移民の一家はトルコ国籍を持つ祖父を残し、アテネへ強制退去となってしまうが…。

「美食家(ガストロノモス)の中には天文学者(アストロノモス)が潜む」。この意外な組み合わせがまず興味深い。「肉団子にクミンは当たり前だが、時にはシナモンを入れるような意外性も、人生の重要な時には必要なのだ」。この台詞も心に残る。少年ファニス(マルコス・オッセ)と同様に思慮深い祖父ヴァシリス(タソス・バンディス)に魅了される。

故郷コンスタンチノープルを追われ、大好きな祖父や初恋の少女サイメとも別れてしまう。哀しいエピソードが続くのであるが、不思議な明るさに満ちている。生きていれば必ず不条理と思えるようなことに遭遇する。辛い出来事があったとしても、スパイスの使い方ひとつで人生は豊かにも貧しくもなる。人生の極意はここにある。

ラスト・シーンが素晴らしい。スパイスと宇宙が渾然一体となって夢幻的な美しさに包まれる。戻るべきところに帰ってきたファニス(ジョージ・コラフェイス)の心を表現したようだ。余韻の残る一場面。

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コメント

大好きな映画なのですが、取り上げている人が少ないのは残念です。
ギリシャ映画というとアンゲロプロスがまず頭に浮かびますが、この映画はずっと親しみやすく、素直に心に響きます。
机の上から舞い上がったスパイスの粉が宇宙空間の星雲と重なるラストシーン、さびしい時ずっと星を眺めていたファニスの思いが重なって感動が膨らみます。

投稿: ゴブリン | 2006/04/12 01:09

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