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2006/04/21

ミュンヘン

製作年:2005年
製作国:アメリカ 
監 督:スティーヴン・スピルバーグ

1972年9月。ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナのテロ集団“黒い九月”がイスラエルの選手村を襲撃。選手11名が殺害される。これを受けてイスラエル政府は報復を決意、諜報機関“モサド”よって暗殺チームが秘密裏に組織される。そのチームリーダーにアヴナーは抜擢されたのであるが…。

最も意外に感じたのは、暗殺チームがイスラエルから資金だけ提供され、情報も武器も作戦もすべて自己調達で任せられているということ。しかも、彼らはプロ中のプロという逸材ではなく、急場の寄せ集めのメンバーなのである。

そのため、手際の悪さが異常に目立つ。史実に基づいているということであるが、今まで観てきたスパイ・アクション映画では考えられないことだ。そんな状況下で、よくあれだけ暗殺が成功できたものだ。そのことに、まず感嘆する。

もっとも印象深い場面は、彼らがパレスチナのグループと一夜を共に過ごすところ。アヴナー(エリック・バナ)と向こうのリーダーとの会話で、どちらもお互いの正義と悲願のために戦っていることが分ってくる。そして、ラジオの選局でもめるところもユーモア溢れるものであるが、その決着の仕方が鮮やかである。どんな問題にも第3の道があることを示唆している。

アヴナーの夢の中で、オリンピック選手殺害の顛末が語れる構成になっている。不毛な暗殺の応酬が、彼らの死を悼むという心が見失われていく。彼らがこうした戦いを望んでいたのか改めて考えさせられる。こういう点でヴィム・ヴェンダース監督の「ランド・オブ・プレンティ」(2004)を想起する。

そして、「我々は高潔な民族ではなかったのか」という問い掛けが深く胸を打つ。

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コメント

はじめまして。
自分も以前岩手に住んでいまして、そのときの記憶がふと頭をよぎりました。

>どんな問題にも第3の道があることを示唆している。

というのは、本当にそうですね。
1と2だけに縛られていると、現実が見えなくなる・・・肝に命じないとなあ、と思います。

ひょっとすると、手違いで2回TBしてしまったかもしれません。
もしそうだったら、すみませんでした。

投稿: ryodda | 2006/04/26 16:37

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