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2006/04/14

単騎、千里を走る。

製作年:2005年
製作国:中国/日本 
監 督:チャン・イーモウ/降旗康男(日本編)

単身で中国へ渡り息子の代わりに仮面劇を撮影する。本作品がユニークなのは、その行為自体、高田(高倉健)の大いなる勘違いではないかと観客に感じさせるところ。ありきたりな話であれば、その仮面劇が本当に貴重なもの、高田の行動が崇高なものとして終わっていくだろう。

だが、チャン・イーモウはそうしない。高田が中国で行ったことは意味のない行為であったかもしれない。重要なのはその行為が誰かを思いやることから生まれ、誰かを喜ばせたいとか、謝りたいという気持ちそのものを表していることだ。その思いの強さが、様々な障害に諦めず、粘り強く行動していくことに繋がっていく。

そして、そのことから思いもかけないドラマがいくつも生まれていくのだ。その最たるものが、リー・ジャーミン(同名)とヤンヤン(ヤン・ジェンボー)の親子の関係と高田のそれが交差してところ。高田とヤンヤンが道に迷い一夜を共に過ごす場面が印象深い。ヤンヤンを追いかけることは自分の息子を追いかけることでもあったのだ。その夜の時間が高田とヤンヤンの絆を強めていく展開も秀逸なものだった。

もう一つ印象深いのは、高倉健はこれまで演じてきたキャラクターの投影する主人公となっている一方、中国側では「あの子を探して」(1999)のように素人ばかりを使って撮影が進められているところだ。それが水と油のように合わないのではなく、高倉健の世界とチャン・イーモウの世界が違和感なく存在している。それが素晴らしい。不思議と調和した世界になっている。

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コメント

>ヤンヤンを追いかけることは自分の息子を追いかけることでもあったのだ。

同感です。
いろいろな伏線を見つけていく面白さ・・・。
本作は、分り易い中にも、深読みができる傑作だと思います。

投稿: マダムクニコ | 2006/04/14 11:49

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